「エンゲージメント・ヴィークル」が描く顧客体験の統合と「CRO」の役割
最後に、第2回につながる内容として、中長期的な視点もお話ししましょう。
顧客の購買体験において、「営業・提案」という接点はほんの一部でしかありません。顧客体験や商談接点を最適化するためには、マーケティングからカスタマーサクセス、さらに業種・業界によってはカスタマーサポートやアフターサービスに至るまで、すべての顧客接点を統合的にマネジメントしなければなりません。
従来、サブスクリプション型ビジネスモデルの台頭を受けて、顧客接点はダブルファネル型で捉えられてきました。しかし、多くの企業では、部門ごとにシステムやデータが分断しています。ときには、一度商談が失敗に終わった見込み客を拾い上げられず、結果として投資対効果(ROI)が低い状態に陥っています。
これからの時代は、「エンゲージメント・ヴィークル」型のマネジメントサイクルへの転換が求められます。これは、カスタマーサクセスやマーケティングを含む一連の顧客接点組織・機能全体を、継続的なサイクルとしてマネジメントするという考え方です。
このサイクルを設計することで、失注、ペンディング、休眠状態にある顧客も定期的に掘り起こし、マーケティング活動から再び購買サイクルに乗せることが可能になります。この実現には、顧客情報をいかに統合し、一元管理していくかが鍵となります。
しかし、組織をまたいだマネジメントは容易ではありません。そこで今、海外では「CRO(チーフ・レベニュー・オフィサー/最高収益責任者)」という役職を置き、全組織横断で収益オペレーションを管理する動きが加速しています。
実際に、CROを置く企業や収益オペレーションが連携している企業は、そうでない企業に比べて収益成長率が1.8倍高いというデータもあります。
繰り返しになりますが、顧客接点の統合は時間のかかる中長期的な取り組みです。そのため、Work Logを取得して営業生産性を高めて成果を創出する短期的な取り組みと並行して戦略を考えていくと良いでしょう。
顧客の意思決定を支援するバイヤーイネーブルメントと、その基盤となる顧客データの統合に迫る第2回は2月13日(金)公開予定!
