入力工数の軽減、動画学習の提供で現場メリットを増幅
営業現場でSalesforce活用をスタートするにあたって懸念されたのが、「データの入力・登録や確認の手間」だ。当初はある程度強制力を発揮して入力を促したが、現場がメリットを感じるようになり、自然に活用が進み始めたと松本さんは語る。
「当初は『入力するように』と強めに指示をしました。入力・登録することで、自身の営業活動で生まれやすい課題や、改善点が見えるようになり、Salesforceを導入した理由も伝わると考えたからです。初めは怪訝そうにしていたメンバーも、利用しながら自身の業務の改善にもつながることを実感し、定着は自然と進んでいきましたね」(松本さん)
とはいえ、業務効率化のためにも登録や入力の手間は可能な限り軽減できれば望ましい。そこで2020年に入社した前側さんを中心にさまざまな改善が行われた。まずはマーケティングからセールス、カスタマーサクセスまで一気通貫での活用を密にするために「Salesforce活用定例会」を週次で開催。そして、Salesforceのチェック機能や入力補助機能などの活用、項目の連動関係の設定や入力規則のアナウンスの徹底がなされた。加えて、工数を要する部分は条件づけができるフロー機能で対応し、SalesforceのデータをTableauに蓄積することで入力データのチェックも可能にした。
「実は入社した時点で、Salesforceの運用については経験がなく、いわば初学者でした。しかし、社内の各部門やSalesforceの営業担当者、Tableauのコミュニティなど、さまざまな方々の力をお借りして取り組みを進めていくことができました。ユーザー向けの学習プラットフォーム『Trailhead』もとても参考になり、サポートも丁寧で心強かったですね」(前側さん)
さらに同社では現場にメリットを感じてもらう育成施策として、自社ならではの学習コンテンツを提供できる「myTrailhead」も活用している。myTrailhead上には動画コンテンツも格納可能なため、自社プロダクトの「Video BRAIN」を活用して動画が作成され、入社時や部署異動時には、動画を通して基礎知識を学習できるようになっている。この活用方法については、ゆくゆくは社外のSalesforceユーザーへの提案も想定しているという。
CSはSlack連携で効率化を実現 セールスへの展開も
一歩先の工夫として現在はSalesforceとSlackの連携をカスタマーサクセス部門で試験運用中だ。これまでは既存ユーザー向けのコンテンツやヘルプページについて、閲覧状況を参照して強化や改善施策を決定していたが、マーケティングなどのコンテンツに比べ、日々のアクセス数に大きな変化がないため、状況チェックが無駄な作業になりがちだった。現在は、週毎にコンテンツのPVが2倍以上になったときだけ、Slack通知がなされるように設定し、その後に調査を行い、改善・強化などの意思決定を行っている。
「データの変動をSlackで通知する仕組みはたいへん便利だということがわかりました。セールスはもちろん、全社に展開したいと考えています」と前側さんは意欲を見せ、松本さんも「商談数やフェーズの進捗があったとき、さらにお問い合わせのフォームにすぐにリードにつながりそうな情報が来たときに即時で知らせてもらえると、わざわざデータを見に行く必要もなくなって助かります」と期待を寄せる。現在は、通知のルールやしきい値などを相談中だ。