「Oracle Digital」戦略のカギは新卒採用
イベント2日目のキーノートにはオラクルCEOのMark Hurd氏が登壇。CX領域の責任者であるRob Tarkoff氏が、Hurd氏にインタビューをするような形式でセッションが行われた。
4,000人の営業担当者を有する同社でも自社の製品を活用した営業のデジタル化が進んでいるという。営業は従来のやり方を脱却し、機械学習やツールを活用してプロセスを自動化・効率化しながら、会社の代表として顧客から信頼されるアドバイザーであることが求められているという変革期にあるとTarkoff氏は述べ、Hurd氏に営業組織を中心とした自社の改革について尋ねた。
Hurd氏はまず、「マーケティングプロセスとセールスプロセスは統合されるべき」だと説いた。プロセスが統合されれば、営業担当は従来マーケティング担当が把握していた「顧客がデジタルでどのような興味を持っていたか」ということを事前に知り、関心に合わせた会話をすることができるようになるためだ。
近年、「Oracle Digital」というインサイドセールスを中心とした組織にも力を入れている同社。米国や欧州を中心に、彼らの活動の拠点となる「Oracle Digital Hub」という施設を立ち上げており、2019年1月に日本でも「Oracle Digital Hub Tokyo」がオープンした。「Oracle Digital」では、若い人材を多く採用するなど、かなりの金額を投資しているという。Hurd氏は、若者のポテンシャルを感じたひとつのエピソードを披露した。
「私には1年前に大学を卒業した娘がいて、彼女が大学の同級生の男子3人を自宅でのディナーに招待したのです。彼らはSaaSのスタートアップで働いていました。彼らが何をしているかというと、寝る・パーティーをする・営業活動という3つ。非常にシンプルにその3つを繰り返していますが、彼らのモチベーションは非常に高かったのです。自分たちがこれほどの熱量を持っているだろうかと考えました」
営業担当者の採用は競合間でトレードしあっているような状況に陥っているとHurd氏。一方で、大学を卒業する若者たちの中には、ポテンシャルの高い人材が多く含まれているにもかかわらず、そこに目をつけている競合は少ないという。オラクルは、現在10,000人の新卒採用を行っており、彼らの採用が先述した「Oracle Digital」戦略における重要なピースだと述べた。
とはいえ、新卒の力は未知数。改革始動から5~6年が経ち、育成プログラムがうまく回り始め、ファーストラインマネージャーに昇進したメンバーもいれば、営業職だけでなく、プリセールスや、コンサルタントとして活躍する人材もいるという。
Rob氏から、この人材育成サイクルについての長期的な見通し、競合に対する優位性について問われ、Hurd氏は以下のように答えた。
「ミレニアム世代の社員にとって必要なことは、勝つこと、勝つ環境にいること、そして挑戦できる状態にあることだと考えています。それが従業員とのエンゲージメントを高めることにもつながります。経営は、そのための環境を作り、必要なツール、インフラ、トレーニングを提供することが重要だと考えています」(Hurd氏)