多くの営業は「お客様のニーズは?」に答えられない
「なぜ同じ商品を扱っているのに、売れる営業と売れない営業にいつも分かれるのだろうか?」
このような疑問や悩みを持たれているマネジャーの方は多いのではないでしょうか。
弊社が提携している米国の大手教育会社ミラーハイマングループの調査によると、売れる営業と売れない営業の分岐点は自社商品の販売を重視する「自社視点」からお客様の成功を支援する「お客様視点」への転換ができるかどうかにあるとのことです。どんなに営業の商品説明が上手であっても、お客様自身にニーズ(改善・達成したい要望)が満たされるという実感がないと購入してもらえません。お客様視点やお客様のニーズを把握することの重要性について多くの営業やマネジャーの方は頭では理解されているのですが、実際の面談場面で実践できているケースは多くないようです。
私は、営業コンサルタントという仕事柄、さまざまな業種・業界の方と営業同行する機会が多くあります。営業の方と同行しながら面談前後にコーチングを行うのですが、同行後にはいつも「お客様のニーズは何でしたか?」という質問をしています。しかし、意外なことにこの質問に答えられる営業は多くありません。
先日、ペット用の検査機器を販売している営業のОさんと同行する機会がありました。Оさんは、人当たりも良く社内でも優秀とされている営業でお客様からも評価の高い方です。
ある動物病院へのアポイントのときです。2回目の訪問ということでしたが、いきなり院長の奥様から検査機器の設置予定場所に案内いただき、「ここに機械を置こうかと思っているのですが、どうかしら?」と奥様自身がノートに書かれた図面を見せていただきながら聞かれたのです。このとき、Оさんも私も「契約がとれた!」と内心期待しました。
その後、Оさんは院長と奥様に1時間ほど、検査精度の高さや独自の検査項目、飼い主様向けのレポート機能など、検査機器の特徴やキャンペーン価格の説明をしたのですが、最後まではっきりした結論をもらえず時間切れとなり、その日の面談が終わりました。
面談後、少しがっかりしていたОさんへいつものように「お客様のニーズは何でしたか?」という質問をしました。Оさんはハッとした表情になり、残念ながら私の質問に答えられませんでした。次に「このあとどうする予定ですか?」という質問をしたところ、「明日の同じ時間にあと10万円くらいなら安くできますと電話しようかと思います」と答えました。さて、皆様がОさんのマネジャーだとしたら同行後にどのようなアドバイスをされますか?