SalesZine ニュース

Salesforce、「Agentforce」を強化するAIモデルを発表

2024/09/11 15:45

　米国Salesforce（以下、Salesforce）は、「Agentforce」で自律的な営業タスクを実行するために学習・設計された独自のモデルである「xGen-Sales」および、複雑なタスクを処理して実用的なアウトプットを生成するために設計された大規模行動モデル群である「xLAM」を含めたAIモデルを発表した。

　ファインチューニングが施されたxGen-Salesにより、関連する業界のタスク精度を高めることで、より正確なレスポンスが提供され、顧客インサイトの生成や顧客の連絡先情報の充実、コールの要約、営業パイプラインのトラッキングなどの営業タスクを自動化することが可能となる。このモデルにより、AgentforceのSales Agents機能が強化され、自律的なパイプラインの育成や営業担当者のコーチングを行うことができる。

　xGen-Salesは、大規模行動モデル（LAM）と呼ばれる次世代の言語モデルへの一歩となる。大規模言語モデル（LLM）が人の関与を必要とし、主にコンテンツ生成に使用されるのとは対照的に、LAMはほかのシステムやアプリケーション内で機能を実行する関数呼び出し（Function-calling）に特化し、人のためにAIエージェントが独立してタスクを実行するために必要なアクションを引き起こすことができる。

　xGen-Salesに加えて、Salesforce AI Researchは、xLAMと呼ばれる新しいLAMファミリーを提供する。たとえば、xLAM-1Bモデルは、10億のパラメータ（モデルが結果やインサイトを生成するために学習する変数）で構成されている。xLAM-1Bは、研究コミュニティとともに科学を発展させることに特化した非商用のオープンソースモデルだが、SalesforceのAgentforceにはより高性能なモデルが使用されている。

重要な理由：組織は、従業員がより戦略的な優先事項に集中できるよう、従業員の仕事を補強し、その代わりに行動できるAIエージェントを必要としている。これらのモデルは、取り扱うべき仕事を理解するだけでなく能力の限界も把握しているため、モデルを使用するエージェントは品質の保証や業務の完了のために人にタスクを引き渡すタイミングを認識している。最近では、SalesforceはCRM向けLLMベンチマークを発表し、市場のモデルをナビゲートし、CRMのユースケースにもっとも適したLLMを比較する機会を提供した。

ニュースの背景：xLAMモデルをトレーニングするために、Salesforce AI Researchは合成データを生成するための独自のパイプラインである「APIGen」を作成した。Salesforceの独自の評価では、xLAM 8x22bはBerkeley Leaderboardsの関数呼び出しにおいてGPT-4を上回るランキング1位を獲得。xLAM-8x7bモデルは6位にランクインしている。xLAMファミリーの4つの言語モデルは次のとおり。

Tiny（xLAM-1B）：「Tiny Giant」は1Bのパラメータを備えている。コンパクトなサイズのこのモデルは、より大きなモデルが実用的でないオンデバイスアプリケーションにもっとも適している。xLAM-1Bは、スマートフォンやコンピューティングリソースが限られているほかのデバイス上でローカルに実行できる、強力で応答性の高いAIアシスタントを作成するために使用できる。

Small（xLAM-7B）：7Bモデルは、限られたGPUリソースでの学術的な探索のために設計されている。軽量な環境でエージェントアプリケーションの計画と推論タスクを実行するために使用できる。

Medium（xLAM-8x7B）：8x7Bの混合専門家モデル（Mixture of Experts、MoE）、レイテンシ、リソース消費、パフォーマンスのバランスの取れた組み合わせが求められる産業向けアプリケーションに適している。

Large（xLAM-8x22B）：8x22Bは大規模な混合専門家モデルであり、一定レベルの計算資源を持つ組織がパフォーマンスを達成できる。