Hacobuは「ネイティブDX」!? 創業当時から抱く信念とは
加藤(Sansan) 近年「営業DX」や「データ活用」という言葉が浸透してきています。しかし、たとえどれほどデジタル化が進んでも、営業の本質は「人と人のコミュニケーション」であり続けるのではないでしょうか。今日はそんな仮説にもとづき、議論を交わせると面白いのではないかと思っています。
加藤 はじめに、御社の事業内容と営業組織のミッションについてうかがえますでしょうか。
坂田(Hacobu) 当社は物流領域でソリューションを提供するスタートアップ企業です。現在「MOVO(ムーボ)」というSaaSツールを展開しています。「MOVO」は物流DXツールで、「トラックの入出庫をコントロールできない問題(バース管理)」「トラックの手配の問題(オンライン配車)」「トラックの位置を把握できない問題(動態管理)」などを解決する機能を提供しています。
坂田 昨今、物流業界は「2024年問題」(働き方改革関連法案によりドライバーの労働時間に上限が適用されることで生じる問題)に直面しており、運送会社や倉庫会社といった物流現場を効率化していくことが求められています。これは物流現場だけの問題ではなく、倉庫に荷物を預ける「荷主」(メーカーなど、倉庫へ物流業務を委託している企業)がメスを入れていかなければ解決できない問題でもあります。
当社の営業組織のミッションは、荷主企業の役員や物流部門の担当者に対し「物流DXやデータ活用で現場を可視化し、効率化していきましょう」と啓蒙していくことです。
加藤 なるほど。御社の営業組織におけるDXも最先端を走っているのではと推測します。営業DXの進捗状況も教えていただけますか。
坂田 2015年の創業当時から、SFAやMA(マーケティングオートメーション)ツールの活用に取り組んできました。「ネイティブDX」とでも言うのでしょうか。「読み書きそろばん」「箸の使い方」レベルで、デジタルツールの活用が当たり前になっています。
加藤 具体的にどのような営業ツールを導入しているのですか。
坂田 SFAはSalesforce、MAはAdobe Marketo Engage、そして営業DXサービスのSansanを導入しています。奇をてらった使い方はせず、“全員がツールの機能を理解し、王道のやり方で使いこなせる”ことを目標に組織への浸透を図っています。ツールを使いこなせば使いこなすほど企業としての力がつくと信じて、愚直にDXを推進してきました。
加藤 デジタルツールを扱えるリテラシーは、もはや企業の重要な競争力になってきていますよね。
坂田 ただ、加藤さんがおっしゃる「人と人のコミュニケーションも重要」という点にも大いに共感します。
加藤 どういった場面でそう感じるのでしょうか。
坂田 我々のカウンターパートとなる「荷主の物流部門」は、従来コストセンターととらえられ、マーケティング部門や商品開発部門などに比べてあまり重視されない傾向がありました。そのため変化に消極的であり、我々がデジタルを使ってマーケティングなどのアプローチをするだけでは、なかなかこちらに目を向けてもらえないのです。
やはり、対面でお話ししたり、コミュニティにお招きして他社の成功事例を紹介したりしなければ、お客様の心は動かせない。まさにそこで「コミュニケーション」の重要性が問われます。営業は、やはり“心を動かす”ことが大事じゃないですか。
加藤 おっしゃるとおりだと思います。では、ここからは営業活動における「コミュニケーション」の重要性について、詳しく聞いていきたいと思います。