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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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SalesZine Day 2026 Winter

2026年1月27日(火)13時~18時40分

“0→1”フェーズを成功に導く「新規事業」の営業戦略

検証すべきは3つのFit 「インタビュー」と「商談」の決定的な断絶を乗り越える方法

なぜ、多くの新規事業は良いプロダクトがあっても失敗するのか? 成否を分ける“0→1営業”の重要性【後編】

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0→1営業が検証すべき「3つのステップ」

 この「仮説を持って売りにいく」際、何を確かめればゴールなのか、その道筋をクリアにしておくことが重要です。新規事業というと、すぐに「PMF(プロダクト・マーケット・フィット=市場に受け入れられた状態)」を目指して走り出したくなりますが、いきなりそこには到達できません。営業活動を通じて、ひとつずつ階段をのぼる必要があります。

0→1営業が検証すべき3つのステップ

 最初の階段は、「我々が想定している顧客は実在するのか」「彼らは本当にその課題に困っているのか」を確かめること。これがCPFです。次に、「その課題に対し、我々の商品は解決策として適切か」「お金を払う価値があると感じてもらえるか」を確かめます。これがPSFです。

 PMFという大きなゴールを前に立ち尽くすのではなく、まずは目の前の顧客と対話し、「課題はあるか(CPF)」「解決策は刺さるか(PSF)」を地道に潰していく。この泥臭い積み重ねこそが、事業立ち上げの最短ルートになります。

大企業の新規事業に不可欠な「Asset Fit」の検証

 しかし、アセットを持つ企業の新規事業においては、これだけでは不十分です。顧客の課題が見えたあと、解決策の検証(PSF)と並行して、避けて通れないもうひとつの重要な問いがあるからです。

 それは、「その市場で、自社の既存アセット(技術、ブランド、顧客基盤など)が武器として機能するか」という検証です。

 もちろん、「自社の強みを使いたい」という思いが先行して、誰も欲しがらないプロダクトをつくってしまっては本末転倒です。しかし逆に、自社のアセットがまったく活かせない市場に出ていっても、身軽で小回りの効くスタートアップ企業と同じ土俵で戦うことになり、勝ち目は薄くなります。問うべきは、スタートアップ企業には模倣できない「顧客基盤」や「信用力」などが、その事業の参入障壁として機能するかどうかです。これを見極めるプロセスこそが、Asset Fitの検証なのです。

 つまり、企業における0→1営業とは、単に顧客の課題を探るだけでなく、「どこの誰の、どんな課題に対してならば、自社のアセットが最強の武器になるのか」という、自社ならではの“勝ち筋”を探し当てる探索活動でもあるのです。

 ここで「機能が足りないから売れない」と安易に開発へ戻ってしまうと、本質的な「誰の、何の課題を解くべきか」という議論がおざなりになります。0→1営業は、機能を売り込むのではなく、こうした課題仮説をぶつけにいく活動です。顧客が我々の提示した課題に共感し、その解決策に身を乗り出して興味を示してくれるかどうか。その熱量こそが、事業を前に進めるためのもっとも確かなシグナルとなります。

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数千万円の利益と同等の価値を持つ「事実」の蓄積

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“0→1”フェーズを成功に導く「新規事業」の営業戦略連載記事一覧
この記事の著者

Relicホールディングス取締役CMO/Scalehack代表取締役CEO|Founder 倉田丈寛(クラタ タケヒロ)

リクルートにて法人営業を担当後、独立して複数のマーケティング支援・メディア事業を立ち上げ、成長させて事業売却を経験。その後、経営コンサルティングファームで売上1,000億円超の大手企業を中心にマーケティング/営業戦略の策定〜実行を支援し、専門コンサルティングファームではEC・BtoB領域やMA/SF...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://saleszine.jp/article/detail/7912 2025/12/26 07:00

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