これからのSales Techは営業活動領域に注目
Sales Tech活用の現状、さらに営業現場の意識改革というふたつの問題を踏まえて、これから意識すべきSales Techとは何か。松浦氏は、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングの定義を引用し、Sales Techの活用モデルにはふたつの要素があると説明する。ひとつは「営業管理」、つまりSFA・CRMなどの「Current Sales Tech」。もうひとつは、現場で展開されている「営業活動」を示す「Future Sales Tech」であり、「これからのSales Techは、後者に着目する必要がある」という。
Sales Techの活用モデルを業務に分解すると、計画を起点にして「営業活動」が開始され、準備をして、顧客を訪問し、商談を行い、その結果を記録・報告するという流れで展開される。そこから先は「営業管理」の領域になり、情報の蓄積、分析、共有というサイクルで、全体を育成や学習活動で支えているというかたちになっている(図4)。
今回のキーワードである「ワークログ」は、この営業活動の流れの中で、テクノロジーによって自動的に取得される客観的なデータである。松浦氏によると、「ワークログには『コンテンツの管理解析』『トレーニングの管理解析』『コミュニケーションの管理解析』という3つの構成要素があり、①コンテンツの利用状況、②トレーニングの進捗、③コミュニケーションの実態、という3つのステップで取得する必要がある」とする(図5)。
起点となるのが資料・情報といったコンテンツである。コンテンツの利用状況を取得して分析していくと、そのコンテンツが最適化されていく。その後、営業担当者が最適なコンテンツを使って学習をし、得たスキルとコンテンツを活かして効率的な商談を行うという流れで、最適な営業方法をそれぞれが把握できるようになる。
コミュニケーションの観点では、「何を伝えるか」「どう伝えるか」というふたつのポイントがあるが、ここで重視するのは前者である。どんな製品、どんなサービス、どんなポイントがあり、どんなストーリーなのか。つまり、「コンテンツを標準化して高度化する作業は、営業活動そのものを標準化・高度化することにつながっていく」(松浦氏)ということになる。
ちなみにコンテンツとは、日々営業活動で使っているカタログや提案資料、紹介動画、導入事例、パンフレットなどのいわゆる販促資料である。この販促資料が営業ストーリーの核になり、営業担当者の武器になる。そこで販促資料をSales Techツールを使って全員に配信し、活用できる環境を整えることが必要になってくる。