SDRは初動が肝心!経験が浅いメンバーも商談化率97%
先ほどの説明どおり、SDRで見る指標は「問い合わせ発生から5分以内の架電率と、そこからの商談化率」。時間を5分以内としているのは、覚えやすいということに加えて、実際に5分を境に商談化率に大きな差が生まれるからだ。見込み客側のアクションを想像すると、自社に問い合わせをしている場合、比較検討のために競合他社にも一気に資料請求をしている可能性が高い。その中でファーストリアクションが遅くなれば、優先順位は下がってしまう。こうした状況において細かいテクニックは必要なく、初動こそがすべてだと荒井氏は語る。
エフ・コードではデイリーでこの指標を確認し、問い合わせから5分以内に対応できなかったものについてはその原因を分析している。また、問い合わせから5分以内に電話をしてつながらなかった場合は即時メールを送信。電話ほど深くコミュニケーションをとることはできないが、徹底すべきは初動のリアクションだ。この行動を徹底した結果、経験が浅いメンバーでも商談化率97%を達成できている。
また、昨今ではオンラインイベントや自社ウェビナーが主流になり、以前に比べて見込み客との接点をつくりやすくなった。しかしイベントが終了から10分が経過してしまえば、内容をしっかり説明できる参加者はほとんどいない。ウェビナー後もやはり、接点を持つことができたら早急にアプローチをするのが鉄則だ。実際、ウェビナーで接点を得たのにもかかわらず1~2週間後にようやくアプローチする企業も珍しくない。エフ・コードが支援した企業の中には、ウェビナー後のアプローチをメールによる資料送付から電話での接触に切り替えたことによって、商談化率に20倍の差が出た例もあったという。
2次コールのKPIは"会話時間" 役割分担で質と量を担保
BDRにおいて重要なのは役割分担による「量」と「質」の担保だ。先ほど触れたとおり同社ではBDRを1次コールと2次コールに分け、1次コールは商談のきっかけづくり、2次コールは商談の打診と、細かくその役割を定めている。
営業電話は多くの場合、受け手にとっては急な電話だろう。内容はともかく、知らない相手から突然かかってきた電話で長々と話を聞こうという気持ちになるのは難しい。営業側はその心理を理解し、いきなり商談を目指すのではなく、初回はあくまでも「商談のきっかけ」をつかむことをゴールにすることが大切だ。属性やキーマン情報など次につながる情報をヒアリングし、自社を少しでも覚えてもらうことができれば、1次コールの目的は果たせたことになる。その後情報を送付し、少し時間を置いて2次コールをし、サービスへの期待値を高めたうえで商談を提案することによって、商談化率は向上するという。
2次コールで大切なのは、ヒアリングに固執しすぎないことだ。たとえば予算・決裁権・ニーズ・導入時期などのBANT情報は営業をする側にとっては押さえておきたいところだが、ヒアリングの段階ではそもそもBANTが固まっていない企業もあるだろう。中長期的に事業を伸ばすには、購買タイミングが先になる企業へ向けても、こちらから提供する情報量を増やしていくことが肝要だ。
エフ・コードではBDRの2次コールのKPIを「会話時間」としている。なぜなら、会話時間が長いほど商談化率が高くなることが同社のデータでわかっているからだ。会話を無理矢理引き伸ばす必要はないが、会話時間が長い=相手が時間を割いて話を聞いてくれているということであり、丁寧なQ&Aの積み重ねによって、商談化率の向上が実現できる。
プラスアルファの施策として、大手企業にアプローチする際は「0次」のステップに注力することもあるという。それが1次コールの前に、自己紹介のための手紙をしたためるというものだ。ターゲット企業の業界課題に対して自社がどのように役立てるのか、類似事例にはどのようなものがあるか、そのうえでどのような提案をさせていただきたいか。これらを手紙に書いて送る手法は、古典的ながら近年増えてきており、実際に響くケースもあるという。