顧客フロント部門全体で挑むOneCRMプロジェクト
──顧客基盤をグローバルで統一する「OneCRM」プロジェクトにおける皆さんの役割を教えてください。
喜多(CEO室 CDPO Division シニアディレクター) 富士通全体でグローバル標準化のプロジェクトが進んでおり、その中でも私はCRMおよびERP(営業領域)の推進リーダーをしています。利用者目線で進めるために、推進チームが現場出身者を中心に構成されていることが、OneCRMプロジェクトの大きな特徴のひとつです。私自身、一貫して営業畑の人間です。
友廣(グローバルマーケティング本部 デジタルセールス統括部 統括部長) 富士通に入社したのは2020年6月です。入社後は、グローバルマーケティング本部に所属し、富士通ではデジタルセールスと呼んでいるインサイドセールスチームの立ち上げを行いました。
マーケティングで取り組みたかったことは、CRMやMAなどのシステムを一気通貫でつなぎ、見込み顧客と呼ばれる状態から受注まで、お客様のデータをきちんとつなぐこと。そしてシステムだけではなく、マーケティングと営業組織が連携すること。その戦略を推進するべく、かつてのチームメイトであり、信頼できるマーケターの矢岡さんにもお声がけしました。
Salesforceは自由度が高い分、活用に悩んでしまう組織も多いです。デジタルセールスはSalesforce活用の鍵にもなる戦略的なミッションを持ったチームとして立ち上げました。ビジネスプロセスにおいて、マーケティングとセールスの間にあり、さまざまな面で両者の「かすがい」のような存在になればと考えていました。
矢岡(グローバルマーケティング本部 グローバルGTM統括部 マーケティングエクスペリエンスデザイン部 部長) デジタルマーケティング全体のプロセスやオペレーションをグローバルで標準化する部門の責任者を担っています。OneCRMのプロジェクトでは、MAのリプレイスやリード管理プロセスの標準化も行いました。
実は、当初はマーケティングがマーケティングのことだけをしている状態でした。山本CMOのひと声をきっかけに、喜多さんが推進するOneCRMプロジェクトにマーケティングもきちんと参画することが決まったのです。非常に良いタイミングでご一緒させてもらえたと思っています。
──2018年以降、働き方改革やデジタルマーケティングの推進を本格化されています。顧客フロント部門においてはどのような変化があったのでしょうか。
喜多 大きくふたつの変化がありました。ひとつは働き方の変化。IT業界全体で人材流動性が非常に高まっていますが、富士通でもジョブ型の人事制度が始まり、従来の製造業的な雇用を脱却しています。たとえば、以前はひとつの部署で長く同じ顧客を担当することが多かったところ、社内ポスティングや外部人材の登用によって、人の入れ替わりが多くなった部署もあります。そして営業現場の働き方も変化が求められています。リモートワークが定着したことで、働く時間や働く場所は変化し、情報共有や顧客との商談方法も変わってきているからです。
もうひとつはビジネスモデルの変化。DX企業への転換を目指す当社ですが、お客様の要件を聞いて最適なソリューションを組み立てる営業スタイルを得意としてきました。現在は、「オファリング型」のビジネスに転換していくため、ビジネスプロデューサーへのリスキリングを進めています。オファリング型のビジネスではお客様に「何の価値を提供するのか・何を提案するのか」が重要です。これをグローバル全体でマネジメントしていく必要があるため、この観点からも商談管理の方法を変える必要がありました。