IBMは年次イベントThinkにおいて、Salesforceのテクノロジーと連携したIBM watsonx Orchestrateで構築された新たなIBMエージェントと、IBM Graniteモデルのパフォーマンスを発表した。

IBMとSalesforceは、企業がIBM ZメインフレームとDb2データベース内のビジネス・データにアクセスできるようにすることで、データをエージェント型AIの触媒となるよう促す。これにより、自律型AIエージェントによってチームを強化するデジタル・レイバー・プラットフォームであるSalesforceのAgentforceプラットフォーム上でAIのユースケースを拡充できるようになる。
2025年6月に提供開始予定のこの新たな統合により、AIエージェントは、IBM Zメインフレームのデータを使用して、バック・オフィスとフロント・オフィスへの接続を完了できるようになる。これにより、IBM watsonx.dataと SalesforceのData Cloud(Salesforce Platformにネイティブに統合されたハイパー・スケール・データ・エンジン)との統合を通じてゼロコピーを活用し、データの移動やコピーをすることなくスピーディなデータ転送を可能にする。
見込み顧客エージェントがほかのセールス・エージェントと連携
IBMとSalesforceは、watsonx OrchestrateとAgentforceの機能を統合した、事前構築済みのセールス・エージェント群の開発でも協業している。セールス・エージェントの第1弾は、IBM watsonx Sales Prospecting(見込み顧客)エージェントで、営業担当者が効果的に見込み顧客を開拓し、販売転換率を高めることができるよう、製品ターゲティングや顧客連絡先の取得、営業トークの作成を支援する。対話型インターフェースを使用し、Agentforceやwatsonx Orchestrate、サードパーティのエージェント間で自律的に相互作用する(本サービスは、数ヵ月以内に watsonx OrchestrateおよびSalesforceのAgentExchangeを通じて提供される予定)。
IBM GraniteモデルをSalesforce CRMで提供
より小規模で、目的に特化したLLMを選択肢したい顧客には、ビジネス向けに構築されたIBMの主力AIモデル・ファミリーであるIBM Graniteモデルが、Salesforce Platform上でBring Your Own Model(企業がさまざまな種類のAIを作成してSalesforceで使用できるようにする機能)として提供されており、Agentforceから容易にアクセスすることができる。
Salesforce Unified Data Services & Einstein担当EVP 兼 GM ラウール・アウラドカー(Rahul Auradkar)氏のコメント
今日の変化の大きな環境下では、データの流動性が最も重要です。このニーズに対応するために、Data Cloudのゼロコピーパートナーネットワークは、IBM Zデータへの安全で迅速な接続性を提供します。これにより、従来のデータ移動における摩擦が解消され、これまで活用できていなかった情報の有用性と価値が向上します。IBM Zへのアクセスが実現することで、お客様がリアルタイムでの洞察を引き出したり、データの場所にとらわれることなくデータの可能性を最大限に活用できるようになります。これにより、アプリケーションおよびより広範なエコシステム全体で、AgentforceによるAIを活用した顧客体験の提供を推進することができます。