Nexalは、国内企業のDX関連組織とマーケティング組織の設置状況についての調査結果を発表した。本調査は一般的な企業アンケートではなく、各社のコーポレートサイトに公開されている人事情報の発表記事を、自然言語解析によって分析・集計した結果となる。
調査概要
- 対象データ:ウェブサイトに人事情報を公開している企業(※2021/1/1~2023/5/31の人事発表記事)
- 公開企業数:5,206社
- 企業属性:法人番号をベースにした独自DB環境による属性情報付与(約63万社)
- 集計方法:人事発表記事から抽出ワードを含む組織名・役職をカウント(※重複はすべて排除)
- 抽出ワード:デジタルトランスフォーメーション、DX、デジタル推進、マーケティング、インサイドセールス、デジタルセールス
上場企業DX関連組織の設置率は11.7%
人事情報を公開している企業5,206社において、“DX”、“デジタル推進”、“デジタルトランスフォーメーション”の「DX関連」のワードを含む組織名がある会社は628社。名称はDX本部、〇〇事業本部デジタル推進室、デジタルトランスフォーメーション推進本部など複数存在し、法人番号をキーにすべて重複処理を行っている。
調査全体のうち上場企業は3,503社含まれ、DX関連組織がある企業は410社であった。2023年5月の時点で上場企業のDX関連組織設置率は11.7%という結果となった。
本調査は過去にも同じ手法で定点調査を行っているが、2021年の6.47%と比較して5.2ptの増加、社数では2年間で166社増えたことがわかる。※調査全体では263社増加している。
DXを組織化する業種はIT、建設、不動産、製造の順
次の表は、人事情報を公開している企業5,206社(※1)に企業属性情報を付与(※2)し、国内企業63万社の企業DBを母数に各属性の組織設置状況を分析した結果。
※1 人事情報をウェブサイトに公開している企業は、比較的規模の大きい企業に限られる
※2 業種大・小区分、資本金区分、従業員数区分、売上区分、上場区分、都道府県など
エンタープライズ企業だけで絞ると、資本金50億円以上(全体)のDX組織設置率は14.5%、従業員数1,000人以上(全体)は8.3%、売上げ500億円以上(全体)は12.1%という結果となった。
売上が500億円以上で平均より設置率が高い業種は、IT業26.9%、建設業25.3%、不動産業16.5%、製造業15.6%の順となり、業種によっては原材料の高騰や労働力不足など、外部環境の急激な変化がDX組織を立ち上げる要因として考えられる。
DX銘柄2023の53社の実態
2023年5月31日、経済産業省から「DX銘柄2023」32社、「DX注目企業」19社、「DXプラチナ企業2023-2025」3社の合計54社が発表された。
※出典元:経済産業省DX銘柄2023
53社中DX関連組織があるのは35社、マーケティング組織がある企業は23社、両組織を持つ企業は16社であった。そのうち、デジタルセールス、インサイドセールスという組織名を持つ企業は2社。2社はインサイドセールスを1事業本部内に組織化し、DX関連やマーケティング組織は本部として設置されている。
DX関連組織のみの企業は53社中19社。業種内訳を見ると製造業、不動産業、建設業が占め、マーケティング組織はなくともDXの一貫でさまざまな課題に取り組んでいる様子が読みとれる。
※なお、本調査は各企業のウェブサイトに公開されている人事情報の発表記事を自然言語解析した結果である。組織化されていても担当役員がつかない場合や、ひとつの課として人事情報が発表されないケースはデータに出現しない。