トップセールスは自分がなぜ売れるのかを説明できない
野球の世界で「名選手、必ずしも名監督にあらず」といった格言めいた言葉がありますが、実はこの言葉は営業職にも当てはまります。トップセールスと言われる人の多くは、嗅覚鋭く商機を掴み、お客様の心を捉えて成果につなげていくのですが、なぜそれができるのか本人が把握していないのです。そのため営業マネージャーには「営業スキルが属人的で、売れる人は売れるが、売れない人は売れない」といった悩みが生まれてしまいます。
これは実はトップセールスの営業プロセスがブラックボックス化しているために生じています。
わかりやすい例で説明すると、美味しいパンを大量に焼き上げるために、パン工場ではどのようにしているでしょうか。それは「素材の配合」→「生地をこねる」→「発酵させる」→「焼く」という工程を設計しています。そしてそれぞれで何をどうするのか定め、科学的な工程管理を徹底しています。決して、職人の勘や経験に依存することはありません。
できあがった美味しいパン=受注や売上に置き換えていただきたいのですが、実は営業においても受注までの正しいプロセスというものが存在します。
しかし、多くの企業では「引き合い・問い合わせ」と「受注・売上」は管理しているものの、その中間工程、たとえば商談や提案、見積もりなどのプロセスは管理されていません。トップセールスと普通の営業担当者の差はこのブラックボックス化された営業プロセスの中で生じているのです。