営業パーソンの「個」を強くする
営業活動のデジタル化が進み、タブレットやスマートフォンを活用した営業活動は決して珍しい光景ではなくなった。手に取れる紙の資料だけでなく、動画などを商談材料として活用して商談活動に臨む組織もいれば、CRM/SFAなどに蓄積された顧客データを分析する組織もあり、テクノロジー(Sales Tech)活用の状況は三者三様だ。
しかし、テクノロジーを通じて商談活動の効率化を支援するサービスの多くが商談準備や営業チーム全体の生産性向上にフォーカスされたもので、営業パーソン「個人」の商談を支援するサービスはそう多くない。
そうした状況や背景にフォーカスし、アステリアがサービス提供を開始するのが商談支援アプリ「Handbook X」だ。同社の代表取締役社長 CEOである平野洋一郎氏は、発表会において開発に至った背景を次のように説明する。
「当社がこれまで開発提供してきた製品は、社内にあるデータや情報を、社員それぞれが持つモバイルデバイスにも届けていこう、といういわば中央集権的なサービスでした。企業に『個人』が紐づく考え方です。しかし現在では、副業やフリーランスで活躍する営業パーソンも多く、必ずしも組織中心ではない働き方も増えています」(平野氏)
組織のビジネスだけでなく、個人の活動を支援するサービスをつくりたい。そうした思いからHandbook Xは開発された。特長は、企業内だけでなくさまざまなつながりのコミュニティやグループなどであってもサービスを活用することが可能である点だ。
「Handbook Xは『つなぐ』がキーワード。かつては階層・規律・統制を重視していた社会が、自律・分散・協調型へと移行しています。小さなチームや個人のつながりがあり、地球上どこにいても必要なときにつながることができる時代です。『Handbook X』の強みは『誰でも使える』『アプリだけで完結する』こと。お互いに離れた場所で働くメンバーたちと情報を共有できる現代社会に即した世界観を意識しています」(平野氏)
成約までのあらゆる情報を1ヵ所に集約する
発表会の中盤では、「Handbook X」の機能や使用感が解説された。「Handbook X」は「商談の決め手は、ひとつじゃない。」というキャッチコピーを掲げ、アプリ上であらゆるコンテンツを登録したうえで、それらの閲覧・共有までが完結できるサービスだ。なお、同サービスはアプリストアを経由してインストールをすれば、その場ですぐに使い始めることができる「気軽さ」も強みのひとつ。加えて、商談時に複数の専用アプリを立ち上げることなく、ひとつのアプリ上で完結させることができる点もアピールポイントとして強調された。
登録したコンテンツは、自分自身が閲覧(情報確認)する用途で使用することも可能であるほか、商談の際に情報提示において複数のアプリの切り替えなどに手間取ることなく、スムーズに顧客に資料を見せたり、モニターに投影してプレゼンをしたりすることができる。なお、オンライン会議の場面でも、アプリ自体を画面共有することで多種多様なコンテンツを用いたプレゼンをひとつのアプリ上で完結することもできるという。
登録できるコンテンツはPDFはもちろん、動画や写真、音声など多岐にわたる。また、YouTubeやウェブページのリンクを「Handbook X」上に登録すれば、アプリ上でそのままコンテンツを閲覧することができる。
平野氏は、商品のカタログや説明動画、比較データや分析データ、業界の最新のニュースなど、各所に分散された「商談に必要な情報」をひとつのストーリーブックに集約させる活用事例を紹介することで、商談をより円滑化する「Handbook X」の活用イメージを示した。
コンテンツを登録する際には、まず「ブック」を作成する。これは、パソコン内のフォルダのようなもので、名前を付けて表紙画像を設定。作成したブック内にPDFや動画などのコンテンツを格納していく流れだ。コンテンツ登録はクラウド連携も可能であるため、BoxやGoogle Driveなどのストレージサービスから直接コンテンツを追加することもできる。
また、登録されたコンテンツはローカルの「Handbook X」アプリ内にダウンロード(格納)された状態になるため、音声や動画を再生する際はオフラインであってもアプリさえ開くことができれば閲覧できる状態になる。 平野氏は「テクノロジーを初めて営業活動に取り入れる方はもちろんのこと、もともとタブレット端末を用いた営業活動を行う方も、さらに一歩未来に進んでいけるように支援していきたい」と展望を語った。
情報をかき集めて商談に臨むのは「あたりまえ」か?
「Handbook X」を開発するにあたり、営業パーソンが抱える課題を調査し、昨今の営業課題の解像度を高めていったアステリア。同社が独自に実施した調査結果を踏まえ、これまで営業パーソンが「解決できていなかった課題」に関して、平野氏は次のように見解を述べる。
「今は、お客様自身がインターネットで情報を得られる時代です。その中で、お客様からの『もっとこういう情報はないの?』などのリクエストに素早く応えることは、営業パーソンにとって重要なスキルでしょう。しかし、いざ市場調査を行ってみると、たくさんの情報を扱いながら商談に挑む営業パーソンは、情報が多い分、多くのアプリを駆使しなければいけない現状が明らかになりました」(平野氏)
こうした営業パーソンたちが「Handbook X」の活用を通じて分散されたデータを1ヵ所に集約させることで、これまで以上にスムーズな提案が実現できる。これにより「営業活動における商談のストーリー性を高めることができる」と平野氏は述べる。とくに無形商材を扱う場合には、適切な情報を最適なタイミングで提示することで、より説得力を持たせることができる点が利点として語られた。
各所に分散された情報を1つひとつかき集めて商談に臨む、という行為は営業パーソン自身にとっての「あたりまえ」すぎて、課題として認識されていなかったのかもしれない――だからこそ、一度「個人で」気軽に使ってもらうことで、テクノロジー活用を通じて商談がスマートになる心地良さを体験してほしいと平野氏は強調する。
「これまでのSales Techツールは、マネージャーの『使いたい』という意思のもと、営業組織全体で導入するスタイルがスタンダードでした。しかしSales Techは中小規模の組織や個人の営業にも有効ですので、裾野を広げていくイメージで開発しました」(平野氏)
とはいえ、「Handbook X」が完全なる中小企業・個人向けのツールかと言うと、そうではない。大企業での活用も想定のうえで開発されている。「『管理者』がいないグループであっても活用できる」点がひとつの特徴として言及される場面もあったが、管理者のように組織を率いるユーザーがいる場合でも「ワークグループ」機能を活用することで規模の大小にかかわらず営業活動の効率化に役立てることができるという。今は大規模で中央集権的な組織であっても、時代が進むにつれて組織のあり方が変化していくかもしれない。同サービスの機能や対象ユーザーの柔軟性は、働き方の多様化が予想される未来のニーズをも見据えて開発されていると語られた。
発表会の終盤には、経営層に向けて、平野氏がこれからの企業における人材のあり方やテクノロジー活用のメリットを伝える場面があった。
「これからは個の時代と言われています。昭和に散見されたような、全員横並びで同じ動きをする時代ではなくなってきているのです。現代のビジネスシーンでパフォーマンスを高めるためには、画一的なCRM導入だけでなく、いかにして個々の営業パーソンの創意工夫をテクノロジーで支えていくか、という視点がキーになってくると思うんです。
経営層目線では、テクノロジーは『導入が大変』『工数がかかる』というイメージで語られがちですが、このたびリリースする『Handbook X』は、インストール後即座に現場社員1人ひとりの工夫を手助けできるサービスです。タブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイス上でとくに活用できるアプリであるため、ポータビリティも高く、働き方改革にも貢献できると考えています。
一部の経営者は副業や外部人材の活用をネガティブにとらえていますが、むしろ、昨今はいかにしてそうした人材とシナジーを生み出していくかを考え抜くべき時代です。企業から独立したフリーランス人材は、独立できるだけの強みを持っている人材です。個人の強みをともに伸ばしていくことも、新時代の働き方の突破口にもなり得ると考えています」(平野氏)
営業の属人化を解消し、テクノロジー活用を通じて組織力を高めていく動きがある一方で、多様化する働き方やビジネスシーンでは「いち営業パーソンの力」も重要になっていくのも事実。そうした社会変化を見据えたうえで、どのような変化の渦中にあっても、営業パーソンが柔軟に活用できるよう開発されたのが『Handbook X』の魅力であると改めて強調し、平野氏は発表会を締めくくった。フリープランも用意されている「Handbook X」。まずは気軽に試してみて、同サービスが提唱する「ワンランク上の営業活動」を体感してみてはいかがだろうか。
「Handbook X」は次のリンクより無料でインストールいただけます。