日本の営業の価値を高める「NEW SALES」とは
──あらためて『NEW SALES』の上梓おめでとうございます。執筆されたいちばんのきっかけを教えていただけますか。
営業職にはふたつの大きな課題があります。ひとつは、企業経営の視点から見たときに生産性が低いこと。昨年マッキンゼーから出た日本の営業生産性についての調査レポートを見ても、日本の営業ROIはグローバル水準と比べて低いのは明らかです。ふたつめは、営業職が個人から見たときにも非常に満足度が低い職種だということです。ある調査によれば、営業の業務満足度はほぼ最下位で、いま大学生の9割が営業をやりたくない。 企業から見て生産性が低く、個人から見て満足度が低い仕事である状態を、このままにしておくべきではないと考えたのが執筆のきっかけでした。
──そんな問題意識の中から、どのようにしてNEW SALESへの道筋が見えてきたのでしょうか?
まず営業のことを調査し始めました。さまざまな営業組織や営業パーソンにインタビューする中でわかったことは、高い成果を上げる営業組織・営業担当と、成果を上げられない営業組織・営業担当に二極化しているということ。
そもそも、いまは商品の情報はサイトを見ればわかる時代ですから、営業職の労働人口はどんどん減っていってるんですよね。しかし、このまま営業職がなくなるのかと言うとそうではない。営業には、年収2,000万のプレイヤーもいることがわかりました。また、生産性の高い営業組織も存在します。たとえば、私が取材したキーエンスやセールスフォース・ジャパンは独自の取り組みで高い生産性を実現しています。
この二極化した営業について、高い成果を上げているほうを「NEW SALES」、そうではないほうを「OLD SALES」と位置づけ、OLD SALESからNEW SALESへの変革が実現できれば営業をもっと生産性高く、満足度の高い仕事に変えられるのではないかと、『NEW SALES』を書きあげました。
──本書では営業担当者向けとマネージャー向けで章を分けていますよね。とくにどのような方に読んでいてほしいかを改めてお聞かせいただけますか。
営業に関わる全員に読んでほしいと心の底から思っています。というのも、営業パーソンはもちろん、営業責任者、そして営業企画の三者の視点があって初めて営業活動は進んでいくからです。それぞれの切り口からNEW SALESを目指すことで推進力が得られるはずです。
また、マーケティングやインサイドセールスも含めたビジネスサイドの皆さんにとっても役立つはずです。かつては、営業自身が顧客リストをつくってコンタクトし、商談を実施、契約後のつながりまでカバーしていましたが、その役割がいまはマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスへと分かれてきました。顧客に商品・サービスを売る活動全体を広義の営業職と捉えて、フィールドセールスはもちろん、それ以外の営業職の方々にも読んでいただきたいです。