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【現地レポ】INBOUND 2022開幕 初ハイブリッド開催に約6万人参加 新コミュニティの設立発表

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初の「ハイブリッド」開催 計6万人が参加予定

 2022年9月7日(米国東部時間)、ボストンのコンベンション&エクシビジョンセンターにてHubSpot主催の年次イベント「INBOUND 2022」が開幕。11回めの今回は、オフラインとオンラインどちらからでも参加できるハイブリッド形式で初めて実施された。

会場内の様子

 世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の状況を受け、2020年・2021年はオンライン参加のみの開催となったINBOUND。オフライン参加を受け付けるのは約3年ぶりで、オフラインで1万人、オンラインで5万人の計6万人参加が見込まれている。なおオフラインで開催された2019年の参加者は約2万6,000名、オンライン開催の2021年は約7万名が参加した。

ケンブリッジのHubSpot本社/HubSpot社員は「@office」「@flex」「@home」から自分の働くスタイルを選ぶことができる

 9日までの会期中、120以上のセッションが用意されており、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、レベニューオペレーションをテーマに、161ヵ国以上から登壇者・参加者が集まる。

企業が理解するべき「3つの断絶」

 米国時間7日10時30分に開始したKEYNOTE「HubSpot Spotlight」。まずは2021年9月にCEOに就任したヤミニ・ランガン氏が登壇した。ランガン氏は、コロナ禍の大きな変化を受けて、顧客や社内にヒアリングを実施する「Listening tour」を約6ヵ月間行い、3つの「Disconnects(断絶)」が存在することに気がついたという。

HubSpot,Inc. CEO Yamini Rangan(ヤミニ・ランガン)氏

 ひとつめは、「システムの断絶」。業務の遂行や顧客体験向上のために、さまざまなソリューションが導入された結果、平均して242のSaaS業務支援ツールが企業に存在することになった。ふたつめは「人と人の断絶」。調査によると45%の回答者が仕事における交流が減ったと回答している。また、ランガン氏自身もヨガのコミュニティに参加していることを挙げ、「良い時代も悪い時代も、人々はコミュニティーへの所属を切望する」と語った。

 3つめが、「企業と顧客の断絶」だ。ランガン氏は次のデータを示したうえで、オンラインの接点が増えた結果、顧客が情報を処理しきれない状態になっていると指摘した。

企業と顧客の断絶を示す3つの数字

  • Googleでキーワード検索をした結果の「65%」がクリックされずに終わる
  • 営業メールへの返信率は「40%」低下
  • オウンドメディア(ブログ)の成長率は「-1.6%」に

 またもっとも革新的なグローバル企業のひとつであるAppleが「Privacy. That’s iPhone」と広告でメッセージを打ち出すなど、「プライバシーファースト」が加速している状況についても補足した。

「このような断絶の危機において、従来のGo to market戦略は機能しません。企業は『Customer Management』ではなく、2018年のINBOUNDで共同創業者のブライアン・ハリガンが紹介した『Customer Connection』に注力する必要があります」(ランガン氏)

 ランガン氏は、「3日間のINBOUNDで『つながり』に関するさまざまなインスピレーションを得てほしい」と自身のパートを締めくくった。

リード創出と支払いの追跡が単一プラットフォームで可能に

 続いて登壇したのは、最高製品責任者(Chief Product Office)のステファニー・カスバートソン氏。提供するCRMプラットフォームへの新機能搭載および機能拡張について5つの観点から紹介した。

HubSpot,Inc. CPO Stephanie Cuthbertson(ステファニー・カスバートソン)氏

(1)Marketing Campaigns

 ゴール設定、セッション数、キャンペーンから生まれた新しいコンタクト、収益貢献の可視化など、マーケティング活動をひとつのビューにまとめてオムニチャネルキャンペーンの管理が可能に。キャンペーン同士のパフォーマンス比較や、自社に合わせたレポートのカスタマイズが実現できる。

(2)Customer Journey Analytics(10月にベータ版公開予定)

 ひとつのタイムラインで顧客のすべてのアクティビティ、顧客が接触したすべてのアセットの履歴が可視化される。

(3)Crafted Data Management

 新機能「データ品質管理センター」などの利用によって、社内のデータをクリーンかつ完全なかたちで管理・活用できる。カスタムコーディングにより、自動で自社のCRMデータを整えることも可能に。

(4)CRMのカスタマイズ

 CRMの見え方を自社や、各チームのニーズに合わせてカスタマイズできる。

(5)Connected Payments(日本で一部機能で利用可能)

 現在米国のみで提供されている「HubSpot Payments」の機能が拡大し、 決済機能と「ミーティング機能」「Eメール」「フォーム」を組み合わせた活用が可能に。「Eメール」と連携して支払いリンクをメールのCTAに設定したり、「フォーム」と連携することで顧客がフォームを送信した時点で支払いを受け付けたりと、リード創出と支払いの追跡を単一プラットフォーム上で行うことが可能になる。

 日本で利用可能なPayments機能は「Payments Schedule」。顧客への見積もり作成および請求時に、請求期日と金額の分割を柔軟に設定できるようになる。

Success as a Serviceへ向け、新コミュニティ設立も

 KEYNOTE終盤に登壇したのは共同創業者 兼 CTOのダーメッシュ・シャア氏。シャア氏からは新コミュニティー「Connect.com」の設立が発表された。

 シャア氏は自身の身近なコミュニティとして、共同創業者であるブライアン・ハリガンと出会ったMITのコミュニティや、息子の誕生や母の死について共有した「INBOUND」を挙げ、「コミュニティはプライベートだけではなく、仕事においても人を助けるもの」であるとあらためて強調した。

HubSpot,Inc. CTO Dharmesh Shah(ダーメッシュ・シャア)氏

 コロナ禍においてHubSpotの経営陣は「Think BIG!」と題したオフサイトを行い、「Solve for the customer(顧客のための最適解を考える)」という同社のカルチャーコードにも登場するテーマに辿り着いた。

「私たちは『Software as a Serivce』ではなく『Success as a Service』を提供する会社でありたい。そのためにはソフトウェアだけではなくコンテンツが必要であり、2021年にメディア『The Hustle』を買収し、質の高いコンテンツの制作・配信能力を伸ばしました。2022年現在、コミュニティーを進化させることが、ユーザーの成功を支援する鍵になると考えています。そこで『Connect.com』を立ち上げたのです」(シャア氏)

HubSpotによる「理想的(IDEAL)」なプロフェッショナルコミュニティの要素

  • Identity(コミュニティーのアイデンティティー)
  • Diversity(多様性)
  • Engagement(エンゲージメント、出会い)
  • Action (双方向、多方向に起きるアクション)
  • Learning(学び)

 Connect.comの参加メンバーは特別共同学習プログラムや、コミュニティー主導の学習グループなどを通して多岐にわたる学びと成長の機会を得られる。参加はHubSpotアカウントへのサインインのみで可能。

 シャア氏は「ぜひこの機会にConnect.comであなたのプロフィールも設定して、初期メンバーのひとりになってください」と述べ、KEYNOTEを締めくくった。

 なお、Connect.comが提供されるのは現時点では米国のみ。日本では世界中で16万5,000人以上が受講する無料のラーニングコンテンツ「HubSpotアカデミー」が提供されており、今後日本語のコンテンツ拡充を加速させていく予定。また「日本語版HubSpotコミュニティー」も無料で誰でも参加することができる。

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