顧客ロイヤルティを左右する「Buying Jobs」の概念
バイヤーイネーブルメントを実現するために、私たちが提唱しているのが「Buying Jobs」という概念です。これは、顧客が商品を購入する際に果たさなければならない役割や、クリアすべき各プロセスを指します。
これからの営業のミッションは、顧客がBuying Jobsを進める中での「阻害要因」を早期に特定し、その解決を支援することにあります。
ここで、BtoBにおける購買意思決定プロセスを考えてみましょう。
- 「モノ売り」:解決手段が特定されたあとの「選定段階」で初めて顧客と接点を持ちます。このタイミングでは価格競争に陥りやすく、価値訴求は困難です。
- 「コト売り」:解決すべき課題の特定段階から関与します。顧客のビジョンをともに描き、プロジェクトを組成することで、自社の存在価値を高めます。
しかし、「営業は不要ではないか」と考えている顧客に対して、17%という限られた時間の中で、これらすべてを営業が担うのは現実的ではありません。
そこで、製品のメリットを伝える役割はマーケティングに委ね、「顧客が社内稟議を通すために必要なプロセス」や「対処すべき懸念事項」の解消に時間を集中させる。これがバイヤーイネーブルメントの基本的な考え方です。
バイヤーイネーブルメントを阻む「顧客データの分断」
バイヤーイネーブルメントは「言うは易く行うは難し」です。なぜなら、マーケティングからカスタマーサクセス、保守サービスに至るすべての接点情報を統合し、営業に対して「今、顧客のBuying Jobsを阻害している要因は何か」を考えるために精度の高いパス(データ)を渡す必要があるからです。
しかし実態として、多くの企業では部門ごとにシステムが乱立し、顧客IDさえ統一されていない「情報の分断」が起きています。
近年、営業効率化のために生成AIの導入を急ぐ企業が増えていますが、残念ながら、生成AIを導入する前に「半年ほどかけてデータを統合する」というプロセスが必要なケースが非常に多いようのです。
顧客データを統合する魔法のような解決策はありません。その中で、ひとつのヒントとなる事例をご紹介しましょう。
