【事例】老舗井村屋がZoom Workplaceで社内コミュニケーションを統合
続いて、Zoomの導入事例として老舗食品メーカーの井村屋グループと、東京大学の事例が紹介された。はじめに、井村屋グループのデジタル戦略室長 岡田孝平氏が登壇した。
井村屋は1896年創業、今年で128年めを迎える歴史ある企業だ。下垣氏は「正直に言うと、Zoomを積極的に活用し、新しい取り組みをしていることに驚いた。非常に先進的なユーザー」と紹介する。
2018年からZoomを導入した同社は、現在Zoom Workplaceを導入。オンプレミスだったグループウェアをZoom Workplaceに刷新することを決定した。
「コミュニケーションツールをひとつに統合することで、グループ全体でのシナジーを高めていきたい」と岡田氏。海外拠点とも統一されることで、現地社員とのコミュニケーションがスムーズになることが期待できる。
また、同社は食品メーカーとして工場勤務のPCを使わない社員も多く抱えている。
「これまで工場では掲示や伝言で情報伝達していたが、工場内に大型モニターを設置した。経営トップのメッセージ、社内イベントや新製品の情報を、テキストだけでなく写真や映像といった興味を惹くコンテンツで届けていく」(岡田氏)
コロナ前の日本でZoomの知名度は今ほど高くなかったが、導入に反対はなかったのか。下垣氏がたずねると「提案したときは知らない人がほとんどだったが、無償でスタートできる点が功を奏した」と岡田氏。フリーミアムゆえの導入しやすさがあったようだ。
最後に岡田氏は「Zoom社は非常にユーザーに寄り添った企業。これからもよりいっそう日本の企業にも使いやすいツールを提供していただきたい」と期待を寄せた。
【事例】東京大学のオンラインサポート窓口をZoom Contact Centerで支援
次に東京大学がZoom Contact Centerを活用し、オンラインサポート窓口を運営している事例が紹介された。
コロナ禍で大学のさまざまな活動がオンラインに切り替わった際、経済産業省の支援を受けてZoomの利用を開始した。その後、2021年に学生・教職員が一体となって全学のオンライン活動をサポートする「uteleconプロジェクト」がスタート。学生が常駐し、ZoomやZendeskを活用してワンストップでサポートしている。uteleconプロジェクト担当の玉造潤史准教授いわく「たらい回しをせず、正解に近いものを少ない工数で提供する」のが特徴だ。
今回、Zoom Contact Centerを活用したサポート窓口を構築したのは総合文化研究科 大学院生の德永紗英氏だ。徳永氏は、Zoom Contact Center導入前には「さまざまな課題があった」と振り返る。
チャット、Zoom、メールの3種類のシステムを利用していたため、すべてを同時に把握するのが難しかったこと。また、対応の記録もバラバラに蓄積されるため過去の事例を参照しづらい状況だったことが挙げられた。さらに、チャットシステムとZoom Meetingsを使ったリアルタイムでの対応について、案件をエージェントに割り振る仕組みがなかった。気がついた人が自主的に対応することになり、真面目なスタッフに業務が偏る問題があった。
これらの課題を、Zoom Contact Centerの導入によって解消した。「チャットと音声による対応をひとつのシステムで行うことができ、案件割り振りのシステムについても一元的な形で実装することができた」と徳永氏。
Zoomでは「フェデレーテッド」の理念のもと、ほかのツールと柔軟に連携できるコネクタが提供されている。そのため、既存ツールZendeskとの相性も良い。今後は、Zendeskの画面中にZoom Contact Centerが表示され、チャット・Zoom・メールすべてに対応、記録もひとつに集約されて蓄積されていくかたちを目指して実装を行う予定だ。
実は、この件でZoom Contact Center導入の第一号となった東京大学。徳永氏は、Zoomの信頼できる理念・技術だけでなく、丁寧なサポート体制がZoom Contact Centerの導入につながったと述べた。
基調講演と、2社の事例を受けて、下垣氏は以下のようにまとめた。
「『働き方の未来』は実はもうそこにある。1個ボタンを押すだけで導入できる世界だと理解いただけたのではないでしょうか。AIを活用して効率的に働き、Work Happyを実現できる環境があることを、今日のイベントの中で少しでも体感いただけたらと思います」(下垣氏)