約130時間/月を削減し、営業活動や施策立案に専念
20以上ある営業組織のうち、関東甲信越営業部でXactly Forecastingの利用を開始した。もともと同組織では、マネージャー層が商談の進捗や着地予測の調整を行う月次会議を行っていたが、定性的な報告やデータ集計のばらつきにより、現状を正確に把握できない状態だったという。
そこで、営業部長主導のもと報告用のExcelシートを作成し、週次会議を開始。データに基づき週ごとに進捗を確認する体制へシフトしたものの、依然として、SalesforceのデータをExcelへ落とし込む手間や、報告内容の個人差が生じていた。この課題をXactly Forecastingで解決したのだ。
現在の週次会議では、資料の代わりにXactly Forecastingの「フォーキャスト」と「パイプライン管理」を活用している。フォーキャストでは、前週からの差異と今後の成果予測を個人別に報告する。そしてパイプライン管理では、商談スコア(受注確度をスコアリングしたもの)や商談金額を見ながら、次にとるべきアクションを検討する。Xactly Forecastingの項目に従い順を追って報告することで、報告内容の個人差も解消したという。
また、部長以上のマネジメント層が組織全体の状況を確認する際もXactly Forecastingを活用している。たとえば「本来、受注確度は“成約できるか否か”で判断されるべき」(宮永氏)だが、現場の営業は「今期の予算達成につながるか否か」で受注確度を判断してしまうことがある。受注確度が誤っていれば、当然、受注予測もズレが生じる。以前は商談1件1件のデータを調べ、営業担当にヒアリングして、受注確度が正しいかどうか確認する必要があった。しかし、Xactly Forecasting導入後は、商談データさえ入力すれば自動で受注確度がスコアリングされる。受注予測の精度を高めるうえで非常に有効だった。
Xactly Forecastingによる成果のひとつが「フォーキャストの高度化」だ。以前は幹部層が前期/今期のパイプラインを比較し、フォーキャストを予測していた。現在はXactly Forecastingより、パイプラインに応じた複数のフォーキャストパターンが提供され、営業部からより正確なフォーキャストが報告されるようになった。
もうひとつの成果が「マネジメントの高度化」だ。商談のボトルネックを早期発見できることで、「頑張れ」と叱咤激励する抽象的な指導から、次にとるべきアクションを考える具体的な指導に変わった。
受注予測の実務を担ってきた細川氏によると、同社は2021年にSalesforceによる案件管理をスタートし、案件情報と営業活動のデータ管理を一元化した。データの蓄積が進む一方、「データをどのように分析すれば、生産性の向上や成果に結びつくアクションがわかるのか」と課題を感じていたという。Xactly Forecastingにより、営業活動と成果を結びつけて分析できるようになったことで、経営およびマネジメントの高度化が実現した。
さらに、「データの入力率」も向上した。前週からの商談スコアの変動を見れば「入力していない」ことが可視化されるため、自然と、「入力しなければいけない」という意識が現場に芽生えた。結果としてこれまで“隠れていた”案件が明らかになった。たとえば、事業に大きな影響を与え得る1,000万以上の規模の案件について、活動データの入力率が50%から80%へ上がったという。
加えて、営業生産性も向上した。案件情報は全営業部で約2万件、関東甲信越営業部だけでも数千件が登録されている。膨大な量から目当てのデータを抽出してExcelに落とし込み、分析するのは非常に時間のかかる作業だ。しかし、今はXactly Forecastingにログインするだけで、個人/組織の商談進捗や受注予測をリアルタイムで把握できる。関東甲信越営業部(20名)全体で約130時間/月、データ抽出や資料作成にかけていた時間を削減し、商談など本質的な営業活動に時間を充てられるようになった。