日米では「目的」が異なる? 日本におけるDX推進の現在地
DX実現の第一歩として、多くの企業で「システム整備」が進んでいます。システム整備は「DX推進指標」(経済産業省)の中でも“DX推進の基盤”として位置づけられ、「2025年の崖」(※)について警鐘が鳴らされたこともあり、多くの日本企業が注力しています。
※2025年の崖:既存システムが残存することによる課題にともなう経済損失が、最大で年間12兆円(現在の約3倍)発生し、国際競争力を失うという課題を表す言葉。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で問題提起された。
JEITA・IDC Japanが2021年に共同調査した「日米企業のDXに関する調査結果」によると、DXに取り組む企業比率はアメリカ企業で約3割、日本企業で約2割。アメリカに比べて後れをとっている一方、2017年調査と比較すると、日本企業のDXへの取り組みは大きく進展しています。コロナ禍以降、日本におけるDX推進およびシステム整備の流れは加速しているのです。
日米における「DX推進の目的」を見てみましょう。日本企業は「業務オペレーションの改善や変革」がもっとも多い一方、アメリカ企業は「新規事業/自社の取り組みの外販化」(≒新規・既存ともにビジネス強化のためのDX推進)がトップです。
そもそも、企業におけるDX推進の価値とは「デジタル技術を活用して、企業のビジネスモデルや組織体制、企業文化を変革し、競争上の優位性を確立すること」。アメリカではこの本来の目的実現を最優先する一方、日本では、IT化を進めて業務オペレーションを改善・効率化し、リソースを確保するというステップを踏む傾向が見られます。新ビジネスの創出(攻めのDX)という最終ゴールを実現するためには、システム活用を成功させて業務効率化と生産性向上を実現する“守りのDX”も非常に重要となるのです。
それでは、2023年現在、日本企業におけるシステム導入・活用はどの程度進んでいるのでしょうか。次ページ以降、テックタッチの調査結果も踏まえつつ見ていきましょう。