Zoom Revenue Acceleratorが解決する4つの営業課題
一方のZoom Revenue Acceleratorは、AI機能を搭載した会話型インテリジェントソフトで、「AI Companionが個人で使うAIツールであるのに対し、Zoom Revenue Acceleratorは組織で活用するAIツールという位置付け」(佐藤氏)となる。
労働力不足が加速する中で、営業現場ではさまざまな課題を抱えている。たとえばGartnerの調査によると、2021年の平均離職率は前年比36%で増加しており、新人の営業担当が自力で動けるようになるまでは90日から120日かかるという。また、フォレスターの調査によると、現場の営業職が顧客との面談に費やせる時間は労働時間の23.3%で、管理職が営業担当のコーチングに充てられる時間は14%しかないという。
「人材の確保が難しくなるにつれ、営業チームではひとり当たりにかかる負荷が高まっています。現場ではDXによりツールが増え、入力や報告業務が増えることで生産性が落ち、マネージャーも見るべき部門や部下の数がますます増えている状況です。その結果、人を採用できても現場ではオンボーディングが進まずに営業力が高まらず、入社した人材もマネージャーから話を聞いてもらえず、エンゲージメントが低下し退職してしまうという負のサイクルに陥る組織が多いのが実情です」(佐藤氏)

Zoom Revenue Acceleratorを活用することで、それらの問題を「オンボーディング・イネーブルメント早期化」「付帯業務の削減」「営業活動の可視化によるマネジメント強化」「VoCの活用」という4つの観点から解消できるという。
「まず、面談の成功と失敗のデータを蓄積して解析することで、新人のオンボーディングを速めつつ、ハイパフォーマーの行動をもとに効果的な人材育成が可能になります。システム面ではAPIでさまざまなCRMと連携できるため、入力の手間がなくなり、入力や報告業務に費やしている時間をお客様との接点に使えるようになります。また、面談における重要なポイントをAIが自動採点するため、マネージャーはデータをもとに営業活動の正確な評価を行うとともに、個人の強み・弱みを把握して適切なコーチングができます。加えてお客様の声が自動でたまっていくため、それらのデータを営業戦略や商品戦略に活かしていくことも可能です」(佐藤氏)

年間10万回以上の会話データは“宝の山” 活用基盤にZoomを採用
続いて、Zoom Revenue Acceleratorによってイネーブルメントの成果を挙げている、RENOSY(GA technologies)の福島氏が登壇。自社での活用事例を語った。
テクノロジーを活用したAI不動産投資サービスを展開している「RENOSY(リノシー)」では、面談をオンラインで完結するかたちでサービスを提供しており、年間10万回以上電話や面談が行われ、オンラインの会話数が圧倒的に多いという。その中で、事業成長のための施策の一環として、2024年にZoom製品を導入し、会話データを利活用できる仕組みを構築している。


「顧客体験の向上、より良い商品やサービスの設計、営業の成約率を上げるためのヒントは、すべてお客様との会話の中にあります。会話のデータを活かせていないと、営業担当者のセンスや経験で提案されがちです。会話の内容をしっかりと分析したうえでフローができると、データをもとにお客様に最適かつ確度が高い提案ができるようになります」(福島氏)

新卒で不動産会社に入社し3年間法人営業を担当。2017年、サイバーエージェントに転職し、AI事業本部にて広告プロダクトの新規事業開発を推進。2020年1月にGA technologiesに入社し、新規事業の立ち上げ等を経て、現在は不動産投資サービスRENOSYにおけるセールステック推進の責任者を務め、テクノロジー活用による営業生産性向上を担う。
Zoom導入前の営業スタイルは、社用携帯で電話業務を行い、録音・録画はされているものの会話の内容はブラックボックス化し、面談時に使っていたシステムもデータの蓄積・活用がしにくかったと福島氏は言う。育成も基本的に人が同席して直接指導していたため、リソースの関係上、すべての面談について指導することは難しかったという。
そこで同社は電話をZoom Phone、面談ツールをZoom Meetingに刷新し、育成の仕組みとしてZoom Revenue Acceleratorを導入した。その結果、現在は営業会話の内容を蓄積して活用できるようになったという。


「Zoomの導入により、お客様との会話データの一元化、データ活用を進めるにあたってのデータの構造化・標準化、CRMへの登録や議事録生成作業の効率化、確度の高いイネーブルメントなど、多くの成果が得られています。定量的な成果としては、電話や面談の議事録が自動生成されたことにより、年間数千万円規模のコストを削減できています」(福島氏)