CSMの生産性向上に活用したテクノロジーとは?
次に伊駒氏からは、現場のCSMがミッションを達成するためにどのような工夫を行ってきたのかが共有された。CSMは、マイクロソフトのクラウド製品を導入した顧客をサポートする“ポストセールス”とも言える。さらに、結果として顧客がビジネス課題を解決し、目標を達成することにフォーカスするため、ITに詳しい情報システム部門だけでなく、ビジネス部門や責任者、現場のユーザーの隅々まで目を配り、相対するポジションでもある。
伊駒氏は「まだ道半ばではあるが」と断りつつも、「我々はマイクロソフトの中でも高い生産性を求められているが、先進国の中でも日本は生産性が低いと長らく言われてきた。加えてコロナ禍において働き方や活動の仕方も大きく変わった。その中で、少ない努力で多くのインパクトを生むためにはどうすれば良いのかという、我々なりのチャレンジがあった」と話す。
実際に現場の課題として、「顧客との面談メモを作成したのに誰からもフィードバックをもらえないという問題や、部下に適切なアドバイスやコーチングをしたいが活動の把握が難しいという声が上がっていた」という。
問題の根本は、情報の分断にあった。社内に協働する相手の多いCSMでは、メール、CRM(顧客関係管理システム)、チャットツールなどに情報が分散し、いつ、誰が、誰に対して、どのようなアクションを行ったのか、ひとつの文脈で取り出せない状態にあったのだ。当然コミュニケーションの工数は増大し、生産性も下がる。
そこで面談に関するメモはTeamsからポストするように一元化し、バックエンドにあるCRMと連携させた。
「システム上のユーザー動線もシンプルになり、最終的には顧客に関係するありとあらゆる情報を、顧客接点基盤としてのCRMであるDynamics 365に格納される状態をつくっている」と伊駒氏は解説した。
Teamsは所属する組織内で展開されているため、ポストした瞬間にリアルタイムで上司や同僚とインタラクティブなコミュニケーションが発生する。Dynamics 365とTeamsをシームレスに連携することで、同じ案件や顧客の情報を見ながら、プロジェクトのメンバーと活発なコミュニケーションができるというわけだ。
顧客接点活動において、少ない努力で多くのインパクトを生むというチャレンジは、Teamsを通した社内のスムーズなコラボレーションと顧客情報の一元化によって達成しようとしている過程と言える。