MAツール導入後ナーチャリング経由の売上が170%増
酒井氏の入社によって、それまで営業部門が行っていたリード獲得の業務をマーケティング部門で行うことができるようになっていた。情報収集から得た理想形へ近づくためにはそこからさらに、見込み顧客を育成するところまで酒井氏の在籍するマーケティング(インサイドセールス)チームで実施し、営業部門がアポ獲得以降の商談フェーズに注力できる体制を整える必要があった。
「理想としてはアポ獲得もこちらで引き受けたかったのですが、一気に組織を変えるためには相当なパワーを要するので、実現可能な範囲で目標を設定しました。優先度の高い架電とメルマガ配信へスピーディーに取り組むため、導入したのがMAツールの『SATORI』です。見込み顧客の情報を自動的に可視化し、共有可能な状態にできる点が魅力的でした」(酒井氏)
多機能な「SATORI」を用いてまず酒井氏が取り組んだのはリード情報の一元管理だ。コロナ禍以前のNewsTVはオフラインのイベントや展示会に数多く出展し、年間4,000から5,000の見込み顧客と対面していた。イベントで会った見込み顧客が過去にサイトから資料をダウンロードしているかどうかなど、“タグ”機能を用いてデータを統合した。酒井氏は「こんなにかんたんに一元管理ができるのかと感動した」という。
一度のイベントやセミナーで獲得した数百というリードに対し、以前は手動で個別にメールを送っていたが、「SATORI」を導入したことで獲得した当日中にメールを配信でき、即時フォローを実現した。さらに、ナーチャリングを目的としたメールマガジンも「SATORI」によって画像や動画を盛り込めるようになり、リッチなコンテンツで受け手の心理的ハードルを下げることに成功。その結果、リードナーチャリング経由の売上が飛躍的に増えた。「SATORI」を導入した2019年10月と2020年同時期の数字を比べると、コロナ禍にも関わらずナーチャリング経由での売上は170%に増加していた。
「なぜもっと早く導入しなかったのかと思うくらい、効果を実感できました。情報の共有がこんなにもメンバーの意識を統一するのかと、大きな気づきを得られました」(酒井氏)
インサイドセールス発足直後は目立った成果が現れにくく、「上手くいっていないのでは」との声が周囲から上がったこともあったという。それでも、NewsTVが展開する事業の特性上、シーズンごとに依頼を受けることも多いため、翌年もリピートしてもらうためには年間を通した継続的なコミュニケーションが必要となる。新しい組織を立ち上げてすぐに効果が出ない場合も見切りをつけるのではなく、継続することが肝要だと酒井氏は強調した。