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SalesZine & Beyond 2024 レポート

双日テックイノベーション・TOPPANデジタルが語る マーケと営業が「連携」する前に考えるべきこと

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スキルセットを洗い出し、「役割」をオーバーラップさせる

高橋 両社での実践を踏まえながら、組織連携を進める壁や成功のポイントを探りたいと思います。

平野 「The Model」を実践するうえで大切なのは、中間のKPIを設定・観測すること。ひとりの担当者が商談創出からフォローまで担うとブラックボックス化するため、営業プロセスを分担するのですが、そこでしばしば部門間の壁が生じます。

 当社ではあえて役割をオーバーラップさせました。マーケティングとフィールドセールスはインサイドセールスがつなぎ、フィールドセールスによるクロージング前のトライアルへカスタマーサクセスが同席する。こうすることで、前後のプロセスで何が行われているのか互いに理解できます。

 一見非効率的ですが、たとえばトライアルでカスタマーサクセスがプロダクトの機能や設定を説明したほうが、フィールドセールスはクロージングに集中できます。それぞれの役割のスキルセットを洗い出し、それをパイプライン上のどのように配置すれば効率良くサイクルが回るか考えました。

榎本 オーバーラップするということは、KPIもマーケティングとフィールドセールスで共通の指標を掲げているんですか。

平野 たとえば、マーケティングはリード獲得数をKPIとしつつ、商談獲得数をフィールドセールスと共通のKPIに設定することで、受注につながるリードの質を担保しています。同時に、フィールドセールスとカスタマーサクセスは成約率を一緒に追っています。それぞれの役割を全うしながら、矛盾しないKPIを設定するよう心がけています。

飲み会だけでは不十分 「カルチャーチェンジ」を実現するには

榎本 なるほど。部門間の壁や認識の違いは当社でも多く経験しています。加えて、そもそもSFAを売上管理にしか利用せず、セールスステージを前に進める本来の目的を果たしていないという問題もありました。そこで日報や週報を禁止し、案件データをSFAに集約しました。そうしてセールスプロセスを再定義したうえで、まさに平野さんと同じくKPIの設定ですね。MQLの数だけはなく「商談合意」「課題合意」など先のステージの金額もマーケティングが追うべき指標に加えたことで、リードの質やインサイドセールスによるヒアリングの質が高まりました。

平野 TOPPANデジタルの場合はプロダクトビジネスチームという独立した組織で新たなプロセスをつくりましたが、双日テックイノベーションのように既存のマーケティング・セールス組織の中で全社的な変革を起こす場合、どのようにしてカルチャーチェンジを進めたのでしょうか。

榎本 たとえば当社ではマーケティングとセールス合同でデザイン思考のワークショップを行い、互いの仕事を経験して理解を深めました。飲み会も開きましたが、一時的に盛り上がるだけで、そのあとが続かないんですよね。いちばん効いたのは、トップセールスをインサイドセールスのマネージャーに配置すること。加えて、ベテランのセールスをインサイドセールスへ配置し、若手には難しいエグゼクティブ層に対するBDRを担当してもらいました。これにより、パイプラインと人の両面において、マーケティング・インサイドセールス・セールスの連携を強化されました。

平野 インサイドセールスは電話だけで価値を伝える、とても難易度が高い仕事だと思います。育成面においても何か工夫されたのでしょうか。

榎本 営業と同じく、結局は事前情報をどこまで調べるかだと思っています。BDRはある程度ターゲットが決まっていますから、中期経営計画や有価証券報告書などを調べてパーソナライズした内容をトークに入れることができますし、やるべきです。

次のページ
それぞれの役割を確立し、「サイクル」を回す

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この記事の著者

猪飼 綾(イカイ アヤ)

キクカク及びライティングユニットおたばぶのライターとして、IT・機械技術を中心に、ものづくりから飲食まで幅広い分野で取材・執筆。また、読者に愛されて、積極的かつ継続的な購買につながるファンマーケティングの観点から、オウンドメディアの運用支援やSNS運用など、Webマーケティング、ブランディング支援を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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