ワンマーケティングは、BtoB企業の営業職・マーケティング職に従事するビジネスパーソン500名を対象に、「営業とマーケティングの連携」に関する実態調査を実施した。
営業とマーケティングで6割以上が連携に課題ありと回答 共通する課題は
営業とマーケティングの連携に関する課題認識を調査した結果、どちらのサイドにおいても課題を感じている人が多いことがわかった。
営業サイドの74%(「課題を感じている」32.3%、「やや課題を感じている」41.6%)、マーケティングサイドの64.6%(「課題を感じている」20.1%、「やや課題を感じている」44.5%)が連携に課題を感じており、両部門で共通した連携の難しさが明らかになった。とくに、システム連携不足や情報共有の不足が共通の課題としてあげられた。
営業とマーケティング間での役割認識のズレ、リソース不足が連携の阻害要因に
営業サイドでは、「営業の意見が取り入れられない」が40.9%、「既存顧客対応で営業リソースに限りがある」が34%、「マーケティングリードの質の低さ」が32.6%、「システム連携ができていないため、スピード感が遅い」が24.7%を課題としてあげており、マーケティングや業務システムに起因する課題が目立った。
さらに、「マーケティング部門とのコミュニケーションができていない」が25.6%、「マーケティング側が顧客の理解ができていない」が16.3%といった、部門間の情報共有や顧客理解の不足も指摘があがった。
マーケティングサイドが感じる連携の課題は「システムの不備」
一方、マーケティングサイドが課題を感じる具体的な内容として、「システム連携ができていないため、フィードバックを得にくい状況にある」が48.2%、「営業部門とのコミュニケーションができていない」が47.4%といった、システムや部門間連携に関する課題があげられた。
また、「営業部門と連携すべきリードの定義が決定できていない」が30.4%、「営業側がマーケティングの理解に乏しい」が32.6%といった、リード管理や認識のズレも重要な課題として指摘された。
さらに、「マーケティングリードが明らかに放置されている」が25.2%、「営業部門のリードに対する営業活動の有無がわからない」が14.1%といった問題から、リードの管理や活用の効率化も求められていることがわかった。「マーケティング側が受注数にコミットできていない」20%という結果もあり、マーケティングの活動が営業成果に結びついていない点も課題となっていることがわかった。
役員層は戦略的に、現場レベルでは日常業務の支援としてツールを利用
役員・幹部層では「定期会議」が31.6%、「共通KPIの設定」が26.3%といった戦略レベルの取り組みが多い一方、一般社員層では「日常的な情報交換」が21. 6%と主流で、役職ごとのツールの使い方に違いが見られる。このことから、役員層ではツールを戦略的に活用し、現場レベルでは日常業務の支援に重点を置いていることが確認され、ツールの利用目的における認識の違いが浮き彫りになった。
比較的高い割合を示しているのは「目的的にメールやチャットで情報交換している」21%、「営業とマーケティングの定期会議がある(月1回以上)」15.2%の項目だった。逆に「SFAとMAが連携されており、数値による活動評価が可能」5.8%のような高度な分析や管理体制を持つ企業は少数派だった。
また、役職ごとの傾向として「役員・幹部」では「営業とマーケティングの定期会議」が31.6%、「共通のKPIとレポーティングがある」が26.3%といった戦略レベルの取り組みが多くなっている一方、一般社員では「目的的な情報交換」が21.6%と主流で、全体的に仕組みが十分浸透していない可能性があることがわかった。
SFAツール導入率は31.6%、定着化には課題があるものの導入企業では効果的な活用も
SFAツールの導入率は全体で31.6%にとどまっており、「導入していない企業」は43.6%、「わからない」と答えた企業は24.8%と過半数を占めた。このことから、SFAツールの導入はまだ広く普及していない状況がうかがえる。
一方で、SFAツールを導入している企業では、ツールの利用頻度が非常に高いことが明らかになった。具体的には、36.7%が「毎日」利用しており、32.3%が「2〜3日に1回」と回答しており、合計で約7割の企業が日常的にツールを積極的に活用していることがわかった。さらに、「1週間に1回」が20.3%といった回答も含めると、大多数が一定の頻度でツールを活用していることがわかった。この結果から、SFAツールを導入している企業では、その活用が営業活動の重要な一環となっていることが推察される。
SFAツールの日常的な利用方法は「リード情報などを一元管理」
日常的にSFAツールを利用しているユーザーの利用方法としては、「営業名刺やマーケティングリード情報などを一元管理している」割合が全体で45.9%ともっとも多く、ついで「日報・週報、その他レポート作成に活用している」が全体で46.7%となっており、日常業務の効率化に広く利用されていることがわかった。
さらに、役員層では「案件のアサインに関する情報源として利用している」割合も高く、SFAツールを戦略的な判断や案件の割り当てに活用していることが特徴的だった。
役員層では、案件管理や情報の一元管理、案件のアサインといった戦略的な活用が目立つ一方、会社員層では日報やレポート作成といった日常業務における効率化のための利用が中心となっていることがわかった。
SFAツールを活用できていない理由は「活用方法やルールが定まっていないため」
一方でSFAツールを活用できていないと感じる理由として「活用方法やルールが定まっていないため」が33.3%で、もっとも大きな課題であることがわかった。また、「レポートが活用できていないから」が30.6%、「顧客情報の重複が多いため」が25%といった回答が要因としてあげられた。さらに「入力するのが手間なため」19.4%、「顧客情報の不備・不足があるため」16.7%といった、情報の入力や品質の問題も利用を阻む要因となっていることがわかった。これらの結果から、SFAツールを有効に活用するためには、運用ルールの明確化やデータの品質改善が重要であると考えられる。
36.2%がSFAツールは必要と回答
SFAツールに対する認識は意見が分かれており、「なくてはならない存在だと思う」という回答が13.8%、「どちらかというと、なくてはならない存在だと思う」が22.4%と、SFAツールの重要性を感じている人の割合は全体で約36.2%に達した。一方で「なくても問題はない」と考える人も21.4%おり、SFAツールの必要性を感じていない層も存在している。
注目すべき点は、「現在は使用していないが今後必要だと思う」と回答した割合が19.4%と高いこと。これは、現状SFAツールを十分に活用していないが、将来的なビジネスの成長や業務効率化の観点から導入の必要性を認識している層が多いことを示している。
【調査概要】
目的:営業部門とマーケティング部門の連携状況を可視化し、部門間の課題とその背景を明らかにすることで、改善策を模索する。
調査方法:ウェブアンケート形式での定量調査
調査対象:営業職・マーケティング職に従事するビジネスパーソン
サンプル数:500名(営業291名、マーケ209名)
調査期間:2024年11月14〜17日
調査項目:職種分布、営業とマーケティングの連携課題、SFAツールの活用状況・意識など