それぞれの役割を確立し、「サイクル」を回す
高橋 最後のテーマとなります。マーケティングとセールスがワンチームとなり、事業の成長を目指すためには、何が重要でしょうか。
榎本 シリコンバレーに駐在していた2020年頃から、アメリカではRevOps(Revenue Operations、レベニューオペレーション)やCRO(Chief Revenue Officer、チーフ・レベニュー・オフィサー)という役職がトレンドとなっていました。
RevOpsとは、マーケティングテクノロジーを管理するMOps(Marketing Operations、マーケティングオペレーション)と、セールステクノロジー(Sales Tech)を管理するSalesOps(Sales Operations、セールスオペレーション)を統合することで、デマンドジェネレーションからパイプライン管理までを「売上(Revenue)」として一気通貫で管理するという概念です。この概念にはとても共感している一方、まずはMOpsとSalesOpsをそれぞれきちんと機能させたうえで取り入れないと、実装は非常に難しいと考えています。
実は当社も、事業部によって顧客データが分断したり、使用しているSFAやMAツールがサイロ化したりといった課題がありました。MOpsとSalesOpsを確立し、マーケティングとセールスそれぞれが「パスすれば終わりではなく、プロセスがつながっている」というマインドを持ち、データに基づいてファクトベースで行動変容する組織風土を醸成する。非常に地道で泥臭いところではありますが、こうした取り組みを経ず、ただ組織や役職だけを新しく設けてもうまく連携できないでしょう。
平野 まずはそれぞれの役割を確立するというのはとても共感します。自分たちの役割をしっかり深掘りできていないと、パイプラインのどこに問題があるのか、誰が責任を持つかが曖昧になってしまいます。
そのうえで、パイプラインがサイクルになっていることが重要だと思います。カスタマーサクセスが既存顧客のリアルな声をマーケティングに還元するといった循環は、パイプラインを横ぐしで見る人がいないとなかなか難しいものがあります。
たとえば当社では、ARRもすべてKPIに分解して各部門に意識するようにしています。全体感的な視点と、それを計測するデータ化の両軸が必要ですね。
高橋 本日はありがとうございました!