自社のインサイドセールスが評価され、他社支援を開始
2006年に創業したエフ・コードは現在、CX向上SaaS「CODE Marketing Cloud」の提供をはじめとするCX事業と、デジタル領域のセールスおよびマーケティング支援を提供するDX支援のふたつを事業軸としている。toCビジネスのマーケティング支援を主軸としていた創業期を経て、2010年にSaaSビジネスを、2019年にBtoB特化型のマーケティング支援およびインサイドセールスの支援をスタートし、半年前には東証グロース市場への上場を果たした。本セッションではこのうちDX支援をテーマに、同社自身がいかにしてデータを活用しながらインサイドセールスの組織運営をしてきたか、その裏側を紹介した。
同社にとってDX支援は、2年半ほど前から提供し始めた比較的新しいサービスだ。もともとはCX向上のためのSaaSを自社開発し、自社のインサイドセールスチームで活用していたところ、BtoBの身近な取引先からエフ・コード自身のインサイドセールスを評価する声が聞かれるようになったという。これを機に、取引先企業のインサイドセールスを支援するようになり、現在ではIT、デジタル、SaaS企業を中心に、多数の企業へマーケティングとインサイドセールス支援を提供している。
エフ・コードがセールスプロセスについて考える際のベースとしているのが、営業活動を「リストからリード(見込み客)へ、リードから商談へ、商談から案件受注へ」とフェーズごとに管理する「The Model」の概念だ。このうち同社では、リード創出から商談獲得までをカバーする領域をインサイドセールスと呼んでいる。なお、コロナ禍以前はフィールドセールスの領域であった案件受注も、コロナ以降はインサイドセールスの守備範囲として対応しているという。
シンプルかつ明確な、SDRとBDRの見るべき指標
つまりマーケティングによって接点が得られた見込み客に対するアプローチで商談を獲得するのがインサイドセールスの主な役割だ。一方で、未だ接点のない出会いたい企業をリストアップして電話やDM、FAX、メールなどでアプローチして商談を生むアウトバウンドセールスも守備範囲となる。対応範囲が広いため、そこに紐づく課題やデータは多岐にわたる。
エフ・コードでは外部の企業に対してインサイドセールス支援を始める1年前に、社内のインサイドセールスチームを立ち上げている。立ち上げ以前に抱えていた課題は、毎月のリード数や商談数が目標数値に届かない、そもそもそこにかける行動量や時間を捻出できない、業務にフィットする人材の採用・定着が難しい……など。これはそのまま、多くの営業組織が直面している課題でもある。現状の営業課題を解決しつつ、業務が属人化しないよう仕組み化することで組織全体をレベルアップするために選んだのが、インサイドセールスチーム組織の立ち上げだったのだ。
現在のエフ・コードの組織体制は図のようになっている。
このような体制のもと、エフ・コードのインサイドセールスが着目している指標・データは次のように整理できる。
- SDR(≒インバウンド対応):問い合わせから5分以内の架電率、そこからの商談化率
- BDR(≒アウトバウンド対応)1次コール:接触数/ターゲット比率
- BDR(≒アウトバウンド対応)2次コール:会話時間/商談化率
なお荒井氏は前提として「インサイドセールス=架電ではなく、カバーするチャネルや業務は多岐にわたるが、もっとも素早く濃密なアプローチができるチャネルとして電話を最重視している」と説明した。
同社では、SDRはいわゆる反響型として見込み客側からの問い合わせへの対応、BDRはハウスリストやコールドリストに自社からアプローチを行っている。BDRにおいては、1次コールは商談のきっかけづくりに徹し、2次コールで初めて商談の打診をするというように、細かくその役割を定めている。