セールス・イネーブルメントが営業力向上に有効なワケ
継続的に営業成果を出すための有効な取り組みがセールス・イネーブルメントである。松浦氏はふたつの要素でセールス・イネーブルメントを定義した。
ひとつめの要素は「セールスコンテンツの拡充」だ。営業の現場で使われるコンテンツの作成、更新、配信、管理、さらにはそのコンテンツの利用履歴を分析していくことが拡充の主な内容となる。コンテンツが拡充されると、どのコンテンツを誰がいつどんなシーンで使っているかという活用状況が可視化される。
ふたつめの要素は「トレーニングの実施」だ。素晴らしいセールスコンテンツを用意しても、活用することができなければ営業成績は上がらない。コンテンツを的確に使えるようトレーニングを実施することが重要となる。実施すれば個々の営業担当者の理解度やスキルが可視化される。
有効なトレーニングのひとつとして、松浦氏は「マイクロラーニング」を紹介した。数十秒、数分で終わるコンテンツをたくさん用意しておき、隙間時間に反復して取り組めるようにしておくというものだ。移動の多い営業担当者に適した手法であり、実施することで各営業担当者の進捗や習熟度がチェックできるようになる。
このふたつの要素が合わさると、優秀な営業担当者のノウハウが見えてくる。見えてきた成功ノウハウを現場に共有する。このようなサイクルを継続的に行うことがセールス・イネーブルメントの取り組みである。
では、具体的にどうセールス・イネーブルメントにとりかかれば良いのか。コンテンツの拡充とトレーニングの実施であれば、新たにツールを導入せずとも普段使っているファイルストレージやグループウェアを使って取り組めそうだが、「それらのツールにはいくつかの課題がある」と松浦氏は指摘する。
最大の課題は「運用のしにくさ」だ。ファイルストレージやグループウェアには営業以外のコンテンツも保管されているため、管理者がシステム部門の担当者である場合が多く、セールスコンテンツだけを抜き出して分析するのに手間がかかってしまう。また、オンラインが前提になってしまっているツールの場合は訪問先でネットワークに繋げられずファイルが開けないという問題が起こることもある。さらに、ファイルストレージやグループウェアにはトレーニング機能がついていない。セールス・イネーブルメントの要でもあるトレーニングを実施するとなれば、トレーニングツールを別途用意しなければならない。