新規事業の営業に必須な「仮説思考」
前回の記事「営業がうまくいかず新規事業が立ち消える前に! 『トーナメント形式の仮説検証』で事業成長を実現しよう」では、不確定要素が多い新規事業の現場において、「当初立てた計画がうまくいくほうが珍しい」という前提に立つ必要性を共有した。
そのうえで、いくつものアプローチの可能性を考え、検証前から重要論点を複数設定する。そして、成果が出ている/出ていないといった検証活動も含め、まるでトーナメント方式のようにアジャイルに営業活動をアップデートしていくことが必要だと解説した。
第2回となる今回は、前回解説したトーナメント方式の営業活動を使いこなすのに必要不可欠な「仮説思考」について解説していく。
現在の営業活動において「ターゲット戦略がうまくいかない」「どのように商品・サービスの良い部分をアピールすれば良いのかわからない」「本当に効率的な営業活動はできているのか」など、さまざまな悩みが発生しているだろう。本稿がそうした悩みを解決するための一助となれば幸いだ。
「問題」と「課題」を正しく特定できているか?
仮説を立てるうえで意識してほしいのが、「問題」と「課題」の違いだ。営業活動における失敗の多くは、問題と課題の境目が曖昧な結果、適切な施策を打つことができていないことにある。
たとえば、「3年間でSMB向け市場において売上3億円」という中期事業目標があったとしよう。1年めは目標である5,000万円に対し、着地が3,000万円、2,000万円のショートとなった場合、読者の皆さまは問題と課題をどのようにとらえるだろうか。
よくある失敗例としては、2,000万円の未達という現状の問題に対して「受注数が足りていない。ということは有効商談の数が足りない。つまり、アポの総数が足りてないことが課題だ」と問題点をそのまま課題と認識してしまうことである。
そして、「アポどりの人数を増やす」「営業代行に依頼してみる」「リードを増やすためにセミナーを開催してみる」「スクリプトやリストを変えてみる」など、とりあえず目の前のできることから着手してみた結果、思うような成果が得られないままにやるべき打ち手が見えずに疲弊してしまう……というのはよくある話だろう。
さらに現実問題として、新規事業は予算も時間も潤沢ではない場合がほとんどであり、思いついた施策をすべて行うことには無理が生じる。
だからこそ問題を明らかにしたあとにとるべきアプローチは、問題そのものを課題としてとらえてしまっていないかを振り返ること。そして、問題を解決するための行動を具体化し、それを課題として設定することだ。具体的な例で、解説していこう。