SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

  • 前回のSalesZine Dayのセッションの様子をレポート記事でお読みいただけます。

  • 過去開催時のイベントテーマをまとめてご覧いただけます。

直近開催のイベントはこちら!

SalesZien Day 2025 Winter

2025年1月28日(火)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

お申し込み受付中!

現代組織が「営業学習機会」を奪う理由

なぜ、営業組織は「誤ったPDCA」に陥るのか 正しい計画の「実行」を妨げるもの

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

 多くの企業が営業活動の改善に「PDCAサイクル(計画→実行→確認→改善)」を採用していますが、実際には正しく機能していないケースが少なくありません。「形式だけのPDCA」や「PDCAごっこ」と呼ばれる状況に陥り、実質的には空回りしている営業組織が多いのです。とくに、PDCAの「確認(C)」や「改善(A)」が疎かにされ、「計画(P)」と「実行(D)」を繰り返すだけの状態になっている場合、それはもはやPDCAとは言えません。このような問題は広く見られ、筆者の感覚では、半数以上の営業組織が「PDCAごっこ」に陥っている可能性があります。こうした状況が続くと、営業成果はなかなか改善しません。

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

「PDCA」が形骸化してしまう理由とは?

 A社の営業部門の例を見てみましょう。A社は「X地域の従業員300名以上の企業を対象に、年間10億円の売上を達成する」という目標(KGI)を掲げ、期初から営業活動をスタートしました。しかし、半年が経過しても売上は4億円にとどまり、目標達成が厳しい状況に陥ります。

 営業マネージャーはこの状況を受けて、「300名以上の企業に加えて、300名以下の中小企業にも営業範囲を広げよう」と方針を変更しました。

 この状況をPDCAサイクルに沿って整理すると次のとおりです。

  • P(計画):X地域の300名以上の企業を対象に、年間10億円の売上を達成する(KGI)
  • D(実行):X地域で営業活動を展開
  • C(確認):半年で売上は4億円にとどまり、KGI達成が難しいと判明
  • A(改善):300名以上の企業に加え、300名以下の企業にも営業範囲を拡大

 一見すると、計画(P)を立てて実行(D)し、確認(C)を行い、改善(A)へと進んでいるように見えます。しかし、これは「PDCAごっこ」の典型例です。このプロセスのどこに問題があるのでしょうか?

評価すべきはKGIよりもKPI

 A社の例では、「X地域の従業員300名以上の企業をターゲットにして年間10億円の売上を達成する」というKGIを設定していました。期の途中でKGIの達成率を確認(C)して、新たな計画(P’)を打ち立てています。

 PDCAを正しく回すには、計画(P)の背景にある仮説を検証することが不可欠です。たとえば、A社の場合、もともとの計画の裏には次のような仮説があったはずです。

  • X地域は地元で知名度があり、商談が取りやすい
  • 300名以上の企業をターゲットにすれば、単価の高い受注が得られる

 この仮説が正しいのかを確認できなければ、次の計画にうつっても同じような壁にぶつかってしまうでしょう。そこでまず行うべきは、当初の計画の背景にある仮説を数字で確認できるようなKPIを設定し、評価することです。A社のKPIは、次のようなものでした。

  • 量:毎月、X地域の300名以上の企業に20件のアポイントを取る
  • 質:商談の単価を20%アップさせる

 これらのKPIをもとに、目標(KGI)達成に向けた行動が計画通り進んでいるかを確認することが重要です。

 しかしA社の場合、売上目標10億円に対し、半期の実績が4億円にとどまったという「事実だけ」をもとに、「300名以下の企業にも営業範囲を広げる」という判断を下しました。この決定は、元の計画(P)に基づく仮説の検証(C)を経ずに行われており、PDCAの本来の流れから外れ、結果として、新たな計画(P’)を生み出しています

 このような状況は「PDCAごっこ」と呼ばれ、PDCAの代わりに「PD」を繰り返す誤ったPDCAで、なかなか成果が出せない典型例です。仮説をもとにしたKPIをしっかり検証し、必要に応じて計画を部分的に修正することで、PDCAは初めて効果を発揮するのです。

次のページ
正しい戦略も「実行」できなければ意味がない

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
現代組織が「営業学習機会」を奪う理由連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

佐宗大介(サソウダイスケ)

カイロスマーケティング株式会社 代表取締役。社会・技術・市場ニーズが大きく変化する現代において、持続的な経済発展や雇用創出に貢献したいと願い、「マーケティングを、もっと身近に。」を理念に掲げ、2012年に同社を設立。自社製品であるMA/SFAツール「Kairos3」を通じて、これまでに2,000以上...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
SalesZine(セールスジン)
https://saleszine.jp/article/detail/6777 2025/02/07 07:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2025年1月28日(火)13:00~18:20

イベントカレンダーを見る

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング