名刺管理から営業生産性の向上へ 「Sansan」の提供価値
「営業生産性の向上」に対するひとつの解となるのが、営業DXサービス「Sansan」だ。
「Sansan」と聞いて、名刺管理を想起する人も多いだろうと鳴海氏。メールによるコミュニケーションが主流となったことやコロナ禍を経て名刺の価値・使用シーンが大きく変化したことを受けて、「Sansan」もまた、名刺管理サービスから営業DXサービスへと大きく舵を切った。
鳴海氏は、名刺管理にとどまらない「Sansan」の具体的な活用シーンを紹介した。たとえば、アプローチ先とつながっている人物を社内で探したい場合や、顧客の最新ニュースをタイムリーに把握して商談に臨みたい場合。また、退職した社員の商談記録やノウハウが失われてしまう問題に対しても、「Sansan」は解決策を提供する。部門を越えた社内の人脈の活用、接点がある人物の異動情報や企業のニュースの通知、過去のアプローチ履歴の蓄積など、すべてが「Sansan」で実現するのだ。
これだけ聞くと、複雑なシステムなのではないかと身構えてしまう人もいるかもしれない。しかし「Sansan」は、スマートフォンのカメラで名刺を撮影するか、専用のSansanスキャナで名刺をスキャンするだけで、あらゆる機能をすぐに利用できるという。名刺の登録だけすれば、その後のデータ化や情報の紐づけはすべて「Sansan」が行ってくれるのだ。こうして構造化された情報は、CRMとも連携し、スマートフォンからも確認することができる。
商談準備にかかる時間を約9,000時間削減
名刺交換をせずにZoomでいきなりオンライン商談をする時代。Sansanはこうした時代の変化にも対応した。100万件を超える企業の人事情報や反社会的勢力に関するリスクチェック、導入しているITツールなどの情報を網羅的に搭載し、現在は名刺交換をしていない企業の情報も検索可能だ。
これにより、まるでインターネットで検索するように「Sansan」で顧客情報を調べられるようになった。たとえば浅羽建設の田中さんに会おうとしている営業担当者が「浅羽建設 田中」と検索すると、2年前に社内の別の営業担当が田中さんと名刺交換した履歴や、田中さんの役職がその時点から変わっているという情報、実は田中さんが所属する部門の役員と自社の役員が同級生であることなど、“人”に紐づく情報を知ることができる。
さらに浅羽建設という企業について、注力している事業や過去3年間の業績など、最新のニュースに基づいた定性的・定量的な情報も把握できる。「Sansan」が名刺管理ツールからアップデートしたことで、営業生産性の低下を招く“顧客の情報を知る”業務を大幅に軽減したのだ。
鳴海氏によれば「Sansan」は、社内でも大きな成果を生み出したという。「Sansan」の活用によって、さまざまなツールやチャネルの情報を確認する必要がなくなったことで、従来は43分かかっていた商談準備時間を15分まで短縮。約30分の準備時間を削減した。「単純なかけ算ではありますが」(鳴海氏)、全社における月間の推定削減時間は約9,000時間に及ぶという。
こうして創出した時間を「顧客と向き合う時間」に充てることで、従来は気づかなかったさまざまな可能性が見えてくる。たとえば、アプローチしたい企業の役員と自社の役員の接点情報を早々にキャッチすることで、自社の役員に紹介を依頼するファーストアクションが可能になる。また、中期経営計画の発表をいち早くキャッチすることで、経営計画に寄り添った提案を考えることもできるだろう。「Sansan」の活用により、営業は本来注力すべき業務にリソースを割くことが可能になるのだ。