急成長企業における営業の「あるべき姿とは」
石野 最後の質問は少し難しいかもしれません。ここ2~3年、Sales Techやインサイドセールスが盛り上がってきました。そのなかで営業のあるべき姿が変化してきているのではないかと感じています。テクノロジーを積極的に活用する急成長企業のみなさまにとって、これからの営業や営業組織のあるべき姿とはどういうものでしょうか。
山本 事業成長におけるボトルネックの一つが「採用と育成」の遅れです。そして、この課題の解決にはテクノロジーの積極活用が有効だと考えています。「質を落とさずに急成長」していくためには、採用や育成の基準を落とすことはできないのですが、そこにこだわり過ぎると「質」は保てても「量」でビハインドが起こりがちです。そうなると、文字通り「少数精鋭」を実現する必要があるわけですが、これを可能にするのがテクノロジーの積極活用です。
ちなみに、こだわって採用・育成した仲間は例外なく、付加価値の低い業務を嫌います。そのため、単にテクノロジーの力で生産性を上げるということだけではなく、「才能を発揮できる時間」を確保するという意味でも、テクノロジーの積極活用にはこだわっていく必要があると思います。
川口 シンプルに言うと、テクノロジーは変化し続けるので、営業にも「変わり続けられること」が必要になっていると思っています。ツールも古くなったり、違う使いかたが出てきたりします。感度高く他社の活用事例にキャッチアップする力も必要です。
一方で、テクノロジーの時代にも人間が介在する力や意味は必ず残ると思っているので、人でなければできないことを磨き続けることも必要になってくるはずです。テクノロジーを最大限活用して変化し続けながらも、対人スキルを同時に磨いていくのがこれからの営業ではないでしょうか。
西山 3社共通していますが、テクノロジー企業に所属していて自身の営業活動にテクノロジーを活用している営業のあるべき姿という視点で、ふたつあります。
ひとつは、どんなに技術力がある会社でも必ず同じようなサービスが世の中に出てきます。そのときに、同じ機能でも価格は倍で売れる営業が良い営業だということです。
セールスフォース・ドットコム社はその最たる例だと思います。プロダクトもすごいですが、同じようなことができるツールも多く出てきています。しかし、販売力が半端じゃない。僕もいろいろ勉強させてもらっていますが、とことん顧客に寄り添い、課題を根っこから掴み、気づいてなければ気づかせ、望む事例を差し出す。当たり前のことのようですが、ここまでやれる営業はあまりいません。これを全営業ができている会社がセールスフォースです。
もうひとつは、持っているプロダクトを売るだけでなく、売れるプロダクトに変えていく視点を持つこと。「売りまくればOK」という時代ではもうありません。顧客の声を拾い、こんな機能を追加すればもっと売れるのではないかと考えられる人、意外といないですよね。このふたつを兼ね備えた人がいれば弊社に来てほしいです(笑)。
石野 良い人材は極めて限られていて、やらなければいけないことは増えているなかで、営業組織の再現性と拡張性高めるためにもテクノロジーの活用は肝になってきます。ただ、その根底に全力でプロダクトと顧客に向き合う姿勢が必要だと感じました。本日は、ありがとうございました!