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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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企業の競争力を高める「営業DX」とは? 日本の営業組織の未来を探る powered by SalesZine

2024年4月18日(木)14:00~15:30

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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ウォンテッドリー、ユーザベース、ベルフェイスが語るSales Tech活用最前線![イベントレポ]

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 2019年7月24日に開催された「Adobe Symposium 2019」。本稿では、「Marketo Sales Connect ~急成長企業の営業組織とテクノロジー活用最前線~」と題されたセッションを紹介。本セッションでは、Marketo Sales ConnectをはじめとするSales Techの活用で営業生産性を高め事業を成長させているウォンテッドリー、ベルフェイス、ユーザベースの3社が登壇。各社が考える営業組織とテクノロジー活用のありかたや今後目指すべき姿などについてアドビ システムズ株式会社 カスタマーエンゲージメント本部 プロダクトマーケティングマネージャー 石野真吾氏のモデレータのもとセッションが展開された。

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営業の生産性を高める新ソリューション、Marketo Sales Connect

 セッション冒頭、石野氏は前日のプレカンファレンスで正式にローンチが発表された「Marketo Sales Connect」について説明。営業部門、カスタマーサクセス、インサイドセールス部門などが日々使うメーラーとCRM、そしてMarketoを連携して使うまったくあたらしい製品だという。石野氏は、本セッションに登壇する3社をはじめとした国内20社ほどのパイロットカスタマーとともにユースケースづくりに励んできた。

 

 Marketo Sales Connectを Gmail上で使う場合、画面上に出てくるボタンですぐに操作することが可能。メールのテンプレートやトラッキング可能なコンテンツなどをメール作成時に使用することができる。顧客がメールを開いたか、資料を確認したかを確認したうえで顧客にアプローチができるツールだ。

 

 Marketo Sales Connectを活用してメールの効率を上げれば、営業担当1人ひとりの生産性を高めることはもちろん、送信・返信などの履歴やテキストデータも自動でSalesforceなどのCRM上に残すことができる。営業それぞれのメールの開封率やクリック・返信があったかというデータにフラグを立てられるので、ハイパフォーマーによるベストプラクティスをチームで共有し、改善サイクルを回すこともできる。石野氏によれば、1年あたり1.5ヵ月分業務の改善ができた事例も出てきている。

急成長企業のビジネス責任者の3名が登壇

 
ウォンテッドリー株式会社 執行役員 川口かおり氏

アドビ システムズ 石野 本セッションではMarketo Sales Connectだけでなく、各社がどのようにSales Techを導入・活用しているのか聞いていきたいと思います。かんたんに自己紹介からお願いします。

ウォンテッドリー 川口 長く人材業界にいて当社に入社したのは2017年10月です。それまでは、テクノロジーに精通しているというよりは営業という「人」の介在価値に重きをおいて仕事をしてきました。ですので、自分自身も勉強しながらツールを導入しています。営業組織は分業制で、マーケティングが獲得したリードをインサイドセールスが育成し、「セールス」にパスしています。実はこの「セールス」もオンラインのみで完結していて、フィールドセールスがいないのが当社の営業の特徴です。Sales Techは顧客管理の「Salesforce」やオンライン商談の「ベルフェイス」などを中心にいろいろ使っています。

ベルフェイス 西山 営業に特化したウェブ会議システムを開発するベルフェイスで収益責任を持つビジネスサイド全般を統括しています。リリースして3年半ほどですが導入社数は1,000社ほど、3万ユーザーが利用しています。組織体制はウォンテッドリーさんとほとんど同じですね。顧客を支援するカスタマーサクセスにも力を入れています。そのなかで、顧客の傾向が見えてくるので、ABMツールの「FORCAS」を活用して次に狙うべき顧客を抽出しています。来年度で言うと、具体的に狙う1万3,000社が決まっているのでそのリードをひたすらマーケティングが集め、Marketoを使ってニーズの精査や育成をし、我々自身もベルフェイスを使って外に一歩も出ずに営業します。商談管理・顧客管理はSalesforceで行い、「クラウドサイン」でオンライン契約を結び、「MotionBoard」のダッシュボードを使ってこれらをわかりやすく可視化しています。

ユーザベース 山本 新卒でコンサルティングファームに入り、10年間広告会社の売上アップのお手伝いをやってきて2017年1月にユーザベースに入社しました。現在は「SPEEDA」というサービスの責任者をしています。世界中の経済情報がこのプラットフォームにのっていて、ワンストップで入手できるので、 ビジネスにおける調査時間を短縮することができ、分析・戦略立案の時間を長くとれるというコンセプトです。SPEEDAに限らず、当社は、さまざまなツールを導入・活用して日々の業務効率向上や業務革新に挑んでいますので、今日は、そういった体験をお話することで少しでも皆さんのSales Tech導入・活用検討の参考にしてもらえればと考えています。

ツール導入のポイントはボトムアップ?

 
ベルフェイス株式会社 執行役員 取締役 インサイドセールス支援事業部長 西山直樹氏

石野 まずは、営業現場にテクノロジーを導入するときはどう選定し、継続利用するためにどう評価しているのか伺えますか?

山本 前提として当社は「ファーストクライアント宣言」と言って、創業1年目のスタートアップ企業の最初のクライアントになることを掲げています。ですので、お話があれば「どう使えるかな?」と前向きに検討するつもりで聞くようにしています。

西山 我々も同じで、良いなと思えば導入する文化です。部門メンバーが10名規模だったころは、私自身も現場で動いていたので非効率に思うことがあれば、自身の権限でツールを導入していました。40人を超えてきたあたりで立場も変わったのですが、ツール選定に関しては現場から声を上げてもらうように徹底しています。トップダウン導入もありですが、現場から上がってきたときと比べると活用が浸透しないことを経験してきたので、現場の「負」を解消するために導入することが多いです。

川口 当社もボトムアップです。この2年間で営業の人数が3倍ほどになったのですが、完ぺきな仕組みをつくったうえで一気に採用したのではなく、採用しながら仕組みをつくってきました。そのなかで課題が出てくれば、解決できそうなものを現場が調べて導入するかたちをとりました。問題が起きないようにすることが理想かもしれないですが、成長期には出てきてしまうものでもあります。

山本 実態として、ツール導入を提言する人は中間管理職であることが多い印象なので、必然的にミドルアップになっているとは思います。ただ、全員が外部セミナーに参加するなどして情報感度を高めているので、導入が有効かどうかは、ある程度、全員が判断できるようになっているとは思います。

石野 Sales Connectの パイロットのユーザーに対しての商談は僕がすべて行ったのですが、スピード感を持って意思決定されるのが特徴的でした。また当社はもともとマーケティング側と接点のある製品を提供していますが、本製品は営業も使うもの。そこでご提案時に、マーケティングと営業で一緒に会議に出て活用方法をオープンに共有するなど連携がとれている企業様も多かったです。

選定にはスピード感がありますが、使い続けるにあたって、ROIが合っているのかなどを検証するのか、そしてそのタイミングも気になります。

川口 明確にROIを測っているかというとできていないです。組織が変化していくので、いまと1年前の比較が難しいというのもあります。ただ課題ありきでツールを導入するので、その課題が3ヵ月後、半年後にどうなっていたら是とするのかということを導入前に決めています。定量的なことだけでなく、定性的な声も聞いて総合的に判断します。

山本 部署ごとの予算内に収まっていれば、導入や継続の判断は基本的に現場に一任されています。補足すると、ツールを入れる際は、社内でテストユーザーを絞り最終検討に入ることが多いので、その最初のユーザーが「入れると言った人」になりますよね。ここで責任の所在ははっきりするので、その人に任せることで早いジャッジを実現しています。ただ、導入責任者が別の役割を担うなどで組織移動することがあれは、そのタイミングではROIのチェック・説明は必要かと考えています。当社の場合、まだそういったケースは少ないですが。

西山 振り返りはしています。厳密に言うと、売上に直結しているかとか、コスト削減しているかという投資対効果を見るべきだと思いますが、できるものとできないものがあるので、ツールによって評価方法は変えています。

たとえばSalesforceを使って売上が上がったか、入力作業が削減したか、集計時間が短縮できたかを短期的に測るのは難しいですよね。こういうものは利用率や使いかたで評価します。商談内容を残すだけの機能しか使っていなければ、もっと簡易なツールで良いかもしれないし、ダッシュボードをつくり、日々の活動を分析するところまでやりこみ、Slackと連携することで社内に常に情報が流通しているような状況をつくることまでできていればSalesforceでしかできないことなので、継続して使っていきます。

費用対効果がわかりやすく測れるツールにクラウドサインがあります。契約数に対して、紙の印刷の費用や時間を算出すればペイできていることがすぐわかります。

永遠の課題「質と量」に3社はどう向き合うか?

 
株式会社ユーザベース SPEEDA Japan SDT General Manager 山本傑氏

石野 現場のスピード感を落とさないようにツールの継続を判断されていることがわかりました。次に、営業の行動量と質のコントロールにおけるツールの使いかたや考えかたを教えてください。

山本 「エントリーマネジメント」という概念は外せないかなと思います。前提としてMQL、SQLの概念を取り入れ「リードの質」の定義はしっかり決めています。加えて、中途採用の即戦力で入ってくるフィールドセールスメンバーでも平均2ヵ月間は研修を受けてもらい、「提案内容の質」も自社基準で定義しています。研修で合格しないと現場には出れません。このように入口で質を定義し、やり切ることで、あとは行動量だけに集中すれば良いというのが当社の考えです。

川口 量と質は永遠の課題ですよね……。ただ、テクノロジーを活用するからには、全体の質を高め、どの営業でも同じサービスを顧客に提供できるよう質を均一化することを目指しています。そして「質を落とさず量を最大化する」ことも常に考えています。実際、新規セールスのチームは1人あたり月80以上商談をすると質が落ちるという傾向があったので、そのラインは越さないようコントロールしていますが、この80件ももっとうまくテクノロジーを活用すれば1社あたりのフォロー時間を削減できますよね。まさにいま使っているMarketo Sales Connectは無駄な電話やメールを送らずに済むものです。質を高めるために時間を短縮することは追求したいです。

西山 量と質の両立は理想ですが、そういう組織づくりは難しいです。事業フェーズによって、どちらに力を入れるべきかは変化するので量に振り切るときと質に振り切るときをつくるのが良いというのが持論です。

たとえば創業当初は、顧客からのお問い合わせに対してできるだけアポを設定し、商談を回していました。お問い合わせが400件ぐらいになるまでひたすら設定していたので、当時営業はふたりしかいなかったのですが、それぞれが1日5商談して200の商談をふたりで行っていました。この時期に量をこなしたことでどういう企業だと受注しやすいか、チャーンレートが下がるかということがわかったんです。

しかし、インサイドセールスは日中の訪問が減って早く帰宅できることもメリットだと訴求していたのに当社のふたりが遅くまで残業をしているような状況になっていました。そこで質の追及に切り替え、そのタイミングでMarketo Sales Connectを導入したんですね。顧客がメールを開封したタイミングで電話をかけて、無駄な電話をしないようアプローチするということを究極まで突き詰めたので、生産性も上がりました。

そして来月からまた一気に量のフェーズに切り替えます。なぜなら新卒が配属され始めてリソースが増えるからです。量をこなしてを経験を積んでもらい、売上も最大化していく。チームとしても過去にやってきたことなので十分に対応できます。いつでも両方できるような組織にしておくことは正しかったと思っています。

山本 川口さんがおっしゃっていた「行動量の上限」は当社もかなり意識しています。テクノロジーを使えば量が無限に増やせるわけではない。ベルフェイスを使うようになって、訪問だけのときは1日最大3商談だったのが、マックス8商談までできるようになりましたが、喉がつぶれてダメだと気づきました(笑)。上限を決めて質を保つことも大切ですよね。

石野 テクノロジーは手段ですよね。量と質、どちらにもこだわりながら、どこにテクノロジーを活用するかを考えられているからうまくいくのかなと。とくに質の向上のためにテクノロジーを使うシーンはありますか?

西山 ベルフェイスを使うと商談の録画・録音ができ、Salesforceと連携していれば動画のURLが残ります。マネージャーは電車内でその動画を見て部下にフィードバックし、質を上げることができます。マネジメントの生産性も上がりますね。

川口 録画、良いですね。あまり受注ができなくなっているメンバーがいるとして、数字を見てこの行動が弱いのだろうと予測しますし、本人も「こういうお客様が多くて」と言うので聞いてみます。それも正しいとは思いますが、意外と部下の商談を録画で見続けるとわかることもありそう。現場をすべて見ることは難しくなっていくので、テクノロジーで補いたいですね。

急成長企業における営業の「あるべき姿とは」

石野 最後の質問は少し難しいかもしれません。ここ2~3年、Sales Techやインサイドセールスが盛り上がってきました。そのなかで営業のあるべき姿が変化してきているのではないかと感じています。テクノロジーを積極的に活用する急成長企業のみなさまにとって、これからの営業や営業組織のあるべき姿とはどういうものでしょうか。

 

山本 事業成長におけるボトルネックの一つが「採用と育成」の遅れです。そして、この課題の解決にはテクノロジーの積極活用が有効だと考えています。「質を落とさずに急成長」していくためには、採用や育成の基準を落とすことはできないのですが、そこにこだわり過ぎると「質」は保てても「量」でビハインドが起こりがちです。そうなると、文字通り「少数精鋭」を実現する必要があるわけですが、これを可能にするのがテクノロジーの積極活用です。

ちなみに、こだわって採用・育成した仲間は例外なく、付加価値の低い業務を嫌います。そのため、単にテクノロジーの力で生産性を上げるということだけではなく、「才能を発揮できる時間」を確保するという意味でも、テクノロジーの積極活用にはこだわっていく必要があると思います。

川口 シンプルに言うと、テクノロジーは変化し続けるので、営業にも「変わり続けられること」が必要になっていると思っています。ツールも古くなったり、違う使いかたが出てきたりします。感度高く他社の活用事例にキャッチアップする力も必要です。

一方で、テクノロジーの時代にも人間が介在する力や意味は必ず残ると思っているので、人でなければできないことを磨き続けることも必要になってくるはずです。テクノロジーを最大限活用して変化し続けながらも、対人スキルを同時に磨いていくのがこれからの営業ではないでしょうか。

西山 3社共通していますが、テクノロジー企業に所属していて自身の営業活動にテクノロジーを活用している営業のあるべき姿という視点で、ふたつあります。

ひとつは、どんなに技術力がある会社でも必ず同じようなサービスが世の中に出てきます。そのときに、同じ機能でも価格は倍で売れる営業が良い営業だということです。

セールスフォース・ドットコム社はその最たる例だと思います。プロダクトもすごいですが、同じようなことができるツールも多く出てきています。しかし、販売力が半端じゃない。僕もいろいろ勉強させてもらっていますが、とことん顧客に寄り添い、課題を根っこから掴み、気づいてなければ気づかせ、望む事例を差し出す。当たり前のことのようですが、ここまでやれる営業はあまりいません。これを全営業ができている会社がセールスフォースです。

もうひとつは、持っているプロダクトを売るだけでなく、売れるプロダクトに変えていく視点を持つこと。「売りまくればOK」という時代ではもうありません。顧客の声を拾い、こんな機能を追加すればもっと売れるのではないかと考えられる人、意外といないですよね。このふたつを兼ね備えた人がいれば弊社に来てほしいです(笑)。

石野 良い人材は極めて限られていて、やらなければいけないことは増えているなかで、営業組織の再現性と拡張性高めるためにもテクノロジーの活用は肝になってきます。ただ、その根底に全力でプロダクトと顧客に向き合う姿勢が必要だと感じました。本日は、ありがとうございました!

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://saleszine.jp/article/detail/762 2019/09/20 11:01

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