令和のいま”飲みニケーション”はブルーオーシャンである
昭和はもちろん平成になってからも”飲みニケーション”は盛んに行われてきた。40代、50代の方はよく知っているだろう。仕事終わりに上司や同僚と酒席でじっくりと話す。ときにはお得意先の担当者を接待することも。こうした時間をとることで、仕事が円滑に進むようになったものだった。
しかし近年、働き方改革やプライベート重視の流れに押されてめっきりと影が薄くなった。20代の若い社員は「友達とは飲みに行くけど、上司や取引先とは飲まない」という人も多い。というか、ほとんどそうだろう。令和になったいま、「飲みニケーションを活用している人など、まずいないだろう」と思っていた。
ところがである。
ここ最近お会いした若い営業マンは違った。フルに飲みニケーションを活用している。話を聞けば「週3でお客様と飲みに行っていますよ」と言うのだ。この営業マンは20代前半。入社して2年ほどしか経っていないが、会社ではすでにトップランカーになっている。
彼は機械部品の法人営業をしているのだが、若さゆえに知識はベテランに比べると足りないところもある。お世辞にも知識が豊富とは言えない営業だ。トークも普通で、人間的魅力も普通なのだ。ただ飲みニケーションのスキルはピカイチだった。
この営業マンが担当する取引先の方たちは40代後半から50代。この世代は飲みニケーションを盛んにとってきた世代だ。飲めても飲めなくてもお酒の場は嫌いではない。この方たちから、雑談で「ここ最近は飲み会に部下を誘ってもこない」「僕はウーロン茶で、と言ってまったく飲まないんだ」などという愚痴を聞いていた。こういった不満を持つ中年の方は多い。
そこへ、20代の若者から「今日、これから一杯どうですか?」と誘われたらどうだろう。営業活動の一環だとわかっていても嬉しいものだ。ある程度スペックの近い製品や営業担当者が横並びだったとして、多くの担当者がこの営業マンにオーダーを出すだろう。若者たちが敬遠する中、飲みニケーションの威力を知っている人だけ得をしている。一見、姑息なやりかたに感じるかもしれないが、これは立派な戦略である。
「仕事よりも、仕事後にお酒を飲むことのほうが好き」という人も一定の割合で存在している。しかも、こういった人が会社では力を持っていることもある。彼は、それを熟知したうえで時間を投資しているのだ。