バーチャレクス・コンサルティングは、先立って実施したカスタマーサクセスに関する実態調査について、第五弾の結果を取りまとめた。
調査実施概要
「2023年カスタマーサクセスに関する調査」
- 調査方法:インターネットアンケート
- 調査実施期間:2023年3月17日~3月22日
- 対象地域:全国
- 対象者:20歳から 65歳の有職者(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト、個人事業主・フリーランス、専業主婦・主夫、家事手伝い、学生を除く)29,237人
第五弾調査結果概要
第一弾の調査対象である29,237人の中で、カスタマーサクセスに取り組むことに関して必要性を感じている人、感じていない人それぞれどんな傾向/特徴があるかを深掘りした。
カスタマーサクセス取り組み層の業績は好調か
まず、今回の調査対象の中で「カスタマーサクセスに取り組んでいる」「今は取り組んでいないが必要性を感じている」「今は取り組んでいないし今後も取り組む予定はない、かつ必要性を感じていない」という各層別で、直近一年の業況指標変化の違いを見てみたところ、取り組みを行っている6割前後は新規顧客数、新規売上、継続売上いずれも増加したと回答した。
必要性を感じている人については55~57%の人が「(指標は)変わらない」としていることに加え、2割前後の人は「減少した」と回答している。また、必要性を感じていない人はいずれの指標も6割以上の人が「変わらない」と回答している。
取り組みの必要性を感じている人に立ちはだかる人材・組織体制の壁
自社において「現在はカスタマーサクセスに取り組んでいないが必要性を感じている」と答えた252人に対して、「実際にカスタマーサクセスの取り組みを始めることになった場合障害になりそうなことは何か」をたずねたところ、「人材・組織体制が不十分」と回答した人がもっとも多く37.3%で、これは昨年より9.3ポイント増加している。
また「何から手を付けたらよいのかわからない」という人が25.4%、次いで「経営層/上層部の理解が得られない」人が23.0%であった。組織問題、社内理解は毎年変わらずカスタマーサクセスを始めるにあたっての障害となっているようである。
さらに、どのようなことがあればカスタマーサクセスの取り組みを始められるかと聞いたところ、もっとも多かったのは「人員・人材が揃えば(31.0%)」、続いて「最初に着手すべきことと、その後の取り組みの進め方が明確になったら(29.8%)」という結果となった。必要だと感じつつも着手できない人は「体制も進め方もしっかりと準備したい」と考えていることがうかがえる。
次に、現在カスタマーサクセスに取り組んでおらず「今後も取り組む予定はない、かつ必要性も感じていない」と答えた250人に対してその理由を聞いてみると、30.0%の人たちが「いまいちメリットを感じられない」と回答しており、毎年変わらずほぼ3割の人はそう考えているようである。
「今後も取り組む予定はない、かつ必要性も感じていない」と回答した250人に「何が実現されるならカスタマーサクセスに取り組むことに価値があると感じますか?」とたずねたところ、もっとも多かったのは35.6%で「利益拡大」、次いで32.8%の人が「特に価値を感じることはない」、30.8%が「顧客満足度の向上」と、2022年とほぼ同じ結果となった。
カスタマ―サクセスの必要性に対する意識の変化
カスタマ―サクセスの必要性を感じている人、感じていない人はどのような属性の人なのか、「カスタマーサクセスの必要性に対する直近一年の意識の変化」について、いくつかの切り口で見ていく。
まず従業員数別で見ていくと、従業員数500人以上の企業に勤務している人がカスタマーサクセスの必要性を感じるようになっている傾向が見られる。100人未満のところでは、ほぼ半数が「どちらとも言えない」と回答しており、人材・組織体制面も影響している可能性がある。また、「必要性を感じないようになった」と回答している人は、1,000人未満規模では約1割、1,000人以上規模では1割を切っている。
次に、サブスクリプション型商材の扱い有無別で見てみると、サブスク商材を取り扱っている層の76.7%が直近一年でカスタマーサクセスの必要性を感じるようになったと回答しており、カスタマーサクセスがサブスク商材と相性が良いことがうかがえる。反対にサブスク商材の取り扱いがない層の44.5%が「どちらとも言えない」と回答しているものの、ほぼ同じ割合で「必要性を感じるようになった(41.3%)」と回答しており、ビジネスモデル関係なくカスタマーサクセスの重要性が認識されつつあると見られる。
最後に役職別でその意識変化を見てみると、もっとも多かったのは「本部長・事業部長」層で69.6%となっており、企業内での事業責任者がもっともカスタマーサクセスの必要性を感じていることがわかる結果となった。もっとも少なかったのが企業のトップ層であり、ほかの役職と比べて「必要性を感じないようになった」と考えている人の割合も多い結果となった。