伊藤忠商事は、グループ会社で食品卸大手の日本アクセスと連携し、日本アクセスから食品メーカーに対する発注に関して、AIを用いた需要予測および発注最適化のソリューションを導入開始した。両社は、これを皮切りに食品サプライチェーンDXの本格展開を始動する。
2018年よりDX・データ活用事例の創出とそのための基盤・体制構築に着手していた伊藤忠商事。伊藤忠グループは多くのビジネス現場を有する生活消費サプライチェーン、中でも、食品サプライチェーンのDXによる最適化を重要施策と位置づけていた。そこで、ブレインパッドやグループ会社である伊藤忠テクノソリューションズと連携し、昨年より日本アクセスとの間で、一部の物流拠点における小売店の販売データ等を活用した需要予測と発注自動化の実証実験を実施。一定の在庫削減効果および発注業務の効率化が確認されたため、今回対象となる物流拠点を全国規模へ拡大する方針を決定した。
まずは、一部顧客向けの飲料や酒、菓子など常温商品(約1,000商品程度)から開始し、順次対象を拡大予定。今後は対象とする顧客・カテゴリー拡大のほか、商品・原材料調達から小売店舗向けの物流に至る食品サプライチェーン全体の最適化も視野に入れ検討が進められる。将来的には、食品卸向けのみならず、取引先メーカーの工場稼働・物流倉庫の効率化や小売におけるフードロス・機会ロス削減に寄与するサービスの提供などを目指す。
これまで伊藤忠商事は、DX推進にかかる取り組みとして、2019年12月にデータマネジメント事業を展開するウイングアーク1stを持分法適用会社化するほか、2020年3月には、デジタルコンサルティング事業に強みを持つAKQAとの協業を開始し、2020年11月には、ブレインパッドとの資本業務提携を通じてDX推進体制の強化を図ってきた。今回の取り組みをはじめ、伊藤忠グループ内外のデータを活用した効率化や新規事業創出を促すとともに、マーケットインの視点に立った新たな顧客体験、商品・サービスの提供を目指す。