エン・ジャパンは、運営する総合求人サイト「エン転職」上で、ユーザーを対象に「ハラスメント」についてアンケートを行い、3,566名から回答を得た。
64%が「職場でハラスメントを受けたことがある」と回答(図1~5)
「これまで職場でハラスメントを受けたことがありますか?」と質問したところ、64%が「ある」と回答した。
年代別で見ると、40代以上が71%で、20代の47%より24ポイント高く、年代が高い人ほど、ハラスメントを受けた経験があることがわかった。
男女別でみると、男性が65%、女性が64%という結果になり、ほぼ差はなかった。
職場でハラスメントを受けたことが「ない」と回答した人に「ハラスメントを受けない理由は何だと思いますか?」と質問したところ、もっとも多い回答は「職場の人間関係が良好だから」で56%だった。
年代別で見ると、20代が67%で、30代が53%、40代の51%より10ポイント以上高い結果となった。男女別では、男性が55%、女性が56%と、ほぼ差はなかった。
受けたことのあるハラスメントは「パワハラ」が85%でもっとも多い(図6~7)
職場でハラスメントを受けたことが「ある」と回答した人に「どんなハラスメントを受けましたか?」と質問したところ、トップは「パワハラ」で85%だった。これは、昨年(2023年)に実施した同テーマの調査と比較して5ポイント減少している。
また、年代別で見ると「セクハラ」と回答したのは、20代が31%であったのに対し、40代以上は19%と10ポイント以上の乖離があった。
男女別で見ると、男性は「パワハラ」と回答した人が、男性92%、女性80%で、女性と比較して12ポイント高かった。一方、「セクハラ」と回答した人は男性が6%、女性が37%と、女性は男性と比較して31ポイント高い結果となった。
また、具体的なエピソードを質問すると、次のような回答を得た。
▼「パワハラ」と回答した人
- 上司から「仕事ができない」などと直接言われている。教育体制が整っておらず、いきなり現場に放り出されて手探りの状態のため、理不尽だと思いながら日々働いている(20代男性)
- 部署内で仲間外れにされる、メールで関係の無い人までCCに含めて叱責されるなど(20代男性)
- 職場の女性の先輩から仕事を押し付けられ、先に帰られたのに給料泥棒だと言われた(40代女性)
▼「セクハラ」と回答した人
- 業務中に頭をポンポンされる。彼氏はいるか聞かれるなど(20代女性)
- 職場の上司から「女性だと感じない」「なんで料理をしないのか」「肌が荒れている」などの言葉をかけられた(30代女性)
- 同僚男性から、バストのサイズを聞かれたり、触られたりした(30代女性)
ハラスメントを受けた際の相談先トップは「上司」 61%が相談した結果「解決しなかった」と回答(図8~11)
職場でハラスメントを受けたことがある人に「誰かに相談しましたか?」と質問したところ、トップ3は「上司」が33%、「誰にも相談していない」が28%、「同僚」が26%という回答だった。
年代別では、「誰にも相談していない」が20代は21%、40代以上が31%と、10ポイントの差、「家族」では、20代は33%、40代以上が16%と17ポイントの差、「先輩」では、20代は24%、40代以上が13%と11ポイントの差だった。
男女別で見ると、10ポイント以上差が開いたのは「家族」で男性が14%、女性が27%、「誰にも相談していない」で男性が35%、女性が24%という回答だった。
「誰にも相談していない」と回答した人に理由を質問したところ、もっとも多い回答は「相談しても解決にならないと思ったから」で66%だった。「相談しても解決にならないと思ったから」という回答は、昨年(2023年)の同テーマの調査と比較して5ポイント下がった。
続いて、相談先を「上司、先輩、同僚、人事、社長・役員、社内の相談窓口、社外の相談窓口(労働局等)、家族」のいずれかと回答した人に、相談した結果について質問したところ、「解決した」人は13%という回答だった。具体的なエピソードは次のとおり。
▼解決したエピソード
- 警察へ通報した後、従業員を守るために「カスハラ防止」の張り紙を館内フロントへ掲示し再発防止の対策を行なった(20代男性)
- 労基と人事を含めた調査を実施し、上司は解雇され部署は解体となった。その後は、希望者のみ会社に残る事になった(30代女性)
▼解決できなかったエピソード
- 社内窓口へ相談を実施したが、3ヶ月以上何の連絡もなく、こちらから別の担当者へ相談したところ、相手がパワハラの事実を認めているにも関わらず異動や懲戒などは行なわれなかった(20代女性)
- 労働局が介入し、助言・指導を企業に行なったものの、改善されず泣き寝入りすることになった(30代男性)
▼解決しないまでも改善したエピソード
- 相手を部署異動させることはできないと言われたが、出来る限りシフトや配置の被りを避けるようにしてもらえた(20代女性)
- 初めは信じて貰えなかったが、改善要望を出したことで上司が変わった。それにより、自分の評価が「聞いていた評価と違う」となり高く評価されるようになった(30代男性)
▼状況が悪化したエピソード
- 注意されてから3日間は上司の行動がよくなったが、4日後には元に戻った。最近は、会社に報告する前よりも当たりがキツくなっている(20代女性)
- 社長から注意してもらったが、その後は「仕事が振られなくなる」、「全く話かけられなくなる」、「仕事のLINEをブロックされる」など社内で孤立するようになった(30代女性)
45%が「カスハラ(顧客等からの著しい迷惑行為)」被害を見たことがある 実施されている具体的なハラスメント対策、もっとも多いのは「相談窓口の設置」(図12~18)
「カスハラ(顧客等からの著しい迷惑行為)」について、職場で被害を見たことや聞いたことがあるか質問したところ、45%が「ある」と回答した。
「ある」の回答が多かった職種トップは「営業職(インサイドセールス・カスタマーサクセス他)」「販売サービス(ファッション、フード、小売他)」で同率の63%だった。
業種別では、「流通・小売(百貨店・コンビニ・専門店など)」が65%で、もっとも多かった。
職場で被害を見たことや、聞いたことが「ある」と回答した人に、カスハラ被害を受けたとされる場所・シチュエーションを質問したところ、トップは「就業している場所での顧客対応時」で69%、次いで「電話やメールでの顧客対応時」で52%という回答だった。
続いて「現在の職場ではハラスメント対策を実施していますか?」と質問したところ、「実施している」が37%だった。これは、昨年(2023年)の同調査と比較して4ポイント低い結果となった。
「実施している」と回答した人に具体的な取り組みを質問したところ、トップは「相談窓口の設置」で75%という回答だった。
「ハラスメントのない職場にするために、企業にして欲しいことは何ですか?」と質問したところ、トップ3は「相談窓口の設置」が46%、「ハラスメントに関する研修の実施」が45%、「ハラスメントに対する自社の方針の周知」が39%という回答だった。
【調査概要】
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:『エン転職』を利用するユーザー
調査期間:2024年8月28日~9月25日
有効回答数:3,566名