AI活用学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」を展開するユームテクノロジージャパンは、2025年11月26日(水)にヒルトン東京にて「Performance Learning Award 2025」表彰式を開催し、受賞企業を発表した。
本アワードは、単なる知識のインプットに留まらず、学習を企業の業績や経営インパクトに直結させた優れた取り組みを表彰する、パフォーマンスラーニングに特化したアワード。厳正なる一次審査を経て選出されたファイナリスト16社の中から、外部審査員による二次審査を経て、最優秀賞、優秀賞および各部門賞(パフォーマンスラーニングデザイン賞、ビジネスインパクト賞、AIトランスフォーメーション賞、スケーラビリティー賞)の受賞者が決定した。

「Performance Learning Award 2025」受賞一覧

最優秀賞
パーソルキャリア株式会社

タイトル:人とAIを互いに活かし合うラーニングデザインで実現する「自ら考え、行動する」人材育成
キャリアアドバイザー職の新卒社員約50名を対象に、育成者の手が離れた後の成長鈍化を防ぐため「自ら考え、行動する」人材育成をコンセプトに掲げ、従来のオンボーディング体制を改革。「すべて人がやる」から脱却し、AIの力を最大限に活用することで、育成者が人ならではの価値を最大限発揮できる状態を構築した。その結果、各種重点KPIの伸長、新人の生産性107%アップという成果を残し、育成者工数も1400時間の削減につながった。
受賞理由:研修効果を最大化するために、人が担うべき領域とAIに託す領域を明確に整理し、実践している点が評価された。AIやデジタル技術が人間性を奪うのではなく、「人間らしさを拡張する」という現代のニーズに対応した革新性、そして新人の生産性107%向上をはじめとする確かな成果が、受賞を決定づける要因となった。
優秀賞
アステラス製薬株式会社

タイトル:顧客エンゲージメントモデルを核としたMRスキル変革 ~個の成長を組織価値へ~
従来の情報提供型から顧客や患者さんが抱える困りごとや望まれていること対して解決策を提案する「課題解決型」アプローチへの進化を目指して、課題解決型情報提供スキルの共通フレーム「ACE(Astellas Customer Engagement Model)」を策定し、スキルを共通指標化した。AIを活用した、学習→実践→可視化→フィードバックのサイクルを約800名規模で構築。MR1人ひとりが成果に向けて主体的に行動変容・成長実感を促進することで、組織として再現性のある育成を実現した。結果として、課題解決型情報提供スキルスコアが業界平均以上に向上し、業績にも貢献している。
受賞理由:「AIが人を置き換えるのではなく、AIが人の成長を支える」という哲学を、800名規模で実装した点が高く評価された。目指す人材像を明確に定義し、AIを活用した学習サイクルでスキルの可視化とフィードバックを実現。属人性を排した再現可能な育成体系を構築し、専門職育成におけるデジタルと戦略の融合を実現した事例であることが受賞の決め手となった。
楽天生命保険株式会社

タイトル:UMUとAIを活用した、代理店間での相互学習とオペレーション革新
昨年度の学習成果を基盤に、全代理店の利用促進と相互コミュニケーションの深化を目指し、AIを活用した学習プラットフォームの高度化を推進した。UMUのシステムを、会社と代理店をつなぐハブと位置づけ、全代理店へアカウントを発行した。コンテンツ開発にはAIを積極的に活用し、制作効率を高めた結果、体系的な研修ラインナップを約4.7倍に拡充した。これにより、UMU内コミュニティを通じた代理店間の相互学習が活性化し、現場の行動変容につながっている。また、オペレーション部門でも本システムを活用し、研修の効率化とコミュニケーションの強化に取り組んでいる。
受賞理由:社内革新に留まらず、代理店育成という社外パートナーの巻き込みまで多角的に展開し、明確な成果を出している点が評価された。AIを通じて組織内に対話を生み出し、学びを「義務」ではなく「誇りとつながり」に変えた点は、学習文化の好例である。今後のエコシステム拡大への期待も含め、その拡張性が評価された。
パフォーマンスラーニングデザイン賞
内外テック株式会社

タイトル:半導体人材の創出を“人的資本投資”で実現するオンボーディング戦略
拡大する半導体市場におけるエンジニア不足という課題に対し、人的資本投資と位置付けた次世代半導体人材育成プラットフォームを開発。座学ではAIを活用した「半導体Eラーニング」と「半導体AIチャット」を始動し、知識習得を効率化している。さらにVRやMR技術を用いた実践的なトレーニング環境も構築中である。これらの取り組みを通じて、従来のサプライチェーンに依存せず、高いスキルを持ったオープンクラスター集団への変革を目指す。
受賞理由:テキストや座学だけでは習得が困難なエンジニアリング領域において、VRやMRといった学びのテクノロジーを積極的に取り入れようとする先進性が評価された。着手したばかりながら、業界全体の課題解決に向けたオープンな取り組みで拡張性があり、学習デザインの未来に可能性を感じさせる点が受賞につながった。
三木市教育委員会

タイトル:「新しい気づきがあった」100%達成!三木市 教員研修DX
教員の多忙化と孤立化という課題に対し、スキルアップと実践へのつながりを軸にテクノロジーを活用。「学びにアクセスしやすく、実践につながる」研修モデルを構築した。認知科学に基づくマイクロラーニングで学習へのアクセス性を高め、「振り返り」と「目標設定」を組み込むことで行動変容を促した。さらにオンラインコミュニティでは心理的安全性を醸成し、学び合いを促進。その結果、「新しい気づきがあった」という回答は100%を達成し、さまざまな教員が授業で実践するなど行動変容につながった。
受賞理由:公教育における教員の負担増という深刻な社会課題に対し、学習の科学とテクノロジーを活用して取り組んだ点が評価された。多忙な教員がアクセスしやすい学習設計や、拠点が離れた教員同士のナレッジシェアの仕組みは、企業にとっても再現可能な学習デザインの事例である。
ビジネスインパクト賞
トランスコスモス株式会社 CX事業統括 DCC総括 人財戦略本部 組織開発部 育成企画課

タイトル:『事業所トレーナー研修』による価値創出
コンタクトセンター部門の早期退職率改善と、年間3,000万円の採用教育費の削減を目的に、全国の事業所トレーナー研修をアウトプット中心の体験型へ転換した。AIやEラーニングを活用した自律学習支援や伴走型フォローで現場への定着を促進。研修後のアンケートでは97%が業務に活用できると回答し、早期退職率は平均2.8%の改善を実現した。採用教育費は当初目標を上回り、2025年第1四半期で2,500万円の削減した。
受賞理由:属人的な指導文化から体験型・アウトプット中心の研修へと転換し、退職率の改善と採用教育費の削減という明確なビジネスインパクトを創出した点が決定的な要因となった。全国規模での横展開を見据えた設計は、学習効果とビジネス成果を両立させた実践例として評価された。
一般社団法人日本血液製剤機構

タイトル:“アウトプットを促す文化の創造”知識定着とスキル向上/行動変容への道筋
MRによる「医療関係者への正確な情報提供を行う活動」を推進するため、学習プラットフォームを活用したアウトプット練習の環境整備と研修を実施した。発声を伴うアウトプット練習を気軽に実施できる環境を整備し、行動変容を促すマーケティング部門との連携や自己学習用プラットフォームを構築。また、心理的安全性の担保や練習しているMRの称賛といった施策を通じて主体的な取り組みを促進。結果、重点活動項目の活発化や業務効率の改善に寄与し、活動の質の向上と主体的なアウトプット文化の醸成に成功した。
受賞理由:学習範囲をあえて限定することで心理的安全性を確保するというユニークな視点が評価された。さらに、練習に取り組むMRへの称賛に加え、ベテランMRをていねいにサポートしつつ、学習プラットフォームと組み合わせるハイブリッドなアプローチを採用。これにより、主体的なアウトプット文化を醸成し、活動の質の向上という成果につなげた点が受賞理由となった。
AIトランスフォーメーション賞
ヤマト運輸株式会社

タイトル:「安全第一、営業第二」次世代へつなぐ持続可能な安全教育モデル
「安全第一、営業第二」の理念を次世代へ継承するため、安全指導の属人化解消と品質向上に向けた仕組みを構築した。学習プラットフォームを活用した「安全指導者スキル検定」を実施し、指導者の育成・評価プロセスを、AI評価の導入などにより、標準化・効率化することで、評価にかかる時間をひとりあたり平均で6時間から30分に短縮した。新たなシステムにノウハウが蓄積されたことで、特定の担当者に依存しない強固な仕組みが完成した。また、安全指導長への均質な教育の全国展開が可能になったことで、持続可能な安全教育モデルを構築した。
受賞理由:企業理念をAIの力で次世代に継承するという取り組みの本質が評価された。とくに、AI評価の導入によって指導者の評価時間を6時間から30分へと短縮し、暗黙知であったノウハウを形式知化。大規模オペレーションの持続性を支える、教育の本質を突いたAI活用の先進事例であると評価された。
明治安田生命保険相互会社

タイトル:AIを活用した明治安田の育成「大」改革
創客力の強化と営業職員ブランドの確立を目指し、AIを活用した営業職員の育成改革を推進。個人に合わせた教育の不足や教育インフラの未熟さといった課題に対し、レベル別カリキュラムの配信や、本社ダイレクト教育の実施、新たな学習プラットフォーム導入による教育インフラの刷新、販売話法訓練の強化を行っている。
受賞理由:大規模組織において、AIやチャットボットによる話法トレーニング、レベル別に細分化されたカリキュラム配信など、学習者のUI/UXを向上させ、「個別最適化された学習」を実現している点が評価された。アドバンス人財や業績達成者の増加という行動変容までをトレースし、学習とパフォーマンスの接続を試みる姿勢は、AIトランスフォーメーションの優れた手本として評価された。
スケーラビリティー賞
日本航空株式会社

タイトル:旧来型教育からの一斉転換のポイントとデータ活用による管理業務効率化について
空港領域での教育における「旧態依然の教育体系」や「紙ベース時代の手法が残る受講・資格管理」といった課題解決のため、学習プラットフォームを導入し、既存教育を一斉刷新した。システム導入に伴う工夫、新たな学習システムならではの資格・受講管理、アセスメント機能の活用に取り組み、全社的な教育変革を推進。取り組みの結果、受講者の行動変容を観測できたほか、データ活用による管理業務効率化も実現し、教育担当者の負荷軽減にも貢献した。
受賞理由:数万名規模の社員が在籍し、厳格な管理が求められる中、紙ベースの旧来型教育からデジタルプラットフォームへの移行を垂直立ち上げさせた実行力が評価された。綿密な導入計画に基づき、資格情報の管理効率化や工数削減といった具体的な成果を出した本事例は、さまざまな伝統的な企業が教育DXを進める上で参考になる、再現性・拡張性(スケーラビリティー)のある取り組みであると評価された。
