「営業スキルコーチ」がワンオペ出展をした理由
森野 今回は、営業スキルコーチ・さわべたかしさんに、展示会へのワンオペ出展に至った経緯やその結果についてお話をうかがいたいと思います。はじめにさわべさんの事業内容について教えてください。
さわべ 私が取り組んでいるのは営業コンサルティングで、とくにグロース期と呼ばれる事業の立ち上げ段階にある企業を対象にしています。こうしたフェーズの会社がより早く成長できるよう、営業全般にわたる支援を行っています。戦略の立案や、活用する営業ツールの選定まで、手を動かしてサポートすることもあります。
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営業スキルコーチ さわべたかしさん
20歳のころに電話1本で新聞広告を営業する仕事を始める。今の仕事に通ずる原点。その後証券会社を経て、2011年に当時40人くらいのSansan株式会社に入社。直販、パートナーセールス、海外営業に従事する。入社時のユーザー数350社が、退職する2021年には7,000社に拡大。その後HRテックの営業責任者を経て現職。
森野 営業スキル全般のコーチということなのですね。さわべさんが展示会にワンオペ出展されたのは、どのような理由からだったのでしょうか。
さわべ 目的は3つありました。ひとつめは、自分自身が営業の成果を示すということです。私は営業を教える立場にありますので、自分が営業で成果を出せなければ恥ずかしいと思ったんですよね。営業ができない営業コンサルタントなんてあり得ませんから。
ふたつめは、中長期的な良いご縁をつくること。現在はひとりで活動していて労働集約型の仕事をしているため、たくさんのお客様を一度に増やすよりも、ひとつの会社を長く支援していく方が現実的だからです。
最後に、私が考えているアイデアを多くの人にご案内したときにどのような反応が返ってくるかを検証すること。展示会は、広く浅く多くの方と話ができる貴重な機会ですから。
森野 「営業としてしっかり仕事を取らなければならない」ということと、「良い出会いを求めている」ということ、そして「確認したいことや試してみたい」ことがあったのがワンオペ出展の理由なんですね。理由があるとはいえ、ひとりで出展されるというのはすごいです。展示会は、どちらかというと人数の多い会社が出展するイメージがあります。
さわべ 比較的大きな規模の会社が出展するイメージがあるのも理解していますが、今回出展したイベントは、スタートアップに特化した内容だったこともあり、同じくらいの規模感の企業も多かったように感じました。小規模な企業も多かったので、違和感なく参加できたと思っています。
森野 ひとりでも違和感のない展示会を選ばれたんですね。そんな中で、ブースの出展名が会社名ではなく「営業スキルコーチ さわべたかし」となっていたのが、会場マップで目に留まりました。あれは何か狙いがあってのことだったのでしょうか?
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さわべ 会場マップには屋号や名前を記載する必要があったので、それをそのまま載せただけであって、実は狙っていたわけではないんです。会社名を出しても何の仕事をしているのか伝わりにくいと思ったので、私を前面に出したということですね。
森野 ひときわ目立っていましたが、狙ってなかったんですね(笑)。事前の準備はどれぐらいされましたか? ブースをつくる際には、チラシやパンフレット、タペストリー、パネルなど、いろいろと準備が必要になると思うのですが、そのあたりを教えてください。
さわべ そこまで大きなブースではなかったので、装飾に凝ることはしませんでしたが、ポスターとリーフレットだけ準備しました。ひとコマなのでそれ以上置けないですし、私の場合、身ひとつで何かプロダクトがあるわけでもないので、最低限で十分だと思っていましたから。