組織づくりのプラットフォーム「sonar HRテクノロジー」を展開するThinkings(読み:シンキングス)は、社内におけるキャリア開拓や社内公募の取り組み、それらの課題を把握するために、ビジネスパーソン1,069名(全国の従業員1,000名以上の企業の一般職)へのアンケート調査を2025年9月に実施し、その結果を発表した。
テーマ1.「埋もれ人材」、「能力発揮人材」の「静かな退職」(※)との関係
※静かな退職(Quiet Quitting):出世や昇進を目指さず、与えられた職務の範囲内で必要最低限の仕事だけを果たそうとする働き方のこと。“静かな退職”予備軍は、“静かな退職”になる可能性がある人たちのことを指す
およそ4割が、能力が十分に発揮されていない「埋もれ人材」

「現在の部署の業務で、自分の能力が十分に活かされていると思いますか。(単一回答)」と質問したところ、8.8%が「活かされている」と回答、「どちらかと言えば活かされている」は46.9%でふたつの合計は55.7%だった(「能力発揮人材」)。一方、「活かされていない」17.6%、「どちらかといえば活かされていない」26.7%という回答で、ふたつの合計は44.3%だった(「埋もれ人材」)。埋もれ人材は全体のおよそ4割存在することがわかった。
必要以上の努力や関与を極力避ける“静かな退職”予備軍の割合は全体の約1/4

「あなたの業務に対する姿勢として当てはまるものを1つ選んでください。(単一回答)」と質問したところ、「期待される以上の業務をこなそうとしている」は18.4%。「期待される業務をこなすことを第一に考え、余裕があればそれ以外の業務も対応しようとしている」は56.9%という回答だった。一方、「期待される業務はこなそうと努力するが、それ以上の努力や関与を極力避けるようにしている」という回答は24.6%で、これを、静かな退職予備群と位置付け、その割合は全体の約1/4にあたることがわかった。
静かな退職予備軍の割合、「埋もれ人材」は「能力発揮人材」の3倍以上多い

「あなたの業務に対する姿勢として当てはまるものを1つ選んでください。(単一回答)」と質問したところ、「期待される以上の業務をこなそうとしている」は、能力発揮人材は23.5%、埋もれ人材は12.2%で、能力発揮人材のおよそ半分だった。
一方、「期待される業務はこなそうと努力するが、それ以上の努力や関与を極力さけるようにしている」(静かな退職予備軍)は、能力発揮人材で12.3%、埋もれ人材で40.8%だった。つまり、静かな退職予備軍の割合は、埋もれ人材が能力発揮人材の3倍以上となることがわかった(能力発揮人材、埋もれ人材のクロス集計)。
テーマ2.「社内公募制度」の実態
およそ4割が社内公募制度があると回答

続いて、「あなたの勤務先にはどのような制度・環境がありますか。(複数回答)」と質問したところ、勤務先に「社内公募制度がある」と回答した割合は43.4%(※)で、およそ4割だった。
※選択肢には「社内公募制度(上司の承認は不要で自由に応募できるもの)」、「社内公募制度(上司の承認がなければ応募できないもの)」、「ジョブポスティング制度(部署側が希望する人材要件を社内に公開し、従業員が応募できる社内公募制度)」の3種類があり、いずれかの回答の割合が43.4%だった
埋もれ人材の勤務先はキャリアなどに関する制度導入や環境整備が進んでいない

「あなたの勤務先にはどのような制度・環境がありますか。(複数回答)」と質問したところ、「あてはまるものはない」をのぞくすべての選択肢において、埋もれ人材は能力発揮人材より回答が少ない結果となった。埋もれ人材の勤務先は能力発揮人材に比べてキャリアや働き方に関する制度導入や環境整備が進んでいない傾向があることがわかった(能力発揮人材、埋もれ人材のクロス集計)。
社内公募に応募した人は全体の約2割、応募して異動した人は全体の約1割

「勤務先に社内公募制度がある」と回答した人に「あなたは、社内公募に応募したこと、それにより異動したことがありますか。あてはまるものを1つ選んでください。(単一回答)」と質問したところ、「社内公募に応募して、希望通り異動できた」人は11.1%、「社内公募に応募したが、異動できなかった」人は9.2%。
つまり、社内公募に応募したことがある人は全体の約2割で、それにより異動できた人は全体の約1割だということがわかた。一方、「社内公募に応募したことがない」人は8割弱の79.7%だった。
社内公募で異動した人には「会社への満足度が上がる」などのポジティブな変化あり

「社内公募に応募して異動できた人」に「社内公募による異動をして変わったことについて、あてはまるものをすべて選んでください(複数回答)」と質問したところ、具体的な回答でもっとも多いのは「会社への満足度が上がった」で40.0%、2番目は「やりたかった仕事ができるようになった」で37.5%、3番目は「能力を発揮できるようになった」で25.0%という回答だった。
テーマ3.社内公募・異動への期待
社内公募により異動した人は、能力発揮人材が埋もれ人材の約2.5倍多い

「勤務先に社内公募制度がある」と回答した人に「あなたは、社内公募に応募したこと、それにより異動したことがありますか。あてはまるものを1つ選んでください。(単一回答)」と質問したところ、「社内公募に応募したが、異動できなかった」人は、能力発揮人材は7.5%、埋もれ人材は12.5%と、埋もれ人材の方が5.0ポイント(約1.6倍)多かった。
一方、「社内公募に応募して、希望通り異動できた」人は、能力発揮人材は15.0%、埋もれ人材は5.9%と、能力発揮人材の方が9.1ポイント(約2.5倍)多かった(能力発揮人材、埋もれ人材のクロス集計)。
埋もれ人材が社内公募に応募しなかった理由、最多は「希望するポジションの公募が無かった」45.9%

「社内公募に応募したことがない人」と回答した人に、「社内公募に応募しなかった理由は何ですか。(複数回答)」を質問したところ、能力発揮人材が多いのは「今の部署・仕事に満足しているため」で、49.4%、埋もれ人材の9.0%より40.4ポイント多い。
一方、埋もれ人材は、それ以外のほとんどの項目で多く、もっとも回答が多いのは「希望するポジションの公募がなかったため」の45.9%だった。2番目は「応募できる条件に当てはまらなかったため」で27.9%、3番目は「社内公募に応募すると上司や職場から悪く思われる懸念があるため」で18.9%という回答だった(能力発揮人材、埋もれ人材のクロス集計)。
およそ半数は、今後希望するポジションの社内公募があれば応募意向がある

「あなたは今後、希望するポジションの社内公募があれば、応募したいと思いますか。勤務先に社内公募制度がない場合は、制度があると仮定してお答えください。(単一回答)」と質問したところ、「応募したい」は17.1%、「どちらかと言えば応募したい」は32.7%で、合計で49.8%が応募の意向があることがわかった。
【調査概要】
調査名称:社内におけるキャリア開拓に関するアンケート調査
調査実施主体:Thinkings
調査対象者:調査会社のモニター登録者、ビジネスパーソン1,069名(全国の従業員1,000名以上の企業に勤務する一般職)
調査期間:2025年9月3~5日
