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2025年1月28日(火)13:00~18:20

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エンタープライズセールスにまつわる誤解とは? 育成・組織づくり・KPIマネジメントのポイント

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「大人の営業」に求められるスキル

宮田 接点づくりの意識を大きく変えなければならないですね。そもそもエンタープライズセールスの定義がきちんとなされていない組織も多いと思うのですが、遠藤さん、その点はいかがですか。

遠藤 日本の企業は99%以上が中小企業なんですよね。エンタープライズセールスの対象になる大手企業は1%未満。それでも多くのIT企業の営業がそこを狙うのは、「売上金額が大きくなる」「大型の導入は解約される可能性が低い」ということに加えて、大手企業で採用されることによって自社の製品が「日本全国でデファクトスタンダードになる」可能性があるからですよね。

アットラスト株式会社 代表取締役CEO 遠藤 公護さん
2001年 サン・マイクロシステムズに営業として入社。その後、日本オラクルで部長、Tableau Japanで本部長、セールスフォース・ジャパンでは執行役員として活躍。Tableau社ではふたりめのエンタープライズ営業として入社し、企業規模が300名を超えるまでを牽引。約20年以上の営業経歴の中でアジア最優秀マネージャーを含む15以上の営業表彰を受賞している。2023年 AT LAST(アットラスト)株式会社を設立。スタートアップ企業を中心にエンタープライズ営業組織のコンサルティング、愛される営業リーダーを様々なワークショップや伴走支援で育成している。2023年12月に『人生を変える営業スキル』、2024年10月に『なぜ営業リーダーの仕事はこんなに難しいのか』(ともにクロスメディア・パブリッシング)を出版。

遠藤 では、どの企業もエンタープライズセールスに積極的に取り組めば良いのですが、当然壁もあります。一般的に大きな組織では、現状維持の方向に組織力学が働くケースも多い。そこで、皆さんの製品がデファクトでなければ、大手企業とのアポすらとれないでしょう。佐藤さんからあったとおり、そんな状態から営業が知恵を絞って接点をつくらないといけない。あらゆる経験を積んだメンバーだけを配属できる場所がエンタープライズセールスだと考えています。

宮田 お客様との最初の接点をデザインする、という部分がエンタープライズセールスには必須のスキルとなりそうですね。

遠藤 外資系企業の中でもエンタープライズセールスは花形で、なりたがる人は多いんですよね。ただし、配属されただけでは「なれた」とは言えない。僕はエンタープライズセールスを「大人の営業」と呼んでいて、「自分がここに来たからこそ新しい道を拓ける営業になってほしい」と伝えていました。たとえば、新しいお客様や新しい業界との接点をつくる、競合を利用していたお客様に自社製品を使ってもらうなど。そのためには自分自身で「リードを創出する力」が必要ですし、だからこそ年収が高い職種なのだと考えています。

「採用」に注力しないマネージャーは責任を放棄している

宮田 自社内に強いチームをつくるための採用や育成についてもうかがえればと思います。

佐藤 現在のBox Japanは240名ほどの組織なのですが、タイミングによって採用の手法は変わりますね。ただ採用は人事だけの仕事ではなく、営業マネージャーの仕事であるというのはいまも昔も変わりません。「良い人を人事が引っ張ってこない」というのは見当違いだということが会社の統一見解です。

 立ち上げ初期などはとくに過去に一緒に働いてきた良い仲間をリファラルで採用していく。優秀な人を1年、2年かけて口説くつもりでタレントプールを育てていきますね。

遠藤 外資系企業で営業マネージャーをしていると、数字の未達で怒られることはもちろんありますが、人員を計画どおりに採用できていないときのほうがもっと怒られます(笑)。採用のために時間をどう使い、どうリカバリーするのかというプランもつくります。そこで意識が変わりました。

『ビジョナリー・カンパニー』という書籍がとても好きなのですが、「誰をバスに乗せるか」というキーフレーズのとおり、数字をつくるために「誰と一緒にやるか」「誰にバスに乗ってもらう必要があるのか」を考えないマネージャーは責任を放棄しているとも言えると思います。マネージャーを育成する立場にあったときは、「どんな人材が必要なのか」を書き出して、面接でそのポイントをどう聞き出すべきかまで言語化するように行っていました。

宮田 重要な指摘である一方、日本のBtoB営業組織で営業マネージャーが採用にコミットしているケースは少なそうです。意識的に自社のチームに必要な人材を言語化すること、採用面接にコミットするところから始められると良さそうですね。強いチームをつくるための次のステップとして、育成や配置があるわけですが、このあたりの工夫もうかがいたいです。

佐藤 マネージャーの配置ですが、内部昇格が多いです。マネジメント業務に長けている人よりも「売る能力が強い人」を昇格させています。理由は、売るのが難しい商材だから。安くはありませんし、奥行きのあるソリューションで、現場の方ともコミュニケーションしつつも、最終的にはCIOなどへのアプローチが必要になります。それを外から来た人はいきなりできません。新しい営業に対して背中を見せながらサポートするのが当社の勝ちパターンなんです。

佐藤 一方で、初めてマネージャーになる人はもうすべからくピープルマネジメントは苦手です(笑)。トラブルは当然起きるくらいの覚悟をもって、セカンド、サードラインのマネージャーによるフォローや、人事の手を借りた研修でカバーしていきます。

遠藤 外から来た人は一瞬で数字をつくるかもしれませんが、強い組織をつくるに至りづらい。マネージャーによる育成を支援してくれるのが、セールスイネーブルメント組織です。数字のプレッシャーに当たり続けることが難しいけれど、営業育成のためのデータや分析、チームへの事例共有に長けている人もやっぱりいますから、マネージャーはもちろん、セールスイネーブルメントも社内から配置を行うと、会社全体で営業を強くすることができます

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SalesZine編集部 宮田華江(セールスジンヘンシュウブ ミヤタハナエ)

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