Salesforceに帰ってきたワケ
──2010年から2019年まで在籍されたSalesforceを一度離れてらっしゃいますね。再びジョインした理由からうかがえますか。
Salesforceを離れたあとサプライチェーンのスタートアップ企業の成長に携わりました。大きな革新を目指しチームやプロダクトをつくり、企業として成長させていく中で数々の素晴らしい経験をしました。最終的には、プライベート・エクイティ・ファンドに買ってもらう決断をすることになったのです。
Salesforceを去ったあとも、私の中でその存在は大きなものでした。「マルチテナント」とは何かさえわからなかった私が、クラウドについて学び、育ててもらった場所であり、素晴らしい社員の皆さんは私のファミリーだと言えます。そして戻ってきた理由のひとつは、Salesforceが大切にしている5つのバリュー、「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」「平等」「サステナビリティ」に深く共感しているからです。
さらに技術やソリューションも大きな可能性を秘めています。中でも現在私が担当しているSales Cloudには大きなチャンスがあると感じています。Salesforceの創業と共にあるSales Cloudは最初のクラウドアプリとも呼べるものですし、私がこのプロダクトをリードできるのは非常に光栄なことだと感じています。
世界中で何十万社ものお客様が存在し、企業成長のためにも、顧客との関係性を強化するためにも重要なプラットフォームであると信頼されています。「企業の売上を直接的に支援できる非常にユニークなプラットフォームにまた携わりたい」という思いでSalesforceに戻ってきたのです。
──日本においても、Sales Cloudがクラウドアプリケーション市場を盛り上げた部分があったと思います。組織の価値観と技術、双方に可能性を感じて戻ってこられたとのことですが、以前の在籍中はEinstein Analyticsのビジネスで印象的な体験をされたとか。
最初の10年間ではLightning ExperienceやSalesforce mobileなどさまざまなソリューションを経験しましたが、Einstein Analytics(現:CRM Analytics)における経験は中でも貴重なものでした。AIとBIを統合し、アナリスト向けではなく、エンドユーザーに対して、プロアクティブかつアクションにつながるインサイトを提供することを実現できました。過去のビジネス状況をチャートで示すだけではなく、明日のビジネスがどうなるかを示す、「新しい分析のカタチ」を世の中に届けられたと思います。