アイスブレイクとは?
アイスブレイクとは、会議や商談、プロジェクトといった人が集まる場で、緊張や警戒のような固い雰囲気を和らげるためのコミュニケーション方法を指す。場の固く冷えた雰囲気をアイス(氷)になぞらえ、氷を壊すという意味でアイスブレイクと呼ばれる。
特に初対面同士の場合や、会議、商談、研修、ワークショップ、セミナーなどの開始時に利用されることが多い。具体的には、短い発言や特定のテーマに沿った会話、簡単なゲームなどが用いられる。
場の緊張をほぐしたり、発言のきっかけを与えることがアイスブレイクの目的だ。アイスブレイクを実施すると、場のコミュニケーションが活性化され、パフォーマンスの向上や信頼関係の構築にもつながる。お互いに初対面で、何から切り出していいかわからないというときなどに使いたい。
アイスブレイクを成功させるためのポイント
アイスブレイクを成功させるためには、押さえておきたいポイントがある。まずは話題だ。適切とされるものと不適切とされるものを、それぞれに見ておこう。
アイスブレイク向きとされている話題は、「木戸に立てかけし衣食住」だ。
木:季節・気候(今日の天気・季節の移ろいなど)
戸:道楽・趣味(好きなこと・習い事など)
に:ニュース(今朝のニュース・最近話題のニュースなど)
立:旅(出張・交通機関など)
て:テレビ(好きな番組・話題の番組など)
か:家族・家庭(兄弟姉妹・知人など)
け:健康(運動など)
し:仕事(忙しさ・最近の仕事など)
衣:衣服(相手の服装を褒める・最近のファッションなど)
食:食事(好きな食べ物・評判のお店・新しいお店など)
住:住居(出身地・現在の住まいなど)
その一方で不適切とされているのは、「政治」「宗教」「学歴」などの一般的に避けるべきとされている話題に加えて、「ゴシップ」「愚痴」といったビジネスパーソンとしての信頼感を損ねかねないものが挙げられる。
アイスブレイクを成功させるには、話題に加えて、参加者の人数や顔ぶれを事前に調べておき、使える時間や場所などに応じて臨機応変に対応する必要がある。
アイスブレイクが苦手な人におすすめの対策
人見知りや人前では緊張しやすいタイプなど、アイスブレイクが苦手という人におすすめの対策を紹介しておきたい。
そもそも緊張は、初めてのことや不慣れなこと、絶対に失敗できないというプレッシャーにさらされているときなどに起こるものだ。動機や浅い呼吸、手足の震えなどが表れるが、それは自分の身を守るための体の自然な反応といえる。そんなときには、次の方法をおすすめしたい。
- 深呼吸(ゆっくり吐いて、吐ききってから吸うという呼吸を数回繰り返す)
- 好きな音楽を聞く、好きな香りを嗅ぐ
- 少し体を動かす(歩く・簡単なストレッチをする)
- 結果が気になって緊張が高まっているため、今できることに意識を向ける
- 目的とは関係ない話を誰かとする
どうやったら自分の緊張がやわらいだか覚えておき、ルーティーンにしておくというのもひとつのやり方だ。
アイスブレイクで好印象を与える場面別ネタ集
ここからは、アイスブレイクで好印象を与えるネタ集を場面別に紹介していく。アイスブレイクのネタはたくさんあるため、いろいろと試していく中で、得意なものを作っていくといいだろう。
会議・打ち合わせ編【初対面・短時間・少人数向け】
会議・打ち合わせ編では、初対面の人と数分程度の短時間でできるネタを紹介していく。基本的には5人程度の少人数向けで、仮に大人数の場合にはグループ分けすることが望ましい。
- 「実は〇〇」自己紹介
「実は」や「こう見えて」といった言葉から始める自己紹介のやり方だ。ビジネスシーンでは氏名を名乗り簡単に挨拶を済ませたらすぐに本題に入ることも珍しくないが。そんな中で、自己紹介の二言目に「実は…」と続けていくというアイスブレイクだ。
「実は、御社とはかねてよりご縁がございまして...」「実は営業なのに人見知りでして...」「こう見えて、料理(営業先の商品・サービスに関連することなど)が好きでして...」などのように、その後の会話につながりやすい切り出し方をしよう。
まだ相手をよく知らない段階で少し驚くような情報を出したり、見た目とのギャップを利用したりなど、意外性を使うことによって相手との距離を近くする方法だといえる。
- GOOD&NEW
その名のとおり、最近あった嬉しいことや良かったこと、新しい気づき・発見、人やモノとの出会いなどを1〜2分で発表するというものだ。ポイントは発表した人に対して、頷きや相槌、拍手などのリアクションをすること。話を聞いているという姿勢が伝わると相手の安心感につながり、場の雰囲気を和らげる。
初対面の場合、本題に入る前に営業する側から「最近、こんなことがありまして...」と会話をリードする形が自然だろう。もし相手側が話を始めるようなら、会話をリードする人を見極めてリアクションするようにしよう。
- クイズ(話題のニュースを持ち出す)
ここで取り上げるクイズは、早押しクイズやなぞなぞのようなものではなく、話題になっているニュースなどを取り上げて、相手に情報を確認してもらうというものだ。
例を示そう。「この間、〇〇の試合がありましたね。あのとき、逆転につながる活躍をした人がいたと思うんですが...」というように相手を回答へと導く。誰もが知っているような話題選びや相手が好む話を振るのがポイントとなる。些細なことかもしれないが、このような共同作業は相手との距離を縮めるのに役立つ。
もちろん正解してもらうことが目的ではなく、あくまで発言のきっかけを出すことが大切だ。正解した場合には、「そうでしたね。思い出せなかったのでスッキリしました。助かりました」のように、お礼を言うことで相手を認める会話の流れを作ろう。
- 簡単なアンケートを取る(挙手で)
会議や商談の始まりは、それが初対面であればなおのこと、ぎこちなさが漂っていることも珍しくない。そのような場でアイスブレイクを試みる場合、発言ではなく挙手を求めると場が和むこともある。
アンケートといっても大げさなものではなく、簡単な質問で十分だ。たとえば、「この会議は今日初めての会議か」「この会議のすぐ後に予定があるか(中座する予定か)」「ランチを食べたか」といった、Yes/Noで回答できるような気軽に聞ける質問でいいだろう。
実際の会議や商談といった場面では、挙手を求めるのがはばかられることもあるかもしれない。そのような場合には、質問に対する相手の目線やしぐさ、表情などを回答として受け取ろう。相手が疲れていないか、しっかりと時間が確保されているか、空腹など集中を妨げる条件がないかを確認できたらアイスブレイクとしての成果は上々だ。
- 1分時計
1分時計は、1分間を当てるというアイスブレイクだ。通常は目を閉じて準備を整えてもらい、「スタート」という掛け声から体感1分で各自目を開けてもらう。ストップウォッチやスマホなどを使って時間を測っておき、1分にどれだけ近いかを競うゲームで、自己紹介の前に場を和ますために使われることも珍しくない。
この1分時計を初対面で効果的に使う方法がある。1分で自己紹介すると宣言した上で自己紹介し、相手に時間を確認してもらう。本当に1分で収まるのか、短すぎたり長すぎたりはしないかと確認したくなってしまうという点で興味を引きやすいからだ。
自信のある人は、「どうぞ時間を図ってください」と敢えて相手に確認を求めよう。数秒以内の誤差に収めることができたら、相手の印象に残る可能性は高い。時間感覚に優れた人や有言実行する人だというポジティブなイメージを持ってもらうきっかけとなる。
研修・プロジェクト編【顔見知り・長時間・大人数向け】
ここでは、研修やプロジェクトといった継続的な関係づくりが必要な人に対して用いるアイスブレイクを取り上げていこう。顔見知りなど面識のある人を相手に、5〜10分くらいの時間をかけられる場合に適しているアイスブレイクのネタを中心に紹介していく。人数は10〜50人くらいまでを目安とし、必要に応じて10〜15人のグループに分けることをおすすめする。
- 積木式自己紹介
積み木のように自己紹介を重ねていくのが、積木式自己紹介だ。最初の人が「佐藤です」と名乗ったら、隣の人が「佐藤さんの隣の鈴木です」と重ね、「佐藤さんの隣の鈴木さんの隣の高橋です」というふうにつなげていく。記憶力が試されるアイスブレイクだ。
ファシリテーターが必要で、誰から始めるかによって覚える人数が大きく変わる。名前が出てこない、間違ってしまったという場合は、近くにいる人が助ける。人の名前を間違えては失礼にあたるというプレッシャーの中で、いかに名前を覚えるかという緊張感を味わえるゲームだといえる。
- 他己紹介
自己紹介ならぬ他己紹介では、ペアを組んだ相手のことを紹介する。5分間など時間を設けて相手の話に耳を傾け、参加者の前で「こちらは〇〇さんです。〇〇さんは...」というように発表する。ペアは知らない人同士にするのがポイントだ。発表時間は数分とし、人数に応じて調整しよう。
ヒアリングや発表に時間を設けることで、限られた時間内に相手のことを知っていく必要に迫られる。質問を重ねるうちに相手に対して興味を持つようになることも期待できる。短い時間でもつながりを深められるアイスブレイクだ。
- ヒーローインタビュー
他己紹介の進化版ともいえるのが、このヒーローインタビューだ。こちらもペアを組み相手のことを発表する点は同じだが、ヒーロー・ヒロインとインタビュアー役とに分かれ、相手の成功体験や自慢話などをふんだんに盛り込めるのがポイントとなる。
「本日のヒーロー・ヒロイン、〇〇さんです!お越しいただきありがとうございます!」のように始めよう。観衆役となる聞き手が、拍手や歓声などで場を盛り上げるのもポイントだ。人様に言えるようなことがないという控え目な人の場合には、憧れの人物像や自分の夢を語ってもらってもいいだろう。
- 共通点探し
通常は共通点を会話の中で少しずつ発見していくが、これをゲーム化したのが、共通点探しだ。ペアを組み、1人5分などの時間を設定して共通点を探してもらう。「時間内に多くの共通点を見つけたペアが勝ち」「最初に10個の共通点を見つけたペアの勝ち」といった条件を示しておこう。
共通点は、好きな食べ物や趣味、ペットなど、何でもいい。または、仕事関係など制限を設けてもいいだろう。勝ち負けを決めるのではなく、見つけた共通点を発表して、ほかのメンバーとの交流を楽しんでもらうというルールもありだ。
- 十人十色
十人十色は、互いの好みや考え方、価値観の違いを楽しむというアイスブレイクだ。たとえば、「麺類の中で好きなものは何か」「フライドポテトを食べるときの調味料は」「動物に生まれ変わるなら何になりたいか」といった、回答が分かれるような質問を用意するのがコツといえる。
どうしてそう思うのかという理由や根拠を発表し合ってもいいだろう。このゲームは多数派が勝ち、または相手を言い負かしたら勝ちという競争ではなく、相互理解を促すものだ。チームの中から1人を選んで、その人の好みを当てるゲーム形式とするやり方もある。
- ワンワード
ワンワードとは、その場にいる全員が一言ずつ足し、即興で物語を作っていくというものだ。初めにファシリテーターがテーマを伝え、物語の出だしを決める。最初の人が言ったことを受けて、次の人がその後に言葉をつなげていき、その次の人も同様に繰り返していく。
どのように物語を展開させたり、終わらせたりするかが見どころだ。自分もその物語を作った一員だという連帯感が、その後のコミュニケーションのハードルを下げることにつながる。
- バースデーライン
2つ以上のグループに分かれ、1月1日から誕生日順に一列に並ぶ速さを競うのがバースデーラインだ。ただし、言葉を使ってはいけない。声を出したり、筆談したりするのもNGだ。コミュニケーションに使って良いのは、ジェスチャーといったノンバーバルなものに限られる。全員が並び終わったら順番に誕生日を口頭で発表していき、正しく並べていたら成功だ。
- 集団じゃんけん
後出しじゃんけんとも予告じゃんけんとも異なる集団じゃんけんとは、チームで話し合い何を出すかを決めるじゃんけんだ。シンプルながら、アイスブレイクだけではなく、チームワークの強化やチームビルディングにも向いているといえる。チーム数に応じて、勝ち抜きやリーグ戦のようにしてもいいだろう。
- チャレンジ系(マシュマロ・チャレンジなど)
マシュマロ・チャレンジやトランプタワー、割りばしタワーなど、チャレンジ系のゲームも、アイスブレイクだけでなくチームワークやチームビルディングに向いているといえるだろう。このアイスブレイクは、1チーム3〜5人くらいの人数が適切だ。制限時間を設けて、もっとも成功したチームを優勝とする。失敗を糧に改善を積み重ねていくゲームでもあるので、PDCAをどれだけ速く回せるかが問われる。
- 流れ星
流れ星は、参加者全員に同じテーマで絵を描いてもらうというアイスブレイクだ。ファシリテーターが出したテーマやお題に基づいて、参加者は制限時間内に絵を描く。質問はNGで、あくまでも自分のイメージを絵にしてもらうことが大切だ。具体的には、「流れ星」「月」「木」といったお題が考えられる。同じ言葉であっても、人それぞれに持っているイメージは異なり、絵に起こすと上手下手を含めた個性が表れて面白い。
- 指体操
意外と難しいといわれているのが、指体操だ。両手でじゃんけんのグーを作るところから始まる。片方の手の親指を出すと同時に、もう片方の手の小指を出す。それができたら逆を行う。リズミカルに交互に繰り返すだけなのだが、実際にやってみるとなかなか思うようにいかないことがわかるだろう。道具やグループ分けなどの準備が不要で、その場ですぐにできる。緊張をほぐす目的で使い、その後の自己紹介やグループワークなどにつなげよう。
交流会・飲み会編
営業パーソンには、交流会や飲み会といった場でのアイスブレイクを求められることもあるかもしれない。ここでは、お酒を嗜むような席でのアイスブレイクのネタを紹介しよう。
- 数取りゲーム
数取りゲームとは、「20を言ったら負け」「100を言ったら負け」というゲームだ。1人最大3つまで連続した数字を言うことができ、それぞれ最後の数字を言った人が負けとなる。終わりの数が近づいてくると、駆け引きが行われたり、先を読んだ言動が見られたりして、白熱する。参加者の数が多い場合には、5〜10人ほどのグループに分けよう。勝ち抜けた人でグループを作り、決勝戦を開催してもいいだろう。オンラインでも可能だ。
- たけのこニョッキ
たけのこニョッキは、運と駆け引きの要素が楽しめるゲーム。全員が座った状態で両手を合わせ、スタンバイする。ファシリテーターの「たけのこたけのこニョッキッキ」という掛け声がゲーム開始の合図だ。
最初の人は「1ニョッキ」と言って合わせた両手を頭上に突き出す。「2ニョッキ」「3ニョッキ」と1人ずつ手を上げていくのだが、ほかの人とタイミングが重なり2人以上の手が上がってしまったら、1からやり直しとなる。設定した数まで進められたらクリア、または手を上げられずに残ってしまった人が負けとなる。
- ジェスチャーゲーム
ファシリテーターから出されたテーマ・お題を身振り手振りのみで伝え、回答してもらうのがジェスチャーゲーム。年代を問わず参加しやすく、場が盛り上がりやすい。誰でも回答できるものを出題するのがポイントだ。オンラインでも楽しめる。
- 伝言ゲーム
こちらも古くからあるゲームだ。ファシリテーターから出題された短い文章を次の人に伝えるだけというシンプルな作業なのだが、なぜか途中で変わってしまい正確に伝わらないという、その変化を楽しむゲームだともいえる。簡単な英語の文章を出題してもいいだろう。
- 以心伝心ゲーム
「〇〇といえば?」という問いに対して、全員の回答を揃えるのが以心伝心ゲームだ。全員一致すると一体感が生まれやすく、揃わなくても価値観の違いに驚いたり感心したりと、場が沸き立ちやすい。人数が多い場合には、もっとも多く成功した人に景品を出すなどしよう。オンラインにも向いている。
- 後出しじゃんけん
じゃんけんで負け残った人が勝ちという後出しじゃんけん。通常は勝つことを目的としているため、ちょっとした頭の体操も兼ねたアイスブレイクだ。ファシリテーターに負け続けるというやり方や、もっとも長くじゃんけんが続いたペアを優勝とする方法などがある。オンラインでも可能だ。
アイスブレイクを盛り上げる質問集
ここでは、アイスブレイクを盛り上げる質問を集めてみた。自己紹介系のアイスブレイクや会話のきっかけ、話題の提供といったネタとして活用してもらえたら幸いだ。
- 子どもの頃好きだった漫画やアニメは何ですか?
- 自分の名前の由来は?
- 部活は何をしていましたか?
- 学生時代に得意だった科目は何ですか?
- 最初に自分で購入した楽曲(CD)は何ですか?
- 衝撃を受けた本はありますか? それは何ですか?
- 「痛い」思い出を教えてください(物理的でも心理的でもOK)
- 似ていると言われたことのある有名人は誰ですか?
- 自分の体の中で好きなパーツは何ですか?
- 長く続けている趣味や習い事は?
- 最近見た夢は?
- 明かしても問題ない自分の秘密を1つ教えてください
- 何語を話せるようになりたいですか?
- 一番苦手な家事は何ですか?
- これは自分にはできないということを1つ教えてください
- どのような瞬間に幸せを感じますか?
- 自分を色で表すなら何色ですか?
- 道端に1円が落ちていたらどうしますか?
- もし宝くじで1億円が当たったらどうしますか?
- 無人島に1つだけ持っていけるなら何を持っていきますか?
- 24時間だけ好きな能力を得られるとしたら、何にしますか?
- もしタイムマシンがあったら、過去と未来どちらに行きたいですか?
- 誰かと1日だけ入れ替わるとしたら、誰がいいですか?
- 自分の能力に関係なく、憧れの職業に就けるとしたら、何になりたいですか?
- 歴史上の人物に生まれ変われるとしたら、誰を選びますか?
- どこでもドアを1回だけ使えるとしたら、どこに行きますか?(帰りは自力)
- 世界平和のために、何か1つ何でも自由にできるとしたら、何をしますか?
- 宇宙に行けるとしたら何星に行ってみたいですか?
- これが最後の晩餐だと言われたら何を食べますか?
- 誰の子どもになってみたいですか?
- 何か1つこの商品が生涯無料と言われたら、何を選びますか?
オンラインでのアイスブレイクのやり方
オンラインでアイスブレイクを実施する場合、オンラインならではの特徴を踏まえておく必要がある。画面越しのアイスブレイクではどのような点に配慮したら良いか見ておこう。
オンラインならではの特徴とは?
対面とは異なり、参加者が画面上に表示されるオンラインでは、参加者の状態や感情、リアクションが伝わりにくくなる。ミュートや画面オフといった機能もあり、表情やしぐさなど対面なら読み取りやすいノンバーバルのサインが読み取りにくいだけでなく、表示される人数に限りがあることから一目で全員を見渡せないことも珍しくない。
いまやオンラインミーティングは誰もが経験済みと思いがちだが、ツールによっては初めてまたは使い慣れていないという人もいるだろう。誰かのミュート忘れでハウリングが起こるのは珍しくないし、画面表示の関係で自分は画面に映っていないと思っている人も稀に見受けられる。
対面とオンラインのアイスブレイクの違い
オンラインのアイスブレイクで注意したいのは、リアクションだ。それが対面とオンラインの大きな違いだといって良い。オンラインでは「リアクションは大きく」とお願いしておこう。リアクションの取り方を練習する時間をアイスブレイクとしてもいいだろう。「頷くときは大げさなほどに」「拍手は画面に映るよう顔の近くで」「いいね!は親指を上げる」など、冒頭に練習しておくとやりやすくなる。
オンラインツールが持つリアクション機能を活用するのも1つの方法だ。実際にリアクション機能を使う時間を設けて、リアクションに対する心理的ハードルを下げよう。参加者全員にチャットで「よろしくお願いします」と送ってもらうだけでも、参加意識は高まる。
オンラインに使いたいアイスブレイクのネタ集
最後に、オンラインで使いたいアイスブレイクのネタを紹介しよう。ここまででもいくつか紹介しているが、ここで取り上げるのはオンラインならではのアイスブレイクばかりだ。
- チェックイン(初めの一言)
チェックインとは、参加者一人ひとりに一言ずつ発言してもらうというアイスブレイクだ。声出しといっても良い。名前は必須とし、一言については「よろしくお願いします」で終わってしまわないよう、あらかじめ質問を用意しておくことをおすすめする。たとえば、今日聞きたいことや参加した理由、今の気持ちといったものだ。
順番は、名簿順や次の人を指名、挙手などがある。全員がチェックインを終えるには時間を要する場合もあるが、信頼感の醸成や発言に対する心理的ハードルが下がるため、その価値はあるといえるだろう。
- リアクション機能を使わせる
練習としてリアクション機能を使わせるというアイスブレイクは、前述したとおりだ。会議や商談の冒頭で簡単に操作方法を紹介したり、実際に操作してもらう時間を少し設けておくと、不慣れな人にとっては貴重な練習時間となり不安が軽減するはずだ。自分にも使えたという事実が、その後の使おうという気持ちにつながる。
- 〇×ジェスチャー
オンライン会議を成功させるコツとして、ジェスチャーの練習をしてもらうというアイスブレイクもある。音声が聞こえているかを確認し、OKサインなら「親指と人指し指で丸を作る」、できる人には「両手で大きな丸を作る」よう働きかけてみよう。NGサインは「顔を小刻みに揺らすのではなく大きく左右に」「両手の人差し指を使って顔の前で交差させる」などを紹介してから、できる人には「両腕を使って大きな×を作る」ことを求めてみよう。
- チャットで親指ゲーム
画面オフにしている人がいる場合でもできるアイスブレイクが、チャットで親指ゲームだ。親指ゲームとは、出題者が指定した数字と同じ数だけ参加者の親指が立ったら、出題者の勝ちというものだ。オンラインで行う場合には、参加者に0か1か2を入力してもらう。たとえば出題者が5と言ったら、参加者は任意の数字を一斉にチャットに入力する。参加者が入力した数値の合計が5になったらクリアだ。
- 物しりとり
物しりとりは、参加者が自宅にいる場合におすすめしたい。ファシリテーターが指定した文字から始まるモノを最初の人が持ってきて、次の人へと続けていくゲームだ。ルールは通常のしりとりと同じで、続けられなくなったり「ん」で終わるものしか見つからなかった時点で終了となる。回答者に制限時間を設けておくと、より一層盛り上がる。
- 伝言ゲーム(口パク)
対面のほうでも取り上げた伝言ゲームだが、オンラインの場合には口パクにすると良い。出題者が1人目にチャットで正解文を送ったらゲームはスタートだ。なるべく大きく口を動かして、相手に伝えるようにしよう。オンラインでは、あらかじめ順番を指定しておくか、出題者以外の全員で回答するというやり方でもいいだろう。
- ポーズ当てゲーム
画面オフにしている出題者が真っ黒な画面の向こうでどのようなポーズを取っているかを当てるのが、ポーズ当てゲームだ。出題者は自分のポーズを口頭で説明し、その説明を聞いて回答者が回答していく。正解数の多さを競うゲームで、制限時間いっぱいまで出題者がヒントを出し続けてもいいし、ヒントは5個までと回数制限を設けてもいいだろう。
まとめ
本記事で取り上げたように、アイスブレイクには実にさまざまなネタがある。会議や商談、研修といった場の緊張感や固い雰囲気は、アイスブレイクを用いることでやわらげたり、和ませたりすることが可能だ。それに加えて、参加意識や相互理解の向上、チームビルディングやチームワークの強化などの効果も期待できる。アイスブレイクを上手に取り入れて好印象を与えるきっかけとし、ビジネスに活用しよう。