まずはなにより土台づくり
達成意識が低い状態でナレッジ共有はNG
――「データドリブン」で「目標達成に対する意識が高い」組織の実現に向けて大手企業の営業組織特有の課題はあるのでしょうか。
人数の多さと年齢層の幅の広さが実現に向けての課題となっているケースが散見されます。新しいことを浸透させる手間も非常にかかりますし、全員にわかる言葉で仕組みの平準化をしなければなりません。また、大企業の組織改革では、チーム全員に高い納得感をもって物事を進める必要性が高いと感じています。ベンチャー企業よりも合理性や理論が求められるといったところでしょうか。多様な方にとってデータを扱いやすい状態にしないといけない。データドリブンで強いチームづくりは、営業の現場がデータを使いこなしてこそ実現できます。
また、良い組織をつくるために話題の「セールス・イネーブルメント」に着目し、「データドリブンな育成・標準化」に取り組もうと考える営業組織も多いです。そして実際の施策として、皆さんがまず取り組もうとするのは、「トップセールスの営業手法を型にしてコンテンツ化し、横展開しよう」というもの。
しかし、それを行う前段階として必要なのは、「営業活動をデータで可視化・管理できている」状態をつくることです。それができていないと、実施した施策がどのように数値向上に寄与したのか、誰がベストパフォーマンスを出しているのか、正確に把握できません。また、営業活動をデータで可視化・管理することは、目標達成に向けた道筋を論理的に可視化することでもあり、達成を見据え、能動的にアクションを起こす営業組織の基盤にもなります。現に「目標達成を目指して強く戦うチームをつくりたい」という理由で、私たちにご依頼いただくケースが非常に多いです。
導入4ヵ月で商談数2.4倍、売上が2.1倍!
目標達成意識を醸成する営業データ可視化
――実際に御社が営業組織改革を支援してきた大手企業では、どのような成果が出ているのでしょうか。
ひと言で表現すると「目標達成に向けたアクションの量と質が上がる」という成果が出ています。事例で申し上げると、大手メーカーの新規事業部門において、システム導入から4ヵ月で、活動量(商談数)が昨対比2.4倍、それに紐づく売上も2.1倍という実績が出ています。定性的には、チーム内に「目標を達成しよう!」という強い意識が醸成されてきています。また、施策の効果をデータで検証できるようになったことで、真に業績向上に貢献する「実のある施策」を精度高く実施できるようにもなってきています。
――チームの目標達成に対する意識を高めていく過程が重要かつ、難易度の高い部分ではないかと感じます。ツール導入だけではなく、営業会議のファシリテーションの支援も行われているとのことでしたが、取り組み当初はどのような状態だったのでしょうか。
大手や歴史のある企業ではよくあることなのですが、既存顧客からの継続発注がある程度あるため、新規の営業活動を積極的に行わずとも一定の売上が立ち、それに甘んじてしまうという受動的な営業スタンスでした。営業担当者1人ひとりが自分の目標値をはっきり意識できていなかったのです。
そこで、週次の営業会議における報告コミュニケーションにGRAPHを活用して大きく変革しました。具体的には、普段入力したデータから導き出された数値を元に、目標と現状のギャップを把握、目標達成から逆算して必要なアクションを自ら宣言するといったスタイルでの会議を実践し、会議のたびにそのコミュニケーションの精度を高めていきました。それを反復して行ったことにより、受動的な状態から脱却できたのは大きな変化だったと感じています。GRAPHには上記を含む、営業会議コミュニケーションに必要なデータ項目が網羅的にプリセットされており、導入設定直後から頻度高く活用いただけました。
実は、目標数値を個人ごとにしっかり把握できていない営業組織は少なくありません。多くのケースで営業マネージャーが、経営から降りてきた数値を基に各担当者に目標を割り振るのですが、マネージャーとメンバーの間で目標数字を基にしたコミュニケーションを月に1回程度しか行わない組織も多いのです。これが、目標達成に対する意識が高まらない要因にもなっています。
月1回程度しか会議が行われない大きな理由のひとつに、営業会議の資料づくりの煩雑さがあげられます。実際、CRMや各帳票から営業会議のたびに、データを集計し、資料づくりを行うというタスクは負荷が大きく、敬遠されがちです。しかしその結果、営業活動のPDCAサイクルが月に1回しか回らない事態を招いてしまっては本末転倒です。
ダイエットに置き換えれば、月に1回だけ体重計に乗り、「あれを食べてしまったな」「運動しておけば良かったかも」と、すべてが後の祭りになってしまう状態です。
まずは振り返りのサイクルを短くすることで、実態に即したリアルタイムな改善が可能になります。GRAPHを活用することで、CRMもしくはGRAPH上の最低限の商談項目を更新するだけで、資料の準備を行わずともGRAPH上で会議に必要な数字およびデータ項目がわかりやすくスタンバイされている状態になります。もちろん会議以外のタイミングでも、ひと目で現状が把握できます。