Sansanは、双日テックイノベーションにおける契約データベース「Contract One(コントラクトワン)」の活用事例とその成果を発表した。

双日テックイノベーションでは、Contract Oneを活用することで契約締結時に契約条件にリスクがないかを分析する時間を年間約7,000時間削減し、リスク管理の徹底と工数削減の両立を実現している。
同社は今回の取り組みと成果によって、自社のビジネスや働き方に変化・イノベーションを起こしたユーザーを表彰する「Sansan Innovation Award 2025」を、Contract One利用企業として初めて受賞した。
サービス導入の背景
双日テックイノベーションでは、ネットワーク・ITインフラ構築、システム開発などの事業を展開している。他社製品を仕入れて顧客に提供する機会も多く、それら製品を購入する契約(購買契約)と、顧客に販売する契約(販売契約)をそれぞれ取り交わしている。購買契約と販売契約とで整合性がとれていないと、顧客に製品を提供できなくなるリスクがあるため、同社ではエクセルで作成された独自のチェックリスト「リスク分析表」を活用して、すべての契約書でリスク分析を行っている。事業部の担当者は、契約書の条文を1つひとつ目視で探し、リスク分析表のフォーマットに手入力する必要があるほか、法務部門でも入力内容の確認に手間がかかっていた。これにより、リスクをひと目で把握できる一方、作成の手間が担当者にとって負担となっていた。
また、締結後の契約管理は専用のシステムを活用していたが、契約内容のデータ化ができないため管理部門が「契約締結日」「金額」といった項目を手入力する必要があり、事業部門が契約書を探す際には登録した項目でしか検索できず手間がかかっていた。
これらの作業によって取引開始後の契約管理やリスク管理に工数を要しており、取引前の企業のリスクチェックに対応できていないことも課題となっていた。これらの課題を解決し、リスク管理を強化するためContract Oneの導入を決定した。
導入後の運用と成果
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Contract One AIを活用し、リスク分析の工数を年間約7,000時間削減
Contract Oneには、契約書について質問すると適切な情報を抽出し回答する「Contract One AI」を搭載している。Contract One AIを活用することで、事業部門では「リスク分析表」の作成に必要な条文を探す作業を効率化できたうえ、条文を見つける精度も向上した。これにより、事業部と法務部門で合わせて年間約7,000時間の工数を削減した。
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契約管理にかかる年間500時間の業務削減を実現
Contract Oneでは紙の契約書は送付するだけ、契約書データはアップロードするだけで、契約書を正確にデータ化し、「契約締結日」「金額」といった主要9項目がひと目で確認できるデータベースを構築する。また、高度な検索機能を備えているため、契約書の全文を対象にキーワード検索も可能。これにより双日テックイノベーションでは、契約書の登録や検索にかかっていた業務時間を年間約500時間削減した。新たに生まれた時間は、顧客対応などより付加価値の高い業務に充てている。
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Sansanリスクチェックも併用し、一連の契約業務プロセスを効率化
双日テックイノベーションでは、契約情報を扱うContract Oneに加えて、顧客情報を扱う営業DXサービス「Sansan」も活用している。Sansanの「リスクチェック機能」では、名刺などから顧客情報を取り込むだけで取引に懸念のある企業を自動でスクリーニングすることが可能。同社では、このリスクチェック機能を活用して取引前の企業についてもリスクを事前に検知できる体制を構築した。結果、取引前から契約締結以降も含めて一連の業務プロセスでリスク管理強化を実現している。
双日テックイノベーション コーポレート統括本部 財経・リスク管理部 リスク管理課 課長 石村武氏のコメント
当社は、双日グループのICT中核会社として、1969年の創業以来半世紀以上にわたり、ネットワーク・ITインフラ構築、システム開発、運用・保守などのサービスを提供しています。
当部門では社内のリスク管理を行うべく「契約リスク分析」や「反社会的勢力との取引を防ぐための取引先審査」を徹底する一方、業務効率化を進めることでリスク管理の強化と生産性向上を両立したいと考えていました。Contract Oneの活用によって、リスク分析の時間が短縮され、事業部と法務部門の双方で業務負荷が軽減できたと実感しています。今後もContract Oneを活用し、事業活動の基盤であるリスク管理を強化していきたいと思います。
「Contract One」の概要
Contract Oneは、Sansanが提供する契約データベース。紙や電子などさまざまな契約書をデータ化し、契約の有効性や契約同士の複雑な関係を、誰でも正確かつ俯瞰して捉えられる契約データベースを構築する。また、生成AIを活用した機能によって、管理部門だけでなく事業部門も日常的に契約データを活用できる環境を整備する。