教えたくても教えられない? 「営業コーチング」の実態
大企業であっても、既存のマーケットだけでは成長に限界があります。今までのノウハウや技術を活かしながら新しいマーケットに進出し、新たなサービスを展開しなければなりません。
新しいプロダクト・サービスを売るため、リスキリングに取り組む企業や、中途社員として新しい人材を迎え入れる企業が増えています。ベンチャー企業やスタートアップはもちろん、大企業でも中途社員が増加していますが、他社で売れていた営業が自社でも活躍できるとは限りません。顧客理解や製品・業界理解などの「ナレッジ」に加え、商談相手に対する商談構成といった「トーク」など、会社が変われば新たに学ぶべきことが多く存在するからです。
中途社員がいち早く新しい会社に慣れ、早期にパフォーマンスを発揮するために重要なのが、営業マネージャーによる「営業コーチング」です。実際に、ハイパフォーマンスのチームの80%が「優れた」または「非常に優れた」営業トレーニングプロセスを受けていると回答しており、トレーニングやコーチングが非常に重要であることがわかっています。
しかし多くの場合、中途社員のオンボーディングは人事部が担っています。人事部は新入社員やさまざまな職種の育成を幅広く対応しなくてはなりませんから、営業に特化したオンボーディングやトレーニングを実施するのは困難です。
そこで重要な役割を果たすのが「ファーストラインマネージャー」です。営業組織としてのオンボーディングに加え、普段の商談や業務を見ながらメンバーを日々の営業コーチングを行うことは、ファーストラインマネージャーの重要な仕事です。
しかし実際の営業現場では、マネージャーがメンバーに対して「教えたいけれど教えられない」という事態が発生しています。その原因について、次のページで解説します。