コロナ禍で激変する営業とマーケティングの環境
第1回「営業主導のマーケティングがもたらす5つのメリットとは?」、第2回「マーケティングは打ち出の小槌ではない! 営業主導で取り組む際に留意するべき5つの点」では、営業がマーケティング企画を主導するメリットとその際の留意点について解説してきました。これらはコロナ禍以前から重要であったことですが、現在のコロナ禍で起こっている変化への対応にも、営業の現場感覚は重要です。足元で起こっている変化に対応ができるように、営業の視点を入れながら実際の企画に落とし込んでいく必要があります。
最終回では、マーケティング企画を推進するにあたってインパクトが大きく、注視するべき3つの変化について解説します。
- 【意思決定プロセスの変化】顧客はどのように情報収集しているのか?
- 【営業活動の変化】会わずに売るにはどのような準備が必要か?
- 【データの変化】必要なデータが変わる。今だからできることは何か?
1.【意思決定プロセスの変化】顧客はどのように情報収集しているのか?
そもそも顧客の60%以上が営業に会う前に、事前情報を収集し、検討するソリューションに優先順位をつけているという調査もあります。同様の調査は多数あり、コロナ禍以前においても顧客の6~7割が事前情報を得るためにウェブを活用しているという傾向があります。
コロナ禍で営業担当者に会うことが難しくなったことでその傾向は加速しており、事前情報の提供の重要度はさらに増していると考えるほうが良いでしょう。この顧客の変化に合わせた情報提供方法を考える必要があります。
まずは、テレワークへの移行により顧客がオフィスにいないということは大きな変化です。これまで主力の方法であった郵送によるダイレクトメールやアウトバウンドコールの効果は激減しています。また、展示会や対面型でのセミナーといった人と会う方法もかなり使いづらくなります。
そこで、次のような3つの対策が必須となります。
- ウェブサイト上での情報量を強化する→これまで掲載していなかった事例やノウハウ情報、価格情報も提供する
- オフラインでの施策をオンラインに転換する→オンラインセミナーや資料ダウンロードなど新しい情報提供方法を試す
- デジタルの広告出稿に転換する→オンラインで情報収集している人を集客する
一方で、情報収集する場所がオフィスから、自宅や出先に代わったことで、スマートフォンのビジネス利用が増える傾向も出ています。いくつかの企業を調査したところ、ビジネスサイトへのスマホでのアクセスは、コロナ前に比べて1.5~2倍程度の利用者数になっているケースもあります。この記事を読んでいる読者の皆さまももかつてはPCで読んでいたけれど、今はスマホで読んでいるということも多いのではないでしょうか。
スマホ利用の増加は広告の出し方やウェブサイトやコンテンツづくりにも影響してきます。そこで、これまでBtoBでは主戦場にしてこなかった次のような対応が必要となってきます。
- 表示のスマホ対応/レスポンシブ対応→まずはスマートフォンで適切に見ることができる状態にする
- スマホでも適切な情報収集ができるようにする→資料ダウンロードがしやすい、図が見やすい、ページがまとまっている、ナビが使いやすい状態にする
- 広告出向先の再検討→スマホ利用の多いSNS広告などの検討
また現在うまくいっている企業も注意しなければならない点もあります。オフライン施策でできることが少なくなると、メールを中心とした方法がさまざまな企業で過度に重視されるようになり、自社・他社問わずたくさんのメールが飛び交うようになることです。
メール配信を各社が行えば、自社への注目度が相対的に見て下がります。これまで以上に配信先のターゲティングやメールタイトル・メール本文のクオリティを上げていかなければ、同様の成果を上げることが難しくなることを念頭に置いたほうが良いでしょう。