「映像の世界を変える」 目指すべき未来を共有
──はじめにおふたりの現在のお役割を教えてください。
鈴木(LayerX) 現在、LayerXでパートナーアライアンス部の部長を務めています。前職はクラウドカメラを提供するセーフィーで、パートナー営業本部長を経て、営業本部副本部長 兼 VPoSとしてセールス全般に従事してきました。
寺久保(キヤノンMJ) ソリューションデベロップメントセンターのセンター長を務めています。この組織では、オフィス複合機やプリンター、カメラなど製品に分かれた各商品事業部門を横ぐしでつなぎ、お客様の課題を解決するキヤノン製品やITサービスを組み合わせたソリューション創出を行っています。グローバルキヤノングループでは戦略的事業拡大を図る4つの領域を掲げており、そのうちのひとつ、イメージング事業領域においてセーフィーと出会いました。
──キヤノンMJとセーフィーは2017年にアライアンスを締結されています。その背景を教えてください。
寺久保 2013年、当社はキヤノンMJグループにおける成長事業として、ネットワークカメラを中心とし、映像の撮影・蓄積・解析を行うBtoB映像ソリューション事業に着手しました。そして成長を加速させる目的で、2014年にはビデオ管理ソフトウェアにおいて世界最大手のひとつであるマイルストーンシステムズ社を、さらに2015年にはカメラのポートフォリオ拡充を図るべくアクシス・コミュニケーションズ社をキヤノンがM&Aしました。
さらに「これからは映像の保管場所としてクラウドが大きく伸びてくる」と考え、そのミッシング・パーツを埋める方法を模索していたときに出会ったのがセーフィーです。2017年9月には資本業務提携に至り、2019年に増資して総額約10億円を出資するなど、関係性を深めてきました。
鈴木 当時、セーフィーには「オセロの四隅となるような業界パートナーと組む」という構想がありました。通信事業会社、ハードウェア、警備、設備&街領域という四隅において、ハードウェアとなるカメラを製造しているアクシス・コミュニケーションズ社がキヤノングループにM&Aされることを受けて「カメラ領域のパートナーとしてキヤノンMJと組めたら、四隅のひとつが達成できる」と感じていたまさにそのタイミングでしたね。
──アライアンス締結後、両社はどのような活動をされてきたのでしょうか。
鈴木 当時は大きな資金も、人的リソースもありませんでしたが、唯一「映像データやAIの業界はこのように変化するだろう」というビジョンがありました。それらを包み隠さずキヤノンMJと共有したんです。キヤノンMJもさまざまな映像解析ソリューションの会社と提携していくなか、お互いに未来がクリアになりました。そのうえで「まずはカメラのポートフォリオを増やし、次にデータを増やせば、次はAI解析にも挑戦できる」というプロセスを共有できたのは良かったですね。
寺久保 スタートアップとしては、何よりもまず売り先を見つけたいはず。そこで、セーフィー製品のクラウド録画サービスのOEM提供を開始しました。当社の顧客基盤と全国の営業組織を活かせば、レバレッジも効き、いちはやく成長につながりますから。
鈴木 我々の現状とビジョンをオープンにして関係を築いたからこそ、力を貸してもらえたのかなと思います。