営業ではなく、技術職志望だったワケ
私が営業になったのは……配属されたから(笑)。と言うと元も子もないですが実は技術職志望だったんです。
新卒で入社したのは東証一部上場、現在のプライム市場に属する比較的大手のIT企業でした。採用面接で希望を伝えたところ、文系でしたから当然理由を問われたのですが、「エンジニアになってから営業になりたい。そうすれば技術を理解してプロダクトを売ることができるため、お客様とのコミュニケーションがスムーズになると思う」と答えたことをいまでも覚えています。
どこまで本心だったかはわかりませんが、我ながら現在につながるような良い発想だったなと感じています。
結果的に営業職としてキャリアをスタートしたのですが、自分の出自を振り返ると私の父はリクルートで長年営業をしていました。大手の金融機関の内定を蹴って、当時まだ知られていない「日本リクルートセンター」へ飛び込んだ父は、カーセンサー事業の責任者や『ゼクシィ』の立ち上げを担当していました。直接的なきっかけではないのですが、仕事で父親がテレビに出たこともあって、営業という仕事への関心や尊敬、憧れは学生のときからありましたね。
ちなみに、母はコピーライティングの仕事や、化粧品の訪問販売のパートで活躍していて。30万円くらいするエステボックスをポンポン売ってくるなど、母のほうが営業として長けていた可能性もあるかもしれません。少し、話がそれました(笑)。
正直何も考えていなかった⁉ IT業界を志した背景
IT業界を選んだ理由はとても安直です。若い人に勇気を与えるべくお伝えしますが、正直何も考えていなかったんです。私が新卒だった2002年は、いわゆる「ドットコムバブル」でIT業界が伸びたあとかつ、就職氷河期の合間の売り手市場で、IT業界において採用強化が進んだタイミングでした。パソコンもろくに触れない大学生でしたが、同級生の「IT業界が熱いよね」という話を真に受けたのです。
複数の企業を受けた中で新卒入社した企業を選んだのは、説明会が印象に残ったから。多くのIT企業では自分たちの属している業界が伸びていることだけに触れていたのですが、その企業では市場の伸びに対して、自社がどのように貢献しているか、そして市場の伸びよりも高い成長率で自社が伸びていく根拠を提示していて、「しばらくはつぶれないな」と思えたんです。
いま思えば、IT業界にもソフトウェアからインフラまでさまざまなセグメントがあるのに、どんなITに興味があるかまでは突き詰めて考えておらず……。「つぶれないから」、そして「父親の知り合いがいたから」で企業を決めたので、最近の大学生や若手の思慮深さによく驚いています(笑)。
今日は、そんな私が営業について深く考えるようになったきっかけをお話します。これが、最初の転職のきっかけにもなるのですが……4~5年め、26、7歳のころの話です。