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2025年7月24日(木)13:00~18:20

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マッチョイズムは害悪か 職場における「強さを競う文化」を調査/リクルートマネジメントソリューションズ

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 リクルートマネジメントソリューションズは、規模50名以上の企業で働いている20歳から59歳までの正社員933名に対し、「職場における『強さを競う文化』に関する調査」を実施した。

全体の約7割が「1.プライベートで困難なことがあっても、職場では平然としていなくてはいけない」という項目で肯定的な回答 「弱みを見せないこと」「力強さやスタミナがあること」の項目は、いずれも過半数が肯定的な回答

図表1 職場の「強さを競う文化」の程度

 Berdahlら(2018)によるMCC(Masculinity Contest Culture:男性性を競う文化)の4つの特徴を参考に、職場における「強さを競う文化」を具体的な状況に落とし込んだオリジナル項目を作成し、実態を確認した。

 確認的因子分析の結果、想定していた4つの特徴(「弱みを見せないこと」「力強さやスタミナがあること」「仕事を最優先すること」「競争に勝つことが望ましいとされること」)および、別途探索的に入れた2項目(「その他」)の構造が確認された。

 もっとも多く見られたのは「弱みを見せないこと」のなかの「1.プライベートで困難なことがあっても、職場では平然としていなくてはならない」という項目で、全体の67.4%が肯定的な回答(「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」、以下同様)だった。

「弱みを見せないこと」および「力強さやスタミナがあること」の項目は、いずれも過半数が肯定的な回答であった。一方で、「仕事を最優先すること」および「競争に勝つことが望ましいとされること」の項目のほとんどは肯定的な回答が50%を下回った。

71.3%が「『強さを競う文化』は社員のストレスや精神的負担を増大させる」と回答

図表2 「強さを競う文化」に対する考え

 図表2では「強さを競う文化」をどの程度、望ましい(あるいは望ましくない)と感じているかを示した。

「5.『強さを競う文化』は社員のストレスや精神的負担を増大させる」という回答(「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」、以下同様)は71.3%にのぼった。また、「7.自社の『強さを競う文化』は過剰だ」(以下「過剰感」)という回答は44.8%、「8.周囲の人は自社の『強さを競う文化』を過剰だと思っているだろう」という回答は43.5%だった。

 なお、ここでいう「強さを競う文化」とは、弱みを見せないこと、力強さやスタミナがあること、仕事を最優先すること、競争に勝つことが望ましいとされること、といった文化を指す。

「強さを競う文化」の4つの特徴(弱みを見せない/力強さ・スタミナがある/仕事最優先/競争に勝つことが望ましいとされる)のうちもっとも過剰だと感じるのは「仕事を最優先すること」

図表3 「強さを競う文化」の過剰な構成要素

 過剰感がある(「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」) と回答した人を対象に、「強さを競う文化」の4つの特徴のうち、どれを過剰だと感じているかを複数回答で確認したところ、「仕事を最優先すること」が22.1%ともっとも高かった(図表3)。また、4つの特徴の有無2群で過剰感の平均値の違いを確認したところ、「仕事を最優先すること」のみ、選択した人の過剰感はそうでない人と比べて統計的に有意に高かった(p<.01)。

 職場の現状として「仕事を最優先すること」の程度は相対的に低かったが、それでも「仕事を最優先すること」は過剰だと感じる人が多い。図表1の項目では、「仕事を最優先すること」を労働時間や休暇の側面で具体化していたが、たとえばプライベートな時間も仕事のための自己研鑽に費やすべきだという風潮があるなど、そのほかの事象が生じている可能性もある。

「強さを競う文化」では、成長・モチベーションの向上・パフォーマンスの向上などの良い影響がある一方で、疲弊感・公平性の低下・パフォーマンスの低下・多様性の低下といった悪い影響も

図表4 「強さを競う文化」の良い影響
図表5 「強さを競う文化」の悪い影響

 図表4、5では、「強さを競う文化」が実際に職場に与える良い影響と悪い影響について、具体的なエピソードをそれぞれ自由記述にて確認した。

 良い影響としては、大別して成長・モチベーションの向上・パフォーマンスの向上に関する記載が確認された。ただし、全体の過半数は「良い影響はない」という主旨の記述であった。

 悪い影響としては、疲弊感・公平性の低下・パフォーマンスの低下・多様性の低下に関する記載が確認された。

「総合職、地域総合職、一般職などの別がある」会社で働いている人のほうが、「強さを競う文化」の「程度」や「過剰感」がいずれも平均値が高かった

図表6 「強さを競う文化」の程度や過剰感の違い
図表7 組織制度の有無

「総合職、地域総合職、一般職などの別がある」という項目を選択した人(n=277)と選択しなかった人(n=656)の間で、「強さを競う文化」の4つの特徴12項目(図表1)の平均値および過剰感、周囲の過剰感の認識(図表2)を比較したところ、「総合職、地域総合職、一般職などの別がある」会社で働いている人のほうが、いずれも平均値が高く、有意差が見られた(図表6)。柔軟な働き方を促す各制度の有無(図表7)で2群に分け、同様に「強さを競う文化」の程度および過剰感に関して確認したところ、いずれも有意差はなかった。

一般社員と管理職では、管理職の方が過剰感・周囲の過剰感を高く認識。「総合職、地域総合職、一般職などの別がある」会社では、昇進意欲高群は昇進意欲低群と比較して過剰感・周囲の過剰感の認識が統計的に有意に高かった

図表8 「強さを競う文化」の過剰感の違い
図表9 コース別雇用の会社で働いている一般社員における 「強さを競う文化」の過剰感の違い

 職場において、立場が弱いと感じている程度(「性別、学歴、年代などの属性に関して、職場において少数派だと感じることがある」「職場の会議などでは、気軽に発言できる立場ではない」など4項目の平均値)の高低2群で過剰感・周囲の過剰感の認識の平均値の違いを確認した結果、立場が弱いと感じている人のほうが過剰感・周囲の過剰感の認識が統計的に有意に高い傾向にあった(図表8、①②)。

 過剰感・周囲の過剰感の認識の違いについて一般社員と管理職間で比較すると、管理職の方が統計的に有意に高かった(図表8、③④)。

 さらに、「総合職、地域総合職、一般職などの別がある」会社で働いている一般社員のみに絞り、昇進意欲(「組織で評価され昇進したい」「組織のなかで出世し高い地位に就きたい」の2項目を平均)の高低2群で過剰感・周囲の過剰感の認識の平均値の違いを確認すると、昇進意欲高群は昇進意欲低群と比較して、どちらも統計的に有意に高かった(図表9)。

「強さを競う文化」と昇進意欲、離職意向などの結果変数をかけ合わせると、すべての結果変数において、統計的に有意な差が見られた

図表10 「強さを競う文化」高低群・包摂性高低群のクロス集計
図表11 「強さを競う文化」×包摂性別の結果指標(個人の意識)

「強さを競う文化」の程度と職場の包摂性(「私の職場では、仕事上の役割だけでなく、個々人の性格や人柄も大切にされている」などの5項目の平均値)の高低をかけ合わせた4群に分け(図表10)、組織や個人の状態を示す6つの結果変数について確認した(図表11)。なおこれ以降、本文においては4群の表記を簡略化し、①強包H、②強H包L、③強L包H、④強包Lと表す(それぞれ程度が高い場合をH、低い場合をLで表す)。

 心理的居場所感(自分が役に立ち受け入れられていると感じ、自分らしく行動でき、安心していられる心の状態)を構成する居場所安心感・居場所本来感の平均値は、多くの群間で有意差が見られ、②強H包L、④強包Lの得点の差分がもっとも大きかった。

 心理的居場所感は職場の包摂性と相関があるといわれており、今回の調査においても有意な正の相関関係にあったが、職場を自分の居場所だと感じられるかどうかは、包摂性だけでなく、「強さを競う文化」の程度も関係していることがわかった。

 組織市民行動(結果として組織の効率や機能が高まる、自発的な役割外行動)の平均値については、①強包H、③強L包Hでは有意差が見られず、どちらも高得点であった。

 昇進意欲については、①強包Hの次に③強L包Hの得点が高かった。

 疲弊感を高い順に並べてみると、②強H包L、①強包H、④強包L、③強L包Hという結果であった。ここまでの結果変数に関して①強包Hはポジティブな結果を示していたが、疲弊感に関しては2番目に高かった。また、①強包H、③強L包Hの得点差が大きかった。

 離職意向を高い順に並べてみると、④強包L、②強H包L、③強L包H、①強包Hという結果となり、差分は小さいものの、②強H包Lよりも④強包Lの方が、統計的に有意に離職意向が高かった。

【調査概要】

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